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第13話 噂の生徒会役員


 シオリとの一件が解決し、翔は普段通りの日常を過ごしていた。稼ぐペースを落として、疲労回復に努めている。


 (ん…なんだ…?顔になんか当たってるな…)


起きようとすると何かが顔を擦っている。


 (妙に気持ちいい…なんだこれ…)


気になったのでガシッと掴んでみた。


 「はにゃっ!?」


可愛らしい声が聞こえる。しかし、ハルカでもカナでもない。


 「…その声は有栖か…?」


 「く…樟葉君…掴まないで欲しい…にゃ…」


翔が掴んでいたのはシオリの尻尾だった。


 「おぉ…これがアストレアの尻尾か…触り心地極上だぞ…」


 「尻尾はデリケートなの…」


シオリは翔が起きるのを待っていた。


 「そうなのか…で?風紀委員長がわざわざ俺の部屋に何の用だ?もしかして心配してくれてるのか?」


 「べ…別に心配だから来たとかじゃないわよ…!?そんな事…ぜーったいないしっ!」


ツンツンである。


 「ま、そう言うことにしておいてやるよ。じゃあ、風紀委員会で何かあったのか?」


翔は面白おかしそうに尋ねる。


 「ま…まぁ…ね…生徒会も絡んでてちょっと大変なの。これ見てくれる?」


シオリが見せたのはスマホ。学内掲示板が表示してある。


 「なんだこりゃ…大荒れじゃねーの…」


 「そうなのよ…」


 「ふむふむ…生徒会役員が校則違反をしているのにそれを放置している風紀委員会は腰抜け。生徒会と癒着か!?、か。相変わらず匿名となるとマジで好き放題言いやがる…それは人間もアストレアも同じか…」


風紀委員会と翔の件はお互い和解したという事で騒ぎも静まっていたが、相変わらず風当たりは強い。バッシングできそうなネタがあれば簡単に炎上する。



 「それで何でか…樟葉君がどっちに味方するかっていうスレもあってね…」


 「良くも悪くも俺は有名になってるからなぁ…有栖との一件もあったし。」


 「それでね…会長に心当たりがあるか尋ねたんだけど、全く分からないって…」


 「なるほど。ハルカは嘘つく性格でもないし、それは本当なんだろう。」


 「でももし書き込まれた内容が本当だったら…」


 「当然、風紀委員会への批判が爆発する。そして委員会の立場を守る為、有栖は生徒会を取り締まる。そうすれば、ハルカは失脚。風紀委員会は元々皆が嫌っているから、このタイミングで生徒会と風紀委員会へリコールを嗾けるってトコだな」


 「そんな事、一般生徒が考える…?」


 「いや、これを仕組んでいるのは俺と似たタイプの策略家だろうな。ただ、まずは目先の問題を解決しないと。ハルカが今失脚でもしたら色々まずい。」


 「新任の生徒会長を立てれば…」


 「アホか。この学園は生徒会長に莫大な権限がある中央集権だ。ハルカは持ち前のカリスマと手腕で今まで平和を維持してきたが、そんな事は誰にでもできるわけじゃない。だから、今失脚したらクーデター起こされる。それこそが敵の狙いなら、この学園の存亡すら危ぶまれるぞ?」


 「そんな…」


事の重大性を認識したシオリはたじろぐ。


 「それに有栖だってハルカに生徒会長で居て欲しいだろ?」


 「…そりゃ…そうよ…」


 「とりあえず、早くハルカと会って状況把握だ。今学園は生徒会も風紀委員会も批判する派が多い。だから俺は有栖と行動する。」


 「ど…どうして?」


 「生徒会は最悪、権限で捻じ伏せるという最終手段があるが委員会はそれができないだろ?それに風紀委員会への批判のほうが多い今、俺という中立的な人間が風紀委員会へつけば世論は混乱する。混乱は統率を崩すのに効果的だからな。」


