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最終話 ~気持ちの伝え方・俺は藤崎朱里を世界で一番愛している~ 後編

 最終話 後編





「……ん」


 涙で濡れた朱里に俺は初めての口付けをした。


 そして、俺は唇を離す。


「…………」

「…………」


 少しの無言。そして、朱里が口を開く。


「……最低」

「……っ!!」


 胸に突き刺さる言葉。冷たい表情の彼女がそこに居た。


「……最初のキスは、もっとロマンチックで、情緒に溢れてて、幸せな気持ちでしたかった」

「……ごめん」

「許さない」

「……っ!!」


 き、嫌われ……


「悠斗くんのデートはいつも幸せいっぱいで、100点のデートだった」

「……」

「悠斗くんの行動や言動はいつも私を幸せにしてくれて100点だった」

「……」




「でも、このキスは、0点だよ」





 冷めた目でそう言う彼女。


 初めて見るその表情に、俺は何も、言えなかった。


 そして、朱里はつづけた。


「だから、忘れないで」


「え?」


「悠斗くんは私を失望させた、悲しませた、がっかりさせた、不安にさせた、嫌な思いをいっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいさせたんだって!!」


「ありえない!!君には彼女が居るのに!!ほかの女の子と仲良くして!!それなのに!!キスしたら許してくれるとでも思ったの!!」


「許してやんない!!こんなんで許してやるもんか!!何度だって思い出せ!!私のファーストキスは、君のせいで台無しだって!!忘れるな!!」


「……」


 俺に何かを言う資格はなかった……


 そして、そんな俺に彼女が告げる。




「だからさ、悠斗くん……これから先の行動で、取り返してよ」



「……え」



「私のファーストキスを台無しにした責任を取ってよ。いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱい幸せにしてよ!!」



「朱里……」


「じゃなきゃ!!絶対に許してやんないんだから!!」


 彼女はそう言うと俺の目を睨みつけて、叫ぶ。


「歯を食いしばれ!!桐崎悠斗!!」

「……っ!!」


 彼女はそう言うと、思いっきり左手を振りかぶる。


 バチーーーーーーン!!!!!!


 雫に叩かれたのとは反対側を思いっきり叩かれた。


「こんなんじゃ足りないくらい痛かった!!」

「うん」

「利き腕であと千発は叩いてやりたい!!」

「うん」


 そう言うと、朱里はニコリと笑う。


「一生かけて叩いてやるんだから!!」


 彼女はそう言うと、俺に抱きついてきた。


 そして、



「私も大好き!!愛してるよ!!悠斗!!」


 そう言って、俺の唇に、自分の唇を重ねてきた。


 二人の女の子に叩かれた頬の痛みを忘れるほどに、このキスは甘く、俺の心と身体を溶かしていった。










 第一章 最終話 ~気持ちの伝え方・俺は藤崎朱里を世界で一番愛している~






 ~完~

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