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都子ちゃんは晶君を嫁にしたい~女子力高い幼馴染が本当の女の子になっちゃった件~  作者: 雲雀湯@てんびん2026年アニメ化決定
番外編

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海神(わだつみ)の花嫁①

1周年記念で、番外編でちょっとしたエピソードやります。


 ガタンゴトンと、独特の音を立てて景色が流れる。

 山合いの線路を抜ければ、目の前には待望の景色が広がっていた。


「見て見てあきら! 海だよ、海!」

「ちょっとみやこちゃん! 窓から顔をだしたら危ないって!」


 お盆の盛りを過ぎた頃、あたしたちは電車に揺られて海を目指していた。


「てか、あーしも一緒に来てよかったの?」

『海か……我は久しぶりだな……』

『潮風は刃物に悪いからなぁ……でも楽しみだな、タケさんや!』

『おう、じっくり検証しないとな、フツさんや!』

「さぁって、いっぱい写真撮るわよー!」


 同行者には真琴ちゃんとウカちゃん、それにタケさんフツさんのコンビとあたし達の責任者としてのおばさん。


 ちなみにおばさんは、海辺のシーンを撮るって息巻いていた。

 やたらと荷物が多いけど、それ全部衣装なのかな? 荷運びはタケさんフツさんがいるからいいんだけど……


「みやこちゃん、僕を急に拝んでどうしたのさ?」

「あはは……」


 思わず着せ替え人形にされる未来を想像してしまい、手を合わせてしまった。

 頑張れ、晶!


 ともかく、あたし達はとある海辺の街を目指していた。

 費用やらなにやらは全部ウカちゃんのパパ持ちだ。

 というのも、そこに行く事になったのはウカパパさん達が発端だったからなのだ。


 先日の騒ぎを思い出す――そう、原因はカレーだった。



  ◇  ◇  ◇  ◇



 ある日、あたしたちはウカちゃんに連れられて祭りの行われた遺構のある空き地に来ていた。

 そこは夏の暑さに負けない熱気と香ばしい香りに包まれ、舌戦が繰り広げられていた。


「「「ビーフ!」」」

「「「ポーク!」」」

「「「チキン!」」」


 そこでは様々な声が重なり合い、それぞれの主張を繰り返しされている。


 大きく分けて主張はその3つ。

 その中でも更にはブロック肉、切り落とし肉、ひき肉、はたまた合い挽きがいいなどと、スプーン片手に怒鳴りあう。


 喧嘩祭りっていうのかな?


 互いの意見をぶつけ合い、最早戦争一歩手前の一触即発の空気が形成されていた。


「いやぁ……これは凄いね……」

『今やそれぞれが互いの意見をぶつけ合い譲らぬ。だからこそミヤコの力を借りたくてな……』


 きっかけは、この間ウカちゃんがうちで食べたカレーだった。


 焼きそばに引き続きカレー魅力に取り付かれたウカちゃんは、高天原にカレーを布教していった。

 これがまずかった。


 料理が下手な人でも簡単に作れる上、作る人によって微妙に味わいが違ってくる。

 そうなると、各柱で色んなカレーを試行錯誤するというブームが到来してしまったらしい。

 各々が好きなものを極めようとした結果、どのカレーが至高かという争い一歩手前の状況に発展してしまったのが今のこの状況なんだとか。


 この人達アホなんだろうか?


『姐さん! やっぱビーフっすよね!』

『いやいやポークでしょう!』

『チキンだって言ってるだろう!』


「わ、わわわわっ!」

「み、みやこちゃ――わぷっ」


 その場に居た皆が、あたしに自分達が崇めるカレーこそが至高という言質をとろうと迫ってくる。

 一応、晶があたしを守ろうと前に出てくれるたが、一瞬にして踏み潰された。

 うんうん、そんな晶も可愛いなぁ、でへへ。


「で、ウカちゃん。あたしにこれをどーしろと」

『さ、裁定の巫女としてお言葉を頂戴したく……』


 何それ知らんがな。


 裁定の巫女って何?

 変な役を押し付けないでくれるかなぁ、もう!


 だが、この騒ぎの一端があたしのカレーだと思うと、放って置けないのも事実だった。


 そして、カレーについてあたしも一つ言いたい事があった。


「よぉし、あきら! 作っておしまい! あたしも手伝うから!」

「いてて……もぅ。あ、あとみやこちゃんは見てるだけでいいから。何もしなくていいから。マジで」


 むぅ、と頬を膨らませるも、キッチンという戦場で悲しいかなあたしに役立てることは何一つなかった。

 大人しくウズメさんとウカちゃんを引っ張ってゲリラライブをして気を逸らすことしか出来なかった。


 …………


 ……


「出来たよ、みやこちゃん!」

「ぐっじょぶ、あきら!」


 簡易舞台でライブが行われたので、さっきまで争っていた空気はどこへやら、祭りのノリで一緒に騒いで皆仲良くなってたりした。

 みんなちょっとチョロ過ぎない?


 タケさんやフツさんが教え込んだマナーもきっちりしたもので、みんな綺麗に並んでいる。


 丁度良いやと、晶が作ったカレーを皆に振舞うことにした。


『ミヤコ、これは? カレー? いやしかし……』

「ふふ~ん、まぁ食べてみて」


『『『『こ、これは!』』』』


 晶に作ってもらったのは海老とココナッツが特徴的なタイ式シュリンプカレーだった。


「みんなビーフ、ポーク、チキンだのまだまだ視野が狭いわ……カレーは海老にも合うのよ!!」


『『『『~~~~っ!!』』』』


 みんな雷に打たれたかのようにショックを受けてた。

 というか実際に雷が落ちてた。タケさんが落としてた。


 その後の展開は速かった。


 それぞれの陣営は、まだまだ試行錯誤が足りないという結論に至り、それぞれ争っている場合じゃないと和解した。

 至高のカレーを作るには互いの協力が必要だ……力を合わせる大切さを思い出していた。


 そんな中、ウカパパさんから衝撃の一言が放たれた。


『海老以外にも、イカやホタテ、シャケとかはどうなんだ?』


『『『『っ!!!!』』』』


 事態は紛糾した。

 結論として、シーフードの調査が必要不可欠とされ――どうせなら本場の海産物を使ってカレーを作った調査をせねばならない……そんな空気になった。



  ◇  ◇  ◇  ◇



 そんなわけで、あたし達は海に向かうことになったのだ。


 カレーの事とか正直どうでもいいけど、晶と一緒に旅行できるのが何より嬉しい。


「楽しみだね、あきら!」

「そうだね、みやこちゃん!」


 こうしてあたし達のカレー調査が始まった。

 この旅が何もなく終わるなんて……思ってもいなかったんですけどね!


更新は亀です。気長にお楽しみいただけたらな、と。

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