 「なるほどね…」


翔の先読みや、判断力は普通じゃないと感じるシオリ。


 「んじゃ…支度して行くか…」


翔とシオリが部屋を出ると、カナが待っていた。


 「翔…?なんで風紀委員長と一緒にいるの…?」


 「戦術的パートナーだよ。ちょっと色々厄介なことが起きてる。」


 「…もしかして掲示板の事と関係ある…?」


 「まぁな。でもちょうどいい、3人で教室向かおう。」


翔、カナ、シオリの3人が一緒に歩いている姿は瞬く間に話題となった。クラスでも皆が翔とシオリの間に何があったのかという話題で持ちきりだ。


 「とりあえず、カナ。放課後付き合ってくれ」


 「それは良いけど…ほんと動じないよね」


翔は新聞を読みながら、スマホで取引している。首には猫耳ヘッドホンを掛けていた。


 「動じる理由ないしな。」


 「普通は焦ったりするって…ていうかヘッドホン、持ってくるようにしたんだ?」


 「まぁなー。この方がキャラ立つ気がしてな。」


 「そ…そっか…まぁ、似合うしいいかもねー…」


クラス中の視線を感じる中、カナは落ち着けなかった。


 「ていうか…だいぶ寝たけど、やっぱ怠さが残るなぁ…」


肩を回しながらぼやく。


 「それはね?ちゃんと食事してないから回復が遅いんだよ。昨日何食べた?」


マキが横から指摘する。


 「昨日?あー…カップ麺だな…」


 「そんなんじゃダメだってば…」


相変わらず食生活は壊滅状態のようだ。


 「ま、今は生徒会と風紀委員会の問題を解決しないとな。いろいろヤバイ。」


そう言われると何も言い返せない。



 放課後、生徒会室にはハルカ、シオリ、レイカ、翔、カナが集まった。


 「えーとじゃあ…始めます。」


シオリが切り出した。


 「会長に改めて尋ねます。生徒会役員の校則違反はご存知ありませんか?」


 「ええ…私には全く憶えがないわ…」


ハルカの表情は曇っている。


 「ま、ハルカが知ってたらこんな事にはそもそもなっていない訳だ。だから役員の内誰かが、裏で隠れてやってるって事になる。」


翔がフォローする。


 「私は職務上、ハルカとよく話すけど…隠し事なんてないわ…?」


 「レイカはそういう事しないでしょ…」


レイカの主張にカナが支持する。


 「それは俺も分かっている。疑うべきはそもそもこの場にいない奴だ。」


 「どういう事…?」


 「まず、掲示板のスレをよく見ろ?もし容疑者が割れてるならもっと個人を特定できる情報を晒すはずだ。だが、生徒会に校則違反をしている者がいるという事しか書いていない。つまり、こっちも向こうもまだ容疑者は分からないって意味でイーブンだ。さらに、情報が不完全だからか、損なわけないだろうという生徒会擁護派がまだいる。だから大荒れなんだよ。」


 「つまり…先に容疑者を見つける事が大事ってことね?」


シオリが腕組みしながら答える。


 「その通り。生徒会の人間なんて会長、副会長、監査、専務2人だけだ。ハルカとレイカは白だし、副会長はいない。だから監査と残りの専務の2人だけ考えればいい。」


 「でも…会長が白だと言える…?こんな事本人の前で言うの失礼だけど…」


シオリの風紀委員長魂は時に、精神を鋼以上に強靭にし、感情を凍結させる。


 「いいセンスしてるよな、有栖は。容疑者という可能性があればどんな相手でも疑う。その素質は尊敬する。でもハルカは白だ。なぜなら…ハルカは学園を大切にし、アストレアを大切にしている。そのハルカがわざわざ自分の立場を危うくする真似する理由がない。」


