17話 神は気まぐれ
ガラスの奥にいた人には足や胴体や首にベルトが巻かれていて一切身動きが取れないようだ。容姿は白髪でどこか子供っぽさがあるような感じで不健康そうな肌だった。
「どうしてこんな厳重に拘束されてるんだろ」
「でも顔は美人さんだな……お嫁にしたいな」
「ウィットフォードさんそういう話は一人でどうぞ」
セラフィスは恐らく彼女の元に歩いて行ったが私には見えていた。異質な魔力を。
「セラフィス!そこで止まれ」
「どうして?」
「私の予想だけど彼女の拘束を解いたら最後、この場にいる私たちは死ぬ」
「その予想は何処から来るのかが分からないんだ」
するとセラフィスの触手が彼女の拘束具を解いた。
「まっずい!」
私は戦闘態勢に入ったが彼女はゆったりと動き出し、セラフィスに向かって歩いていた。
「大丈夫だ」
セラフィスは汗をたらしながら彼女を見つめていた。
(一体セラフィスは何を考えているんだ……?)
すると彼女はセラフィスの至近距離まで歩くとゆっくりと手を伸ばしていった。
「やっぱり恐れってのは時に人を狂わせるのかな」
セラフィスは伸ばされた手を取り、彼女をぎゅっと体のそばに寄せた。
「ほら怖くない、怖くない」
子供に呼びかけるような声で彼女の頭を撫でていた光景を見て私の目ではセラフィスの背中に羽が生えていた。
(不思議だ……こんなに頭がふわふわするような声は)
セラフィスはゆっくりと私たちの方に歩き出し、声をかけてきた。
「ほら、このダンジョンから離脱するよ」
「分かったけどその子は」
「そのことは後で聞く。だけどどうして私はこの子に対して敵意を向けなかったと思う?」
「信仰者を増やしたいから?」
「違う、こんなことを聞いたことないか?神は気まぐれで人を助ける。そして神は気まぐれで人を見捨てると」
「聞いたことないね」
「あちゃ~」
セラフィスは何処か安心できるような声で彼女に騙りかけている中、私とウィットフォードさんはセラフィスの行動についてまだ疑問を持っていた。
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