第十話 ~狂乱の体育祭~ ⑱
第十話
~エピローグ~
夜。病室のベッドで俺は目を覚ます。
周りを見れば真っ暗。朱里や詩織さんの姿は当然ながら無い。
「やっぱり帰ってるよな……」
少しだけの寂しさを感じながらそう呟くと、下半身に違和感を覚える。
「…………寝てたことが後悔されるな」
きっと俺が寝てる間に『いろいろ』していたのだろう。
あはは……誰かに見られてたらどうしてたんだろうか……
俺はそんなことを思いながら、スマホを手にする。
すると、メッセージアプリに結構な量のメッセージが届いていた。
そのほとんどがクラスメイトからの俺の身体を心配するメッセージ。あとは星くんからも来ていた。
みんなの優しさに胸が温かくなる。
だが、クラスメイトのメッセージに紛れて『雫とは別のもう一人の妹』からメッセージが来ていた。
「…………雫が話をしていたのかな?」
そんなことを思いながら彼女からのメッセージを開く。
『お兄様こんばんは。そろそろ薬の効果が切れて、目を覚ました頃かと思います』
『雫さんから話は聞きました。体育祭の途中で倒れたそうですね。原因は盲腸だと伺いました』
『お兄様の事ですから、命に関わる病気じゃなくて良かった。などと思ってますね?ダメですよ。盲腸で命を落とす方も居ますからね』
『さて、そろそろお盆の時期がやって来ます。お兄様に会える唯一の機会ではございますが、来年以降は私も雫さんと共にお兄様と同じ高校に進学をする予定です』
『今からその時が楽しみで仕方ありません』
『それでは、お身体に気を付けて日々をお過ごしください。私はお兄様に会える日を心待ちにしております』
『美澄瑚白より』
「なるほど。瑚白も来年からはうちの高校に来るんだな」
遠くの田舎に住む従姉妹からのメッセージを読んだ俺はそう呟いた。
来年以降も騒がしくなりそうだな。
俺はそんなことを思いながら、
『次会った時は勉強を見てやるよ。これでも学年次席だからな』
瑚白にはそう返信をして、もう一度眠りについた。
第十話 ~狂乱の体育祭~ 編
~完~