 「証拠は…?」


シオリの声は震えていた。


 「証拠なら俺自身だ。アストレアの為にわざわざ外から人間入れるんだぜ?そんな不確定要素を入れる事に迷いがないって事は、白って言うに足りるだろうぜ?」


その言葉にハルカは少し紅潮した。


 「じゃあ念のため…桜木さんを白と思う理由は?」


 「ここに居るからだ。俺は今日、カナしか誘ってない。でもレイカは自然とついてきた。掲示板を見てれば、生徒会室行く理由なんて問題の議論に決まっている。しかも俺が有栖と行動を共にしたって話はそこらで話題になっている。それらから踏まえれば、この場に来れば疑われる事なんて直ぐ分かる。それでも来るって事は白でなきゃできない。」


 「なるほどね…」


これでこの場の全員が潔白だという事が全員理解できた。


 「何とか先に容疑者を見つけたいが…あいにく俺は生徒会の他の奴を知らないからな。何とも言えないが、ある程度の推察はできる」


 「聞かせて…?」


ハルカが促した。

 

 「まず、今回の騒動の目的は、風紀委員会と生徒会の癒着を指摘して共倒れさせること。これによりクーデターを成功させ、学園を掌握する事だと思われる。生徒の心理を巧みに利用した作戦だ。」


 「えーとさ…なんでこのタイミングで…?」


カナが恐る恐る尋ねる。実は話についていくので精一杯だ。


 「風紀委員会と俺が揉めた後なら、皆の感情を揺さぶりやすいからな。そしてクーデターを起こそうなんて連中は学園の未来など考えていない、目先の利益に目が行ってる奴らだと思う。」


 「なんでそう思うの?」


レイカが突っ込む。


 「こんな場当たり的作戦でクーデターを企てる時点で先のことなんか見てないのは明らかだ。肝心な容疑者を特定していないわけだしな。詰めが甘い。頭は回るようだが、後一歩ってとこだ」


 「これやってる人ってまさか…」


ハルカが何かに気付いたようだ。


 「そう。教師陣の仕業だな。生徒が学園を掌握している実態を壊してしまいたいと考えてるんだろう。教師は退職したところで再就職は簡単だから、最後に一泡吹かせてやろうって腹なんだろうぜ?」


 「最後ってまさか…」


レイカが勘付く。


 「そういう事。運営体制が崩壊してさらに教師が総退職でもしたら無法地帯になるぜ?会長も風紀委員長も辞任している場合は教員が一時生徒会権限代行を行うという決まりがあるが、それすらできない状態となると詰みだ。」


 「会社のストライキと似たようなものだけど…ここは学園…労働組合がない…」


大企業の娘ならではの鋭さを見せる。


 「その通り。だから団体交渉でどうこうしようって考えはない。やるだけやってトンズラって事だ。」


 「どうすれば…」


シオリも流石に冷静さを失くす。


 「容疑者を特定して問題を解決する。ただ…」


 「ただ…?」


 「容疑者が何もしていなかった場合はそれを立証すれば収束するが、マジで何かしてた場合が厄介だ。」


 「それは…」


シオリにとって生徒会を取り締まるのは辛い。慕っているハルカを失脚させることになる上にまんまと計略に嵌められに行くようなものだ。


 「何とかもみ消すしかないんだが、こんだけ話題になった以上、道理が通った解決策が必要だ」


 「翔…そんな都合よく解決する…?」


ハルカが心配する。


 「多分大丈夫だな。教師陣は今回の騒動を起こすにあたって、見切り発車してるはずだ。」


 「見切り発車…?」


聞き返すハルカにも理解が及ばない。


 「生徒会を潰すには、どの道生徒会の汚点を指摘する位しかない。権力の差が大きいからな。だからこそ、俺と有栖の騒動に便乗して生徒会の汚点を指摘しつつ風紀委員会を煽る手段に出たんだ。だが、生徒会に汚点があるかどうかは計算していない。世論を煽ればリコール請求するところまで支持を集めるのは難しくないからな。」


 「そんな…リスキー過ぎるでしょ…もし嘘だったら世論の矛先が自分に向くじゃない…」


レイカが指摘した。


 「掲示板なんて匿名だから嘘でもデマだったで終わる。ネットの世界のいい加減さってそんなもんだぞ?」


その言葉には全員が絶句した。ここにいる人間は何かしら役職を持っており、責任感を感じて職務に励む者ばかりだ。それとは真逆の無責任さに塗れた実情を知って、最早語る口すら開かなくなった。


