番外編 ⑬ ~星くんの恋愛相談~
番外編 ⑬
朱里視点。
昼休み。悠斗と詩織ちゃんと別れた私は、ゆーこちゃんと武藤くんと一緒に食堂に向かってた。
『お昼の時間に話したいから、今日は一緒にご飯を食べようよ!!』
『うん!!誘ってくれてありがとう!!』
そんなやり取りを美月ちゃんとしたから、食堂で待ち合わせをする予定。
食堂の入り口に辿り着くと、美月ちゃんが私たちを待っていた。
「ごめんね、美月ちゃん。待ってたかな?」
「ううん。今来たところだからそんなに待ってないよ」
私の謝罪に、美月ちゃんは笑って答えてくれた。
「朱里に美月。ここで話してると邪魔になるからいつもの場所に行こうか」
「そうだね!!」
「うん!!」
「はぁ……なんか最近女に囲まれて飯を食うことが多いよな……」
武藤くんがそんなことを呟いていた。
「いーんちょーよりもあんたの方がハーレム野郎かも知れないな?」
「辞めてくれよ。俺はお前一筋だよ」
「……そういうのは二人の時に言えよ、バカ……」
ゆーこちゃんと武藤くんがイチャイチャしてる……
「あはは。いつの間にかくっついてたんだね、あの二人」
「体育祭からみたいだよ。時間の問題かなぁとは思ってたけどね」
私は美月ちゃんとそんな話をしていた。
そして、私たちは昼ご飯を買ってからいつもの丸テーブルに集まった。
「皆ご飯の準備は平気かな?」
私とゆーこちゃんと美月ちゃんは日替わり定食。
武藤くんはラーメンとチャーハン。
「じゃあ、食べようか!!」
私たちは「いただきます」と声を揃えてから食べ始めた。
「それで、美月は他校の生徒からの誘いには乗らないんだろ?」
ご飯をそれなりに食べ進めた頃。ゆーこちゃんが美月ちゃんにそう切り出した。
「な、悩んでる……」
「悩むことなんか無いよ!!そんなの絶対に嘘なんだから付き合う必要なんか無いよ!!」
私は思わず声を荒らげちゃった……
「うん……朱里ちゃんの言うように、99%嘘だってわかってるの……でも、もしかしたら……って」
「まぁ、そう思いたくなる気持ちはわかるけど……」
「と言うかその辺の事は悠斗が何とかするんじゃないか?」
「「「……え?」」」
私たちは皆で武藤くんに視線を集める。
「今日の放課後に返事を聞きにその男が来るんだろ?だったらその場で星と合わせて何かを話させるだろ。きっと悠斗ならそういう手段を取るだろ」
「あ、朱里ちゃん……その……私の話って……」
「あはは……悠斗には話してるんだ……」
「き、桐崎くんに話してるってことはさ……その……」
「うん。多分……星くんの耳にも……」
「あ、朱里ちゃーーーーん!!!!!」
「あはは……ごめん……」
顔を赤くする美月ちゃんに私は平謝りをする。
「星くんには……心配をかけたくなかったのに……」
俯いてそう呟く美月ちゃん。
「いや、隠される方が嫌だと思うけどな」
「私がこんなことを言うのもあれだし、美月ちゃんの気持ちもわかるけど、やっぱり話した方が良いとは思うよ?」
「そうだね。星としても相談くらいはして欲しいとは思ってるとは思うよ?」
私たち三人の言葉を受けて、美月ちゃんが顔を上げる。
「そうかな……うん。そうだよね」
美月ちゃんはそう呟いた後に、言葉を続ける。
「五時間目の休み時間に星くんに話してくる。放課後に男の人が来るから、一緒に来て欲しいってお願いする!!」
「その意気だよ!!」
「星も喜ぶと思うよ」
私とゆーこちゃんがそう言ったあと、武藤くんが言った。
「悠斗からメッセージが来たぞ」
『首藤さんとのデートを賭けて星とその他校の生徒で勝負をさせる。負けたら今後一切彼女には手を出さない。そういう手筈にする』
『星くんは絶対に負けないから安心してくれ』
「……だってよ」
「へぇ、いーんちょーも面白いこと言うじゃない」
「でも、その他校の生徒も結構上手いんでしょ?」
私のその言葉に、美月ちゃんは少しだけ表情を曇らせる。
「……ラフプレーが上手い選手って話なんだよね。だからその点は不安かも……」
「は!!そんねつまんねぇ選手に星は負けねぇよ!!」
「そうだよ!!それに、美月が応援してるってわかればこれ以上無いくらい星の力になるだろ」
「わ、わかった!!いっぱい応援するよ!!」
両手のこぶしをグッと握って美月ちゃんがそう言った。
「じゃあ、とりあえず美月ちゃんは、星くんに自分の口からもう一度話しをしよう。そしたら放課後はその男の人に勝負の話をする感じで」
「向こうとしてもこの上ないチャンスに見えるだろうからね。断らないとは思うよ」
「あとは星がちゃんとその男をボコボコに負けさせてやればいいだけの話だな!!」
話がまとまった私たちは笑顔で手を叩く。
「ようやくゴールが見えたね!!あとはそこに向かって頑張ろう!!」
私たちは声を揃えて「おーー!!!!」と手を上げた。




