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プロローグ 恐怖の始まり

拙い文章かもしれませんが、読んでいただけると幸いです。

 ――怖い、怖い、怖い、怖い、まじでヤバい!!!


 肌寒く、真っ暗な空間の中で彼は無我夢中で走り続ける。

 長い廊下は曲がり道も分かれ道もなく、ただひたすらに真っすぐ続いていた。

 ただ、心の中が『恐怖』の2文字で支配されている。



 ――怖すぎる!!!!!!!!



 叫び声を上げようと、恐怖で声が出ない。変わりに出てきたのはさらなる恐怖心。

 ひたすらに走り続けて疲れが出てきたのか、それとも恐怖によるものなのか、だんだんと息が荒くなっていく。視界の先は真っ暗で終わりが見えない。



 ――俺、ここで終わるのかよ。



 先の見えない廊下は彼に恐怖と絶望を与え、生きる意志をそぐ。人は恐怖やストレスが慢性的に続くと健康状態に悪く、最悪の場合それが引き金となって死ぬこともあると聞いたことがある。

 が、もうこれはこの後死んでしまうのではないだろうか。


 生きるためにひたすらに走り続け、そして、やっと一筋の光が見えた。

 その瞬間、足先に何かが当たった感触がする。何かの段差のようなものだった。

 最終的にはバランスを崩してしまい、ドスン!! と盛大に転んだ。



 ――まじかよ。



 転んでも怪我をしていそうな箇所はどこにもなかった。

 が、もう一度立ち上がろうとしても、立ち上がることが出来なかった。決して痛いからという理由ではない。


 コツコツ、と後の方から足音が聞こえてくる。その瞬間に全身が震えた。

 足音は段々とこちらに近づいてきており、その度、体が恐怖により動くことを拒絶する。

 そして自分の吐息とその足音だけが彼の耳の中で響き続け、余韻が残る。


 彼はこの状況をやっと理解した。どれだけ逃げても、どれだけ足掻いても、どれだけ必死になろうとこれは『人生の詰み』なのだということを。

 彼に残された選択肢はもう『諦める』しか残っていないということを。


 そしてもう足音も自分の吐息さえも聞こえなくなった。

 恐怖のことで頭がいっぱいであり、五感から感じる情報を無意識に遮断してしまっているのだ。


 堅い地べたが赤く染まっており、それがほぼ視覚としての機能を果たしていない目に微かに映る。

 それが血だということに気づけたのは数分後のことだった。だが、体にそのような大けがをした痛みがない。


 光の方へと頑張って這いずろうとしたその瞬間、全身に急激な激痛が走る。そして徐々に五感から得た情報が流れ込んでくる。

 背中に何かが刺さっているようなそんな感覚と熱さと痛みと恐怖が身に沁み込んでいく。

 背中に刺さっているのは包丁のようなものだろう。



 ――背中が痛い



 脊髄はやられてはいないのか、手足の感覚はまだ多少ある。

 死に物狂いで手と足を動かし、光の方へ進もうとする。が、力尽きてしまい体が動かなくなった。


 不思議と先程までの恐怖が頭の中から抜けていく。

 死ぬと分かったことで恐怖が薄れてしまったのか、それとも正気が狂ってしまったのだろうか。

 彼はただひたすらに願い続けた。


 こんな経験はもうしたくないのだ、と。


「――か?」


 何か聞こえたような気がするが、もう聞くことすらきつくなってきた。

 それともただの空耳か何かだったのかもしれない。それでも聞き覚えのある声だったような気がした。


 そして、再度、背中に急な激痛が走る。


「いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい。いたい、いたい、いたい」


 久しぶりに大きな声が出てきたのだが、それは苦痛とともにでた人生最悪の叫び声だ。

 なにもかもが無駄なことだったのだ。努力も人生も何もかも。



 今度生まれ変わったのなら――、



 彼の最後の願いは。



 ――平穏に過ごせますように。



 そして佐々木(ささき)(れい)は悲惨な死を遂げるのだった。

明日、一話を投稿しますが、基本的に2,3日に一話のペースで投稿する予定です。

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