モンスターガチャ再び
「ガチャを回しませんか~、本日は特別イベント、ヴァンパイアフェスを行っています!」
最上階の城の裏手のある、閑散とした空き地の中央で相変わらずのように宣伝をしているガチャの精。以前はログハウスのすぐ横にいたせいで、こいつの誘惑を一日中聞くはめになっていたが、ここならもう甘言におびえる必要はない。
「!? ヴァンパイアフェスってなんだ?」
僕が一向にガチャを回さないことにしびれきたしたのか、おかしな事を始めたようだ。
『はい、ヴァンパイアフェスとはその名の通りにヴァンパイア系の種族の的中率がアップするイベントです』
ヴァンパイア系ってなんだよと思ったが、回してみるほうが早いと思いガチャを回してみる。
ガチャコンッ
独特な音が響き、排出口から銀卵が出てきた。やはりそう簡単には金は出ない。
『ヴァンパイア・バット、ピックアップキャラの一体です!』
ヴァンパイアではないが、こいつもピックアップのヴァンパイア系のモンスターらしい。外見は蝙蝠そっくりで、僕の腰くらいまでの大きさであった。
『空も飛べますし、ヴァンパイア系の基本能力である吸血魔法も持ち合わせています。吸血魔法とは相手にかみつき、直接血を吸うことで自身の魔力を一時的に上昇させる能力です。ちなみに血を吸われても、体に影響はでません。グールになったりはしないのであしからず』
銀卵で魔法が使えるのは珍しい、今までに出た銀卵で魔法が使えたのは、フレアザウルスとリッチーのファイヤーボール、キラーホーネットという小型の蜂のポイズンショット、イエティのブリザードボールくらいだろうか、銀でも魔法が使えるところを見ると、どうやらヴァンパイアフェスは当たりなのかもしれない。
「ピックアップの金卵は何だ?」
今までの傾向からして一体だろうが、フェスというからにはもしかしたら複数いる可能性がある。
『ヴァンパイア系の金卵の種類は全五種類です』
多っ!?コンプするのには一苦労しそうだ。
『ちなみに金卵の中で最上級の個体は魔王並みの性能を持ちます』
それは凄い〈貪欲〉で改良強化するには最高の素材だ。ポイントも十分にあるし、全力で回してみるか。そして僕は物欲センサーに引っからないように無心になってガチャを回し始めた。
「ふふっはっははっは、ついに揃ったぞ!!」
半日かけ一心不乱にガチャを回し続けた。その結果150000あったポイントは50000を切ったが、何とか全種類をコンプリートすることができた。ちなみにクリスタル卵が出るかと思ったが流石に出なかった。合計千回つまり、空き地を埋め尽くすように千体のモンスターが膝をついて僕の指示を待っている。流石にヴァンパイアフェスだけあって金卵からはヴァンパイア系しか出ず、銀卵も半分近くはヴァンパイア系列のモンスターだ。
珍しいことに、今回はガチャの精がピックアップキャラの解説をしてくれるそうなので聞くことにした。
『まず、銀卵からご紹介します。まずはヴァンパイア・バットから~』
ガチャの精がヴァンパイア・バットと言うと、今まで膝をついていたヴァンパイア・バットが一斉に立ち上がった。
『ヴァンパイア・バットは最初に述べたように、飛行能力と吸血魔法を有する種族です。その性質上、主に斥候を担当します。今回召喚されたヴァンパイア・バットの総数は五十二体になります』
ガチャの精の説明が終わると、ヴァンパイア・バット達は僕に一礼してしゃがみ膝をつく。
『次に、レッサー・ヴァンパイアの説明をいたします』
先程と同じように、今度は人型ではあるが、顔を蝙蝠のようなレッサー・ヴァンパイアが立ち上がる。
『レッサー・ヴァンパイアはご覧の通り、顔は蝙蝠そっくりですが体は人間とほぼ同じです。ですので人間と同じ働きができます。吸血魔法の他にサンダーボール等の雷系統の下級魔法を使用できますが、魔力が少ないのでリッチーのように魔法を連発することはできません。しかし、リッチーとは違い身体能力がそれなりに高いので壁役にはなります。数が最も多いので軍団の主力としてお使いください。総数二百八十三体です。』
サンダーボールとは、リッチーが好んで使うファイアーボールの雷版だ。現在のリッチーは今回の含め二十体以上いると思うが、そのクラスの魔法が使えるモンスターが三百体弱、リッチーのように連発できないとは言え、これはかなりの戦力と言ってもいいだろう。
『次に、ヴァンパイア・ホースです』
ヴァンパイア・ホースと言っているが、今までのモンスターとは違い、蝙蝠要素はないただの黒い馬だ。ただし、ペガサスのように背中の付近に小さな黒い羽が生えていた。
『ヴァンパイア・ホースは見ての通り、外見は黒い馬です。吸血魔法を使用できますが、少しばかり力が強い点を除けば他の馬と全く同じです。総数百体になります』
つまり、馬車などの移動手段に使えということか、ただ、ダンジョンから出る予定はないし、ダンジョン内は階層転移が使える。余り出番はなさそうだ。
『銀玉の最後はヴァンパイアになります』
灰色のタキシードとドレスを身に纏った者達が立ち上がる。男がタキシードで女がドレスだ。
『ヴァンパイアは、一言で言うとレッサー・ヴァンパイアの上位互換と呼べるモンスターですが、顔が人間そっくりのように知能が高く身体能力も優れ、何よりリッチー並みの魔力を持ちます。軍団の精鋭とお考えください。総数四十八体です』
リッチーと同じくらいの魔力を持ち、リッチよりも肉体面で優れているのか、どうやら銀卵の中でも最優秀といってもいいモンスタのようだ。ヴァンパイア達は優雅にお辞儀をすると、膝をついて命令を待った。
『では次に金卵モンスターの説明に入ります~』
ガチャの精が叫ぶと、最前列に並んでいた五体に肩に力が入ったような感じがした。いよいよお待ちかねの金卵モンスターの紹介だ。