 「…だったら何とか容疑者を特定って行きたいけど…向こうはどう出るの…?」


シオリは委員長として許せなかった。だからこそ、真っ先に問題解決にあたろうとしている。


 「当然、真偽のほどを確かめに出る。自分たちの流した話がデマなら早々に撤収するだろうし、本当ならさらに掲示板に書き込んでくるだろうな。」


 「でもどうやって…特定すれば…」


 「向こうは…俺を舐め切ってる。任せな。手持ちの情報からすると、校則違反は学園内では行っていない。」


 「え?どして?」


カナのふとした疑問が出る。


 「カナや他の奴は校則違反は学園内でするものだと思っているだろ?でももし学園内でなら教師か風紀委員会が察知できるはずだ。でもできていない。」


 「そっか…アルバイトね!」


シオリが閃く。


 「さすが有栖、そういう事だ。ここはバイト禁止だからな。生徒がリスクを冒すに足るものはバイトしかない」


 「バイトねぇ…でも誰かしら…」


ハルカが考え込む。


 「そうだな。学外であれ生徒会役員が校則違反なんてすれば洒落にならない。だから悟られないよう、学園内では超絶真面目なはず。生徒会の仕事もキッチリこなしてるはずだ。」


 「でも…その残りの2人、仕事に凄く真面目なのよね」


ハルカが思い出しながら話す。


 「だったらそうだな…監査の奴って何者だ?」


 「監査は3年3組の更科ルリちゃん。」

 

 「どういう経緯で監査に?」


 「数学の成績が私の次に良いからよー?経理は全部任せてるの」


 「じゃあそれ以外の成績は?」


 「えーとね…赤点回避に必死…ね」


苦笑しながら答えるハルカ。


 「だったら容疑者は専務の方だな」


きっぱり言い切った。


 「…どうして?」


ハルカが聞き返す。


 「バレないように行動するには目立たない事が重要だ。つまり成績も目立った特徴がないはず。更科ルリは数学がハルカの次に成績良いってあまりにも目立つ。さらに他の教科が壊滅的なのも悪目立ちする。こういう所謂問題生徒ってのは教師がマークしてるに決まってる。」


 「なるほどね…レイカと同じもう1人の専務は、2年2組の長谷川ヒビキちゃん。確かに成績は…可もなく不可もなくってところね」


 「生徒会にはどうやって入ったんだ?」


 「専務枠で募集したの。そしたらヒビキちゃんだけ応募してくれてね」


 「ハルカの手腕は誰もが認めるところだが、同時に畏れ多いとも思われている。だから生徒会入りはあまりしたがらないはずなんだ。それに仕事がきついはず。それに敢えて入った上に仕事はきっちりやってる。ただのバカじゃないだろうけど…」


 「けど…?」


 「この程度の推理は教師もしてくると踏んだほうがいい。」


翔は教師陣を過小評価している訳ではなかった。


 「だったら…バイト先を特定して、先に確保しなくちゃ」


シオリが焦った口調で畳みかける。


 「とりあえず、長谷川ヒビキの写真くれ。」


翔は落ち着き払ってハルカに頼む。


 「それは良いけど…どうやって探すの…?」


 「そこは俺に任せな。」


そう言ってスマホを取り出す。


 『もしもし?天満さん?』


 『やぁ樟葉君。どうしたんだい?』


 『シャ・ノワールの生徒かつ17歳で預金口座作ってるやつっている?』


 『ちょっと待ってくれるかい?調べさせるよ』


しばらく無音の時が流れる。 

  

