47話 隠し事
翌日、起き上がるととても清々しい朝になっていた。
「……朝か」
まともなベッドで夜を過ごすとなると会社に行かないといけないという使命感に駆られるが今は会社なんてないから体が軽く感じた。
「セラフィスはまだ寝てるのね……」
私はそっとベッドから降り、朝食を食べた。
(しかしこんな青天の下でご飯を食べるのっていつぶりだっけ……サビ残が続いてた時は食事は会社、睡眠も会社だったから最高だな)
外に散歩に出ると国民たちがさっそく各々の仕事に向かって行くのを目にした。
(この世界にも仕事はあるのね……ニートは許されないのかな)
散歩していくと子供たちが学校らしき建物に入っていった。
(なるほど、子供の教育はばっちりしてあるのね。教育をきっちり受けておかないとまともな人になれないからなのかな)
そして散歩していくうちに大通りは活気ついてきた。
(そろそろ店が開く時間なのかな、どんどんと声が活発になってる)
その時後ろからエンジンの音が聞こえてきた。
「……まさか」
後ろからやってきたのは車だった。明らかに現実世界にある車だ。だけど形は違った。
(車を発明してるってすごいなぁ……そもそもエンジンを考えた人って誰なんだろ)
宿に戻るとナナシが日向ぼっこをしていた。
「あひゃー」
「ナナシちゃん、日向ぼっこするのはいいけど馬車に轢かれないようにね」
「あう」
宿の中に入り、セラフィスを起こしにいくとエルフが廊下をたむろしていた。
「……どうも」
「ああ」
どこか気まずそうな空気でわたしとエルフはすれ違った。だけどどうしたんだろう?
「ねぇ、あなたって追っ手に追われてる?」
その声にエルフは私から逃げるように走り出した。
「なるほど、何か知っているって事ね!」
私はエルフの後を追って外に出るとエルフは全速力で逃げていた。
(エルフの足に私が追いつけるのか?)
私はいけるところまでエルフを追いかけていった。
(しかし体力が多いな、かなり体力を使ってこれか……こりゃ追いつけないかな)
その時、目の前にいたエルフの体が消えるようにどこかに行った。
「あれ、一体何処に行った!?」
私はエルフがいた場所に向かうと誰一人エルフが消えたことに気が付いていなさそうだった。
(一体この違和感はなんだ?普通なら人が消えたと騒ぎになるはずだ……だけど周りの人は驚きすらなかった。周りの人たちは敵対信仰者じゃあないだろうし……いったいどこに消えたんだ?)
その時、カランという硬いものが地面に当たる音がした。
「誰だ!?」
足元を見るとエルフがつけていた指輪が落ちていた。
「これは……あのエルフがつけてた指輪だ……上から落ちてきたのか?」
私は上を見上げた、だがそこにあったのは国民の服だった。
(服ばかりだ……この中から探せとなるとさすがに私でも不可能に近い。どうする。そしてもし連れ去った奴がエルフの村を滅ぼした神の信仰者ならあのエルフは恐らく口封じで殺される。情報源を救い出さないとな)
その時、排水溝から影が私に向けて伸びていた。
「影だ……だけどこの影、不自然だな」
私は不自然な影を見た、すると見るうちに影はどんどんと不自然に排水溝に入って行った。
「そこか!」
私はマンホールをペンタグラムで破壊し、中に入っていった。
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