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サラリーマン戦記 ~スローライフで世界征服~  作者: 笛伊豆
第三部 第八章 俺が名誉大公?

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18.旅立ち?

 出発の準備が整ったと言われたので、俺は大公会議に出て報告した。

「北方に行ってきます。

 予定(スケジュール)は担当部署に提出済みです」

「そうか。

 マコト殿がララエの名誉大公であることは北方諸国に通告済みだから」

 さいですか。

 ララエ公国め。

 俺をとことん利用する気だな。

 ララエの名誉大公がセルリユ興業舎の開発部隊を引きつれて北方を親善するということになるからな。

 まあいいか。

 親善大使館に戻り、サロン・サレステに出向いて大公妃殿下の方々に頭を下げる。

「私が不在の間、(ハスィー)をよろしくお願いします」

「お任せ下さい。

 奥方様はきっちりお守りします」

「ハスィー様は名誉大公妃ですので。

 名実ともにこのサロンの女主人(マダム)ですのよ。

 私達が盛り立てます」

「そうです。

 娘とも妹とも思えるハスィー様ですからね」

 大公妃様方は、こぞって支援を約束してくれた。

 ハスィーは両側に(シルバー)エルフのアレナさんと護衛のリズィレさんを従え、膝の上や足元に猫護衛を侍らせて艶然と微笑んでいる。

「あなた。

 いってらっしゃいませ」

 凄いよ。

 大公妃の方々に位負けしてないどころか、むしろ圧倒しているじゃないか。

 大公妃殿下たちの方がお付きに見える。

 これなら大丈夫だろう。

「なるべく早く帰ってくるから」

「わたくしのことはお気になさらず。

 お仕事を全うしてください」

 ちょっと寂しいけど、これも公務だ。

 それで引き上げたけど、もちろんまだお別れではない。

 大公妃殿下方に対するポーズみたいなものだ。

 夕食後にリビングで(ハスィー)とまったりする。

 明日には出発だ。

「体調はどう?」

「大分良いと思います。

 お帰りになる頃には、もう少し目立つようになるかと」

 ハスィーのスタイルは少しずつ変化しているようだ。

 腹は当然として胸も育つのでは。

 今でも巨乳とまではいかないにしても結構大きいのに。

 形もいいし。

 もちろん揉み応えも最高だ。

「どうなのでしょうか。

 ユリタニア義姉(ねえ)様は妊娠中も出産後もあまり変わらなかったそうです。

 人によって違うらしく」

 あの楚々とした美少女のユリタニアさんならそうだろうな。

「ハスィーはどんな姿になっても綺麗だから」

「そうですね。

 悩むと子供に悪いらしいので、気にしないことにします」

 大公妃殿下たちの教育は効果を上げているらしい。

 この分なら大丈夫か。

 ちょっと心配だけど、そもそも俺がそばにいても出来ることはないしな。

 さっさと親善訪問を片付けて帰ってくるか。

 いつものように(ハスィー)と一緒に寝ようとしたら、ハスィーの向こう側に例の抱き枕が横たわっていた。

「あれは?」

「少しでもマコトさんの匂いをつけておきたくて」

 いや、気持ちは判るけど止めて下さい。

 何となくライバルのように思えてきてしまいそうだから。

 夜明け前に起きて、ハスィーを起こさないようにベッドから抜け出ると朝練に行く。

 もうすっかり習慣化してしまった。

 本来の俺は、こんなアウトドア的というか体育会系じゃないんだけどね。

 サバイバルはまだ続いている。

 (ハスィー)も守らなきゃならんし。

 少しでも鍛えておくべきだろう。

 終わってからシャワーを浴びて朝食の席に行くと、ハスィーを初めとするみんなが待っていてくれた。

 今回の親善訪問はララエの国境を越えて初めての国に行くので総力戦体制だ。

 親善使節団の随員のうち残るのはハスィーとアレナさんだけ。

 後は全員で訪問する。

 もちろんルリシア殿下主従や狼騎士(ウルフライダー)隊のアレサ様も一緒だ。

 セルミナさんの話では今回初めて訪れる予定の4ケ国はいずれも小国で、首都にだけ行けば良いとのことだった。

「すべて王国です。

 歴史は古いのですが、王朝としては断絶していますね」

 中国みたいなものかな。

 場所は同じなんだけど、定期的に支配者が変わるという。

 それでいて歴史は続いているので一見伝統ある国に見えるけど、実際には新しい国だったりして。

「マコトさんの世界にもそういった国があるのですか。

 ご理解が早くて助かります。

 おっしゃる通り、古王朝が何度も滅びて、その廃墟に新しい支配者が立って王朝を開いた国ばかりです」

 やっぱし。

「歴史的には続いているんですね」

「はい。

