趣味の不一致
サキさんはニコニコしている。
この前のテロリスト集団を壊滅したんで歩合が付いた他に臨時ボーナスが出たんだそうだ。もしかして俺が色々考えたのって意味なかったのかも。
サキさんはコタツでYouTubeを見ている俺の前に立つ。
「鈴木君、君は私の見込み以上の働きを十二分にしてくれた。すくないが君にも臨時ボーナスを分け与えようと思う。有り難く受け取りますたまえよ!」
サキさんの手には100万円の束が3つ握られている。
3000sdだよね、サキさん会社からいくら貰ったんだろう、スッゴいニコニコしてたよね、俺の気のせいじゃないよね。
俺も命がけだったよね、ほとんどパワードスーツが勝手にやったんだけど現場に一応いたよね。
それで3000sdですか・・・やすくない、命がけな割に安くない。
俺はすっくと立ち上がりサキさんの前に行く。狭い部屋なので一歩で済む。
「サキ様のご配慮、感謝に堪えません!」
俺は土下座をしながらサキ様から300万円を受け取る。
今日もパンツは白だった。パンツじゃなかったレオタードだったよね。
しばらくインターバルを取ることにしたサキ様は更に俺にクルマの借り上げ料金と部屋食事代として合わせて800万円くれた。
もうカエッテモラッテモいいんだけどな。
こんな美少女と居ると今までみたいな生活が送れないんだよ、かっこよくいうとね。
知ってるか君たち、俺は今回初めて知ったよ。
一人暮らし歴15年、気ままに暮らしてきた俺は自由に慣れすぎてたんだ。
でもあと1週間かと思えば我慢出来ないこともないかな。
多分こういう経験はこの後一生無さそうだし。
サキさんがアイスクリームを食べたいって言うからコンビニに行くことにした一人でだよ、この女は仕事と遊び以外部屋から一歩も出ないんだよ。
俺がアイスクリームをかって帰るとコタツの上に置き手紙があった。
『一条さんとカラオケ行ってくる、飯は要らない』
一条さんは俺の住むアパートの向かいにある大きな一軒家に猫と一緒に住んでいる町会長。
そこの猫に釣られて町会長と知り合ったサキさん。
サキさんは昨日も町内会の役員でもないのに会合の打ち上げだけ出席してるんだよ。
まだここにきて1週間も経たないのに凄いコミュニケーション能力です。
なんか町内会の打ち上げというとカラオケ行ってる事がおおいらしい。
2日続けて町内会のうちあげでカラオケに誘われてるサキさん。
見た目は美少女だし、人付き合いも上手いから喫茶店もラーメン屋さんもほぼすべての町内の店から無料券が来るようになった。
俺は使えないよそれ、利用者の名前のとこにサキさんの名前しか入ってないんだ。
しばらくして着物きたサキさんが町会でやってるカラオケ大会に出ることになったのは後で話すよ、演歌だとアイドルとかって言わないで歌姫って言うんだってね。
ヘビーメタル一筋15年のオレには想像も出来ない世界が広がってるんだろう!。
俺はコタツに座ってパソコンに向かいYouTubeに上がってるヘビーメタルアイドルユニット、鋼鉄少女の海外公演のファンカムを見ることにした。
入れ墨を入れた怖そうな外国人が毎度の事ながら熱狂している。
楽しそうだなー。
俺はあれだけ美少女のサキさんにはメタルの方が似合うと思うんだけどね、人の趣味はそれぞれだよね。




