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引きこもり勇者がダンジョンマスターになったら  作者: ニンニク07
第二章 魔王襲来編
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エピローグ 伝説の始まり

 魔王討伐後、ガブリエルの回復魔法によって体を回復した僕達は今後の事を話し合うために、最上階に戻る。侵入者がいなくなったことで、階層ボスも階層移動ができるようになったため、ガブリエルも付いてきた。


「いや~よく皆さん無事でしたね!」


 最上階に着くと、一人取り残されていたガリがよかったという表情で出迎えた。だが、激しい戦いをしてきたため僕を含め全員が思っただろう。「そういえばこいついた」と、しかし、疲れていた僕達は口に出さず、ログハウス内のソファーにそれぞれ腰かけた。全員分はないので新しくソファーをポイントで交換した。


「それで、今後どうするの~!」


 ソファーに寝そべりながら、力なく僕に問うメイル。魔王の襲来で忘れていたが、彼女達メイルの街の調査隊と交渉するのがそもそもの始まりであった。


「世界初の魔王討伐、それも実質勇者一人で、これは大変な偉業だよ!」

「いや、倒したのはアタシだけどね」


 メイルの発言に突っ込むガブリエル。だが、世間から見れば、僕の力で大天使を召喚したので僕が倒したと見なされるようだ。


「ガブリエルはどうする?この塔から出て行けるのではないか?」

「いや確かにマスターがアタシを階層ボスの任から解き放てば外に出て行けるけど、めんどくさいから次の魔王が来るまで、あの階層で悠々自適のスローライフを送るつもりよ。それにアタシの強さは分かったでしょ?だから、待遇の向上を要求するわ。後、アタシがこの塔にいることは世間にばらさないでね。アタシがいることを知ったら魔王達がここに総攻撃を仕掛けてくるからね!」


 幸いかどうか分からないが彼女はここを出て行くつもりはないようだが、あの強さは貴重だ。彼女に愛想つかされないように、できる限り甘やかさなければ。それとガブリエルの言うように彼女の存在を可能な限り秘匿にしなければならない。魔王達と戦うのはしばらく御免こうむるからだ。

 

「でも魔王を倒した事を知れば、人間達が皆喜ぶわ。だからこの情報を早く広めないと!」


 メイルの言うように、この勝利は人間達にとって大きな励みになるだろう。傷も癒えているため、半日ほど休むとメイル達はセレンに戻っていった。バズさんも街に戻り山賊としての罪を償うそうで、メイル達と同行して行った。


 皆を見送り、最上階に戻ると懐かしいようなウザったいようなあの声が聞こえてきた。


「ガチャを回しませんか?今週は九尾の妖狐クーアンがピックアップですよ~!!」


 アドラメレクをポイント換算すると魔力200000、能力・技能300000、装備200000の計700000となった。流石魔王と言える数字だ。僕は装備のみポイントに換算し、残りを自分の力に変えた。その瞬間、自分の魔力が凄まじいほどに上昇していくのを感じ、笑みをこぼした。


 今回の戦いで換算したポイントの合計は500000近くになった。これから大忙しだ。まずはダンジョンの拡張と改修。食料をパンと水以外にするために、前回できなかった農業エリアも作る必要がある。それでも、半分の200000近いポイントは残りガチャに回せるだろう。


「ふっふっふふふふふ!!!」


 前回、50000ポイントでガブリエルを召喚したんだ。今回はその四倍以上は回せる。金卵モンスターも大幅に増え、運が良ければ、さらなる大天使を召喚することだってできるだろう。


 ガチャを衝動を抑えながら、僕はダンジョンの改修するためにログハウスに戻った。


 



 その時、魔王達は感じ取った。アドラメレクが死んだ事を、十年無敗であった魔王が敗れた事を。だが、その反応はそれぞれ異なっていた。


「ほ~う、アドラメレクが敗れたか、まあ勇者も召喚されたらしい妥当な所か」


 ある者は、納得した。


「奴は最弱トリオの一人、気にすることはあるまいて」


 また、ある者は、気にも留めなかった。


「妾と同じ最弱トリオの一人が消えたか、気を引き締めねばのぉ!」


 明日は我が身だと気を引き締める者もいた。そして、


「ふむ、アドラメレクが敗れたか!」


 ローレンス王国から遥か南方に位置する小国を占領した第三魔王ルキフグスは小さくため息をついた。魔王が敗れた、今後どうするかと考える彼の脳内に古い馴染みが語りかけてきた。


「ん~、ルキフグス、ひ、さ、し、ぶ、り、ね!!」


 かつて魔王達率いた者が女神に敗れ、異世界に放逐された今、彼ら魔王は次のリーダーは自分だと皆対立していた。だが、この時ルキフグスに語りかけてきた者と彼は友情とは言わないが、比較的仲が良かったのは確かだ。


「何の用だ、第二魔王ベルゼブブ!」

「アドラメレクちゃんが負けたじゃぁない、だから、どんな奴が倒したか一緒に見にいかない?」

「!?……正気か、ローレンス王国は今も女神の結界のせいで我々の力は大幅に衰えるのだぞ。それを分かっていてあの地に拠点を築いたアドラメレクの二の舞を演じるつもりか?」


 ローレンス王国、特に王都周辺には女神が施した強力な結界が存在しているため、魔の者の力は大きく減退するのだ。アドラメレク以外の魔王がローレンス王国に手を出さなかたったわけはこれである。


「アドラメレクちゃんは自分の力も把握できなかった、かわいいお馬鹿さんだったのよ!恐らく私達が誰も手を出せなかった王国を落とせば、私達を見返せると勘違いをしてね!」

「それが、分かっているなら、何故今手を出す必要がある?結界が弱まるか、勇者達がこちらにくるまで待てばいいだろう!」


 勇者は脅威であるが、勇者にかまけているほどルキフグスは暇ではなかった。占領した国の運営や他の魔王達との戦いなどやるべきことは山ほどある。


「ひまなのよ!昔の馴染みのお願いよ、付き合いなさいよ!」


 ベルゼブブのわがままに付き合う必要があるのかとしばらく思案したが、これで、借りが作れると判断したルキフグスは了承した。


「では、三日後にローレンス王国の南部国境線上にある町べルスの上空で落ち合いましょう!」


 そう告げると、ベルゼブブは一方的に通信を切った。やれやれ、予定を合わせなくてはと呟き、ルキフグスは再び深いため息をついた。



勇者残り二十一名、魔王残り九名



魔力量ランキングベスト5


第一位 ガブリエル 24

第二位 津田健也  (アドラメレク)吸収後12   吸収前は7

第三位 アドラメレク 10

第四位 サクラ  6

第五位 メイル・セレン 5


*一般人の魔力を1とした場合の基準です。数字が1以上離れていると苦戦し、3以上離れているとほぼ勝ち目がなくなります。また、勇者や魔王は強力な能力を持っているので、魔力量だけでは一概に判断できません。パッと見て、こんなに強いだよと知るための目安と思ってください。

*〈塔〉の能力では相手の魔力の一部しか奪えません。

 ようやく二章が終わりました。

 ここまで読んでくださりありがとうございます。

次回から新章に突入します。今後もよろしくお願いします。


 ご指摘頂きましたが、主人公の能力では相手の魔力の一部しか奪えません。これは今後のストーリーの展開上、主人公を急激に強くさせないための措置です。思う所はあるかと思いますが、それでもご理解いただければ幸いです。

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