アイルの部屋
「リリ読む〜」
「ララ読む〜」
二人はミーオから、魔法書をサッと奪い取ると部屋を出て行ってしまった。
「どうせ。あの二人も読むことになるから、大丈夫」
ミーオがそう言うと、空になった食器を運び出した。
「アイルさん、お待たせしました。」
二人で使用済みの食器を運んでいるとポシュカから声がかかった。
「では、案内しますね」
『お願いします。じゃあミーオ、また明日』
「ん」
ミーオは、片手をスッと胸の高さまで上げて返事をする。
「先程、ご機嫌なリリとララとすれ違ったのですが何かありましたか?」
『ああ。魔法書をポシュカに読んでみてもらいたくて。銀の月のリーダーの症状を和らげるのにどうかと思ってね』
「そうだったんですか。ありがとうございます。あとでリリとララの所に行って読ませてもらいますね」
『あまり参考にならない魔法だったら申し訳ないです』
「いえいえ、そんなことはありませんよ。ありがとうございます。あ!着きました。ここの部屋です」
通された部屋は、木の枠でできた寝台と大きめの木の台がある簡素な部屋だ。木の台には、金属の枠と透けた板でできたよくわからない物が置いてある。
ポシュカか、その小さな置物の一面を開くと【火よ】と唱えて、置物の中にあった茶色味がかった白い棒へ火を灯した。
「元々は、リリかララのどちらかが使う予定だったのですが、二人は同じ部屋が良いとのことで余ってしまった部屋だったのです。この部屋には魔石がまだ置いていないので、夜はこちらのカンテラをお使いください」
どうやら、このカンテラに火をつけて灯りを維持するようだ。暗闇では【暗視】の魔法を使わないのだろうか。
「あと、ベッドにマットレスなどありますが昔買った来客用なので新品の寝具を明日買いに行きましょう」
『わかりました。色々とありがとうございます』
「隣はミーオの部屋で、その隣は私の部屋なので何かあったら声をかけてください」
そう言うとポシュカは、礼をして部屋を去って行った。
カンテラという物は、灯りを放つのは良いがいささか照度が弱いな。【光よ】の魔法を発動して、収納から小さな羊皮紙を取り出し木の台に置く。うーん。羊皮紙はある物の描く物がないな。とりあえずは血で良いか。
爪で羊皮紙に【光よ】と同じ効果のある魔法陣を描く。親指の先端を傷つけ出てきた血をその溝に薄っすらだが染み込ませる。よし。こんな物で良いだろう。魔法陣に魔力を注ぐと、魔法陣の中心から光が解き放たれた。これで、注いだ魔力が尽きるまでは光を維持するだろう。暗くしたい時は、魔力を抜いてやれば良い。
アイルは一仕事終え、エルフ達から貰った服を着替え始めた。
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「リリ、わかるー?」
「ララ、わかるー?」
枕を台代わりにミーオから奪った魔法書を置いて、二人はベッドにうつ伏せになりながらページをめくっていた。
「そもそも文字がわかんないー」
「初めて見る文字だよー」
うんうん、と唸りながらいつの古代文字に似てるだか、どの種族の文字に似てるだかと話あっているとドアからコンコンッとノックの音が鳴る。
「「どうぞー」」
「リリ、ララ。いま良いかしら?」
「「ポシュカも読むー?」」
「ええ。アイルさんから魔法書をお借りしたみたいね。わたしも読んでみたいと思って。魔法書は、どう?」
「「んー、わかんない」」
「わかんない?」
リリとララは、天才と呼ばれる部類だ。幼い歳の頃に魔法学校を入学。飛び級で進級・卒業している。神童だ。宮廷魔導士など引く手数多だった将来を投げ捨て、冒険者になるほどの変わり者でもあるが。その二人がわからない?なんて言うとは。
「わたしたちは、考えておくからー」
「ポシュカ見てて良いよー」
机の横にある椅子に腰掛けて、手渡された本を見る。表紙の文字は、掠れてしまって読み取ることができない。本を開きページをめくる。
すみません。相変わらず体調不良です。頑張って更新したのですが、途中で力尽きました




