52話 操られ天使
セラフィスは私の元に飛んでくると回復魔法をかけてくれた。
「しかし電気のエレメンタルを体に宿してこいつを気絶させるってなかなか凄いね」
「そうだろ……感電しないように全身に電気を巡らせてただけなのにこんな事になるとは」
「体の中に電気を蓄えてたの?」
「そうだね……よっこいしょ」
私はセラフィスに起こしてもらい、奴の寝顔を見た。
「うーん、綺麗な寝顔だな」
「そうだね、しかしこいつ見覚えがあるんだよなぁ……誰だ?」
セラフィスはどうやら寝顔が綺麗な奴の顔を知っているようだった。
「どうしたの?」
「いやぁ……どこかで見た記憶があるんだよな、知らない記憶なのか?」
セラフィスはとりあえず奴を触手で拘束し、たたき起こした。
「あれ、ここは?」
「ねぇ、私が答えた事だけ答えて。一つ、どうして私たちを襲ったの?」
「襲った……?その記憶はないね」
「そうか、なら次の質問。ここに来る前は何処に居たの?」
「隣の国だね、そこで誰かにあってそこで私じゃなくなったんだよ」
その時、奴の周りに槍が出来た。
「まさか私を!?」
その槍は明後日の方向に飛んでいった。
「うげっ」
その槍は物陰に隠れていた奴を貫いた。
「……あいつの追っ手か」
「あいつの追っ手……?」
「そう、隣の国であった人の側近がいた。私を狙ってたらしい」
「もしかしてだけど……洗脳魔法で操られていた?」
「あ、紹介忘れてたね。私はニコラ・コラペントだ」
「ニコラ……思い出した。たしか保守派の?」
「そう、あなたとは関わりたくないと思ってたけど、まさか操られるとはね」
そう言ってニコラさんは笑っていた。
「助けられたんだし、一つだけ従ってもいいけど?」
「そんな事急に言われたって考え付くか?スイ?」
「いいや、思いつかないね。そもそも見返りを考えて動いていないし」
「それが今の命令だ」
「そうか、私は故郷を見に行ってくる。また会う日まで」
そう言ってニコラさんは上に向かって飛んでいった。
「何かさわやかな奴だったな」
「そうだな……」
私たちは道路に降り、とりあえず別の国に行く用意をした。
「あと1日泊まれるけど、どうする?」
「そうだな、もったいないがこの国を離れないといけないだろう」
そう言って私たちは荷物をナナシに持ってもらい、鍵を受付の人に渡した。
「後1日借りると言ったな、私たちはここを離れないといけなくなった。だけどここに来た人にはこう言っておいてくれ。3階の奥の部屋にはまだ人がいると」
私はそう言って外に出ていった。
「良いんですか?」
「マルセラ、どうせここに居ても敵はやってくる。だが強い敵が来る可能性があるんだ。だからのブラフを仕掛けたんだ」
そう、私たちがまだ泊っていると勘違いさせるために最後の一文を言ったのだ。
「ここから野宿ですか?」
「そうだ、火は魔法で点けるとして、野営道具はどうした?」
「野営道具は早朝私とナナシ、あとはマルセラと買いに行った」
「へぇ~私がいないのに決めたんだ」
「いいじゃんか別に」
私たちがこの国を離れるときシュバルァーさんとたまたま会った。
「もうこの国を離れるのか?」
「うん、だって追っ手がもうここに来てるんだ」
「そうか、ならこの言葉を授ける。その旅に幸運を!そして勇気を!」
「ああ、そうだな!」
そう言って私はシュバルァーさんと別れ、国の外に出ていった。
「さてと、ここからどうしようか」
するとセラフィスがこう言った。
「ならニコラが言っていた隣の国に行ってみようか」
「隣の国ね……確かに何が起こってるのか分からないし、行ってみないといけないね」
「じゃ、ニコラが言っていた隣の国に出発!」
そして私たちは隣の国に向かって馬車を走らせた。
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