18話 逆鱗
ダンジョンの外に出ると馬車の周りには知らない人がいた。
「シッ」
ウィットフォードさんはすぐに状況が分かり、岩陰に隠れた。
「今そこに人いなかったか?」
「気のせいだろ、よほど気になるんだったらあの方がくれたこの鉄砲で岩を撃ち抜いたらいいだろう」
(鉄砲!?今鉄砲って言ったよな!?それにこの世界に鉄砲があるのに驚きだがあの方ってのは誰なんだ?)
銃声が聞こえるとウィットフォードさんが隠れている岩が撃ち抜かれていてウィットフォードさんの右肩すら貫いていた。
「ッ……」
ウィットフォードさんはぐっと痛みをこらえて声を出さなかった。
「気のせいだったか、しかしどうしてあの方はここに居ろってお告げしたんでしょうか」
「中立派の信仰者がいるから潰せっていうお告げだったがここで待つのにもなぁ」
「他の場所に行ってるのかもしれないですし、一旦他の場所に行きます?」
「他の場所に行った方がよさそうかな」
後ろから聞こえる足音が遠くなっていくのを確認してから私はセラフィスにこの事を聞いた。
「あんな集団いるの!?」
「あいつら鉄砲を持ってたね、つまりスイの世界に干渉できる神か自分たちで開発したか……」
「まさかあの人たちは信仰者なの?」
「ああ、だがここまでするのはヴァルチャーしかいないか」
「ヴァルチャー……それも神の名前なの?」
「ああ、だが度々事を起こしすぎてて私たちの中では危険因子として排斥させるはずだったんだけどなぁ」
「そうなんだ……」
「それはともかく俺を治してくれよぉ」
「はいはい、だけど声を出さなかったのは褒めてやる」
「セラフィス、どうして上から目線なのよ」
「いいじゃんか、神の威厳を保つためなら」
「一応神だったんだな」
「一応って何なのよ!?」
そんな大声を出していると当然奴らが戻ってきた。
「居たぞ!撃て!!!」
信仰者は私たちに向けて鉛玉を浴びせてきたがセラフィスの触手が防いでくれた。
「……ちょっと岩陰に隠れてて」
セラフィスは温度が籠っていない声で私たちに呼びかけた。
「分かった!」
私は倒れている彼女を抱え、ダンジョンの入り口に入って行った。
「……お前ら……それをどこで手に入れたァ!!!!」
セラフィスは場が震えるような声で信仰者に怒声を浴びせたが奴らは対話という事を放棄していた。
「まぁいい、撃て」
銃声が鳴り響き鉛玉が飛び交う中、セラフィスは体に銃弾がめり込んでいったがどんどんと再生していった。
「私にはその石ころ、効かないんだけどね。撃つんだったら聖なる力を持ったもので斬らなきゃ」
セラフィスの体が傷ついていくがどんどん再生が追いついていった。
(なんだこれ……無敵なのか!?)
「うお……これはすごい」
「ウィットフォードさんってどこの神を信仰してるんですか?」
「今それを言うのか!?ええい、保守派の誰かだ!」
「保守派ねぇ」
そして抵抗虚しくセラフィスの触手は信仰者の首を掴んだ。
「さて、ここから残虐ショーと行きたいところだけど私も一応神だ」
(あっ、さっき言われたこと根に持ってる)
セラフィスの触手は力をどんどんと抜いていった。
「3秒以内にこの銃を持って私たちを襲えって言った神の名前を言え?」
セラフィス特有の圧が私たちにも降りかかる中、信仰者は忠誠心が凄いのか言わなかった。
「3秒以内に言えなかったね、なら内臓をかき混ぜちゃおうかな」
圧力が次第に強くなっていき、信仰者が立てなくなると口に触手がつっこまれ、そして信仰者の体がのたうち回り、そして血を吐いて動かなくなった。
「人間ってのは本当に内臓をブチブチとちぎられたら死んじゃうのね」
「セラフィス……大丈夫なのか?」
「大丈夫、だけど服が」
鉛玉の雨に晒されていたセラフィスの服が見事に破けていた。
「うーん、この服ってオーダーメイドなの?」
「そう、そして私が一つ一つ縫って出来た物なのに……こんなことをされたら怒っちゃうよね」
「逆鱗に触れちゃったのか」
「そう、逆鱗。神の逆鱗は本当に怖いよ?」
セラフィスはそう言って私の肩を触手でポスッと叩いた。
「ははは……私が逆鱗に触れる事をするはずないじゃないか」
「そう言うと思った!やっぱりトモダチ!」
いつものセラフィスの戻ったのはいいが明らかに不穏な影が迫っているのを感じた私たちだった。
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