 『お待たせ。一人だけ生徒本人名義の預金口座があったよ。』


 『長谷川ヒビキって名義だろ?』


 『えーとね…コンプライアンスもあるから言いづらいけど…その通り』


少し小声で答える宮日。


 『ありがとな。それじゃまた後で掛ける』


そう言って電話を切る。


 「えーと…今電話してたのってCTF銀行東京本店長よね…?」


ハルカがおどおどしながら確認する。


 「勿論。長谷川ヒビキ名義の預金口座があるのが確認できた。」


 「それって何か意味ある…?」


カナは先ほどから思考回路がオーバーヒート気味だ。


 「雇われてる以上は給料振り込む口座があるに決まってるだろ?しかもCTFは日本最大手のメガバンクだからATMもそこら中にある。学園近くにも店舗があることを考えれば、口座作る選択肢としてベターだ。」


 「これでバイトしてる確証が得られたわけね?」


レイカが聞き返す。


 「そういう事。さらに給料の振込み先ってのはバイト先が取引で使う銀行に合わせるもんだ。手数料勿体ないからな。つまり、CTFに口座があるバイト先って訳だ。学園をおろそかにせずバイトできて、しかもバイト先はCTFに口座があるなら距離的に23区内に絞られる。ちなみにこの範囲内のCTFのシェアは9割とも言われてるからな。」


 「す…すごい…」


シオリは翔の推理力にひたすら感嘆している。


 「じゃ…じゃあ…一体どこで…?23区ってだけじゃとてもじゃないけど…」


ハルカが考えながら発言する。


 「あー…アストレアは猫耳と尻尾が当たり前の生活だし学園だと周りもそうだから感覚が麻痺ってるだろうけど…街中では目立つんだ。勿論、法の下に平等だから雇用機会も平等だけど、コンビニやスーパーでバイトしたら目立つ。その影響がない場所でするに決まってる。」


 「そんなところあったかしら…」


 「猫耳と尻尾の女の子がわんさか居ても違和感がなく、さらにバイトもできる場所なんて…アキバしかないだろ?猫耳メイド喫茶とか」


 「あっ…なるほど!」


ハルカもようやく合点がいく。


 「つまり…長谷川ヒビキはアキバでバイトしてるって事だ。メイドとかそういうのが好きなんだろうな」


 「樟葉君…すごい…」


シオリは素直に尊敬している。


 「とりあえず…なんか甘いもん食いてー…頭回して疲れた」


疲労が抜けきっていない状態なのだ。無理もない。


 「じゃあ、ココアでもどうぞ…♪」


ハルカが温かいココアを注ぐ。


 「おーハルカも疲れた時は飲むのか?常備してるってことは」


 「ええ…糖分切れると私、ダメだから」


苦笑するハルカも可愛いと思いつつココアで一息入れた。


 「そこまで分かったら確保できるんじゃない!?」


シオリがテンションをあげてきた。


 「まーな。ただ、向こうもこっちに気づいたら逃げるだろうし…ちょっと工夫するしかないが」


 「うーん…」


 「確保は明日、俺と有栖で行く。ハルカとレイカは情報収集だ。掲示板の動向に注視すること。カナはハルカとレイカをサポート。これでどうだ?」


 「…また翔に負担かけちゃうけど…悠長な事言ってられないし…そうしましょう」


ハルカが決断した。


 「んじゃ、明日、放課後寮の玄関で有栖と待ち合わせる。ハルカとレイカは掲示板をパソコンとスマホでチェック。カナは食糧とかそういうのを2人に代わって準備してくれ。作戦は長丁場になりそうだしな」


翔が適材適所で人材を振り分ける。反対する者はいない。


 「よし、じゃあ俺は部屋戻る。」


翔はそのまま生徒会室を去った。


 「いやほんと…樟葉君って何者…」


残ったシオリが呟いた。


 「なんていうか…でも、探偵というより経営者ってイメージのほうがしっくりくるわ…」


レイカは自分なりの印象を述べる。


 「翔は翔だよ」


カナは飾らず、シンプルだ。


 「翔は…アストレアにとって救いなのかもしれないわ…」


意味深なセリフを告げるハルカ。各々想いは違えど、皆、笑顔だった。




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