♂の納品……?
いよいよ♂が納品です。
名前もつきます。
やはり自分より大きい人間の介助は重労働だ。五条院に早めに納品することを伝えていて助かった。
♂を何とか車椅子に乗せ、クルーザーと小型船を乗り継いで待ち合わせ場所に到着した。
今回も車椅子ごと運搬が可能な車両で来ており、俺が姿を見せると五条院が降りてきた。前回よりも付き添いの人間が多いように見えるのは気のせいか?ああ、体格が良いと伝えていたからかもしれない。
「金剛寺様、依頼を完璧に達成していただきありがとうございました」
五条院に続き、付き添いの女性たち(面倒だから「侍女」と呼ばせてもらおう)も全員が深々と頭を下げる。
依頼をこなしただけとは言え、ここまで感謝されると悪い気はしない。
「まだ、完璧かはわからないのでは?」
「そうですね。でも、ここまでは完璧です」
五条院が彼に視線を送りながら答える。
侍女たちに彼を引き渡す。
意識のない彼が身だしなみを整えられてゆく。俺はカプセルから出ても主張している下半身の世話してないから、まだまだ元気で天を衝く勢いだ。世話をする侍女の顔が少し赤くなっている。彼に向ける視線も柔らかく、心なしか肌に触れる時間も長いかもしれない。
身だしなみを整えられた彼が、侍女たちに玉座と見紛うような豪華な車椅子に乗せ換えられる。
その間、五条院に現在の体調等を引き継いだ。
「教団で名前をつけると思ったので彼への呼びかけに名前は使用していない。そちらで好きに名前を付けてやって欲しい」
「ご配慮いただきありがとうございます。私共はもう決めてあります」
「聞かせてくれるか?」
「皇皇子様とお呼びいたします」
開祖皇命に次ぐ名前をつけるか……
やはり、開祖に準じた待遇が受けられるようだ、少し安心した自分がいる。
「経過観察も兼ねて、彼を含めてこれまで納品したものがどのように生活しているのか見てみたいのだが?」
「はい、伺っております。是非、体調などを見ていただければと存じます」
女性ばかりの教団に俺が歓迎されるのか心配だったが、次世代の教団の象徴を生み出した俺は特別なようだ。
このままスメラギノミコと一緒に彼が生活する施設へと向かう。
次の仕事は入っていないし、彼についていけるよう研究室を長期間空ける準備はしてきたから大丈夫だ。
車内で周りを見渡すと侍女たちは年齢もまちまちだ。しかし、全員が入信して20年以上と熱心な信者のようだ。そうでなければ秘密の塊となるであろうミコの侍女にはなれないのだろう、対外的には男性禁忌の教団なのだ。
車は半日近く走り続け、ようやく高い塀に囲まれた施設の前で停まった。
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