 もっとも色々ありまして、現王朝から紀元を始めている国もあれば、歴史的にはあやふやな太古の理想国家から続いている国だと主張している所もあります。

 これは今回訪問予定の国だけではなく、北方諸国はみんな似たようなものです」

 そうなのか。

 ちなみに暦について言えば、まだ地球の西暦みたいな統一歴はない。

 帝国は当然成立した年から帝国歴を始めているし、ソラージュやエラ、ララエも似たようなものだ。

 バラバラなんだけど換算は簡単だから大した問題にはなってないらしい。

 それにしても北方が昔からそんなに開けていたとは。

 辺境という印象(イメージ)だったんだけど、むしろこっちが文明発祥の地だったみたいだな。

 それを言うと、セルミナさんは頷いた。

「北方は山間部から流れ出る川が多く、文明が発達しやすかったとされています。

 気温も今より高かったようで、現在のソラージュやエラは逆に高温多湿で住みにくい場所だったようです。

 南方が開けたのは比較的最近です」

 現在の帝国がある辺りは暑くて人類の居住に適さないほどだったそうだ。

 それでも住んでいる人たちはいたらしいけど、文明はあまり発達しなかったらしい。

 気温が下がって北方が住みにくくなるのに従い、戦乱に敗れたりした人たちが集団で現在のエラ・ララエやソラージュに移り住むようになったとか。

 同様にして帝国のあるあたりでも文明が発達し始めたと。

 地球の場合、確か氷河期が終わってというか小康状態になったことでヨーロッパ辺りに人が住めるようになり、エジプトやローマが発展したとかどっかで読んだな。

 こっちでは逆に地球温暖化とかが起こっていたんだろうか。

 よく判らん。

 そもそも地形自体が違うからな。

 俺の地球の常識は忘れなければ。

「訪問国については道中説明させて頂きます。

 それより、最初はエラです」

 そうだった。

 ルミト陛下用の言い訳を考えておかないと。

 食事を終えて、最後にハスィーを抱きしめてから出発する。

 やっぱり大名行列だった。

 ララエにいる限り、俺は名誉大公なんだよなあ。

 ソラージュの親善大使よりそっちが優先されるので、どうしても大騒ぎになってしまう。

 今もララエの騎士団が捧げ筒をする中をしずしずと出発していたりして。

「ララエ公国を抜ければ楽になると思います。

 それまではあまり姿を見せない方が良いかと」

 セルミナさんに忠告されて、俺はずっと馬車の中で過ごした。

 同乗しているのはヒューリアさん、セルミナさんに加えてトニさんだ。

 ルリシア殿下主従には遠慮して貰った。

 対エラ国王陛下用の言い訳を考える必要があるからね。

 ちなみにカールさんは別行動で、現地で集合することになっている。

 先に北方諸国にいる息子さんに会いに行ったのかも。

「エラ国王陛下への対応についてはマコトさんにお任せします。

 我々が口出しするべきことではありませんので」

 逃げられた。

 しょうがないので、その後はずっとセルミナさんやトニさんの講義を聴いて過ごした。

 セルミナさんは外務省の書記官だから北方諸国についても詳しいんだよね。

 それにソラージュを出る時と、あとはエラやララエのソラージュ大使館で最新情報を仕入れてきてくれている。

 本当に助かる。

「ヤジマ商会としては、将来はともかく現時点では北方諸国に大規模な投資を行う予定はなかったのですが。

 どうも、そんなことは言っていられなくなりそうです。

 今回は現地代理店の設立と野生動物に関する啓蒙活動が主な目的となりますが、少なくとも拠点作りはやるしかないでしょうね」

 ヒューリアさんが説明してくれた。

 ララエに当初想定していたより規模の大きな投資をすることになって、資金に余裕がないらしい。

「マコトさんが名誉大公になってしまいましたから。

 我が舎も奮発する必要があります」

 いや、俺はなったんじゃなくて押しつけられたんだよ!

 ララエ公国がそれだけ(したた)かだということだ。

「確かに。

 よほどの切れ者がいるのでしょうね。

 ラナエに匹敵する」

 ヒューリアさんにそこまで言わせるとは。

 それって凄いのでは。

「気にすることはございません。

 その者の失敗は、マコトさんを甘く見たことです。

 あえてマコトさんを取り込むことで安寧を計ったようですが、それが致命傷です」

「そうですな。

 マコト殿に名誉大公の立場を与えるとは。

 もはやララエはヤジマ商会が手中にしたも同然です。

 数年を待たずにララエ公国はソラージュの属国に成り下がることでしょう」

 トニさんもセルミナさんも、俺を何だと思っているんですか?

 俺はそんなことしませんよ。

 ただ平和と安寧が欲しいだけです。

「すべて支配してしまえば手に入れられますよ」

 ヒューリアさん、止めて!

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