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~エピローグ~ 朱里視点

 ~エピローグ~



 朱里視点



 悠斗との二度目のキス。


 最低のファーストキスだった。と、彼に怒りをぶつけた時とは違い、私は幸せな気持ちに包まれていた。


 好き……大好き……愛してる……


 昨日は本当に嫌な気持ちになった。


 悲しかった。辛かった。


 悠斗を信じられなくなって、でも嫌いにはなれなくて、嫌われたくなくて、彼の優しさを、私のわがままで無くしたくなくて、私が我慢すればいいって、そう思って、だけど、だけど、だけど、悠斗が私にしてきた最初のキスは、彼からは愛も感じたが、謝罪の気持ちも流れてきた。


 嫌だった。


 大切な最初のキスを、謝罪に使って欲しくなかった。


 だから、私は怒った。


 だけど、それと同じくらいには、嬉しかった。


 この、二度目のキスは、100%、愛を込めて。


「……」

「……」


 どちらともなく唇を離した。


 少しだけ、名残惜しかった。


 ちょっとだけ、お互いに恥ずかしげな沈黙。


 でもそれは、さっきとは違う沈黙。


 私は、自分から切り出した。


「……名前。朱里って呼んでくれたね」


 ふふ、びっくりしたけど、嬉しかった。


「うん。朱里も、俺の事、悠斗って呼んでくれたね」

「うん。呼び捨てにしてくれたの、嬉しかったから」

「俺も、朱里から呼び捨てにされたのは嬉しかった」


 二人で、笑い合った。


 随分と久しぶりに、こんな時間が過ごせたと思う。


 そして、私は悠斗に聞く。


「ねぇ、悠斗?」

「なに、朱里」

「……責任、取ってくれるんだよね?」


 ほら、言って。


 私が求めてる言葉を。


「勿論。俺の一生をかけて、朱里を幸せにする」


 言ってくれた。


 嬉しい。


 幸せ。


 私は彼を抱きしめる。


「幸せにしてね、悠斗。信じてる」

「あぁ、絶対に。約束するよ」


 私が幸せを噛み締め、身体を離して、ふと、彼の後ろを見た。


『…………』


 そこには、悔しげな顔をした、黒瀬さんが居た。


 何故そこに?なんて思ったけど、何らかの手段でこの逢瀬の時間と場所を知ったのだろう。

 悠斗が話したとは思えない。

 きっと、何か……良くない手段で。



「……え?どうしたの。もしかして後ろにお父さん?」


 悠斗が私のただならぬ雰囲気を察したのか、後ろを振り向こうとする。

 私は、それを止めた。


「見ちゃダメ!!」

「え?」


 私は悠斗の頭を掴み、抱き寄せる。

 そして、その唇に私の唇を重ね合わせる。

 三度目のキス……


「……ん」

「…………」


 彼の意識を後ろから無くそうと、強く、強く、強く、唇を押し当てる。

 足りない……これだけじゃ……足りない……

 もっと、もっと、もっと深く、悠斗と繋がりたい。


「…………っ」

「…………んぅ」


 私は彼の口の中に舌を入れる。


 私のビンタで口の中が切れていたのか、少しだけ、血の味がした。


 私は薄く目を開ける。


『…………っ』


 黒瀬さんと目が合った。


 私はニヤリと目だけで笑う。


 悠斗は……私のモノだ。


 あなたの好きにはさせない。


 私はどうして、あの女に憧れていたのだろうか?


 好きだったのだろうか?


 あいつはもう『聖女様』なんかでは無い。


 私の……『敵』だ。



 ザッザッ……


 黒瀬さんは憎々しげに表情を歪ませると、踵を返して立ち去る。


 敵が立ち去った。


 私が勝った!!


 私は勝ちを噛み締める様に、彼の身体を強く抱きしめる。


 すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、、、だいすきだよ、、、ゆうと、、、だいすき


 理性が溶けていく。私の頭の中が悠斗で満たされていく。


 唇を離すと、赤みがかった唾液が糸を引いた。


 悠斗の血……もったいない……


 もっと、欲しかった……


 あの女がなにをしてこようともう関係ない。


 私は、決めた。


 ……悠斗は、渡さない……


「………え?、今、なんて?」


 あはは、口に出てたみたい。


「うぅん。何でもないよ」


 私はキョトンとする悠斗に笑顔でそう返した。



 悠斗の隣は、絶対に渡さない。


 私はそう誓った。



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