第十話 ~狂乱の体育祭~ ⑯
第十話
~エピローグ~
詩織視点
今日は本当にいろいろなことがありましたね。
ですが、概ね予定通りに事を運べたと思っています。
ふふふ。全校生徒の前で悠斗くんとキスをしたのはとても幸せな気持ちになれました。
ですが、綱引きが終わった時に、彼が倒れてしまったことには動揺を隠せませんでした。
正直な話。朱里さんがあそこまで取り乱して無ければ、私がああなっていたと思っています。
「一生……死ぬまで二人とは一緒に居たい。そんな俺の我儘に付き合って欲しいんだ」
「うん。いいよ」
「もとより私は死ぬまで貴方と共に居ます」
「ありがとう。俺はそんな二人と出会えて、本当に良かったよ」
彼の本心を聞くことが出来ました。
ふふふ。そうですね。今のポジションで満足はしてませんが、この関係を死ぬまで続けるのも、悪くないかな。とは思ってしまいます。
それ程までに、今が楽しいと言えますから。
そして、
「……すぅ……すぅ」
薬が効いてきた悠斗くんが、落ち着いたように眠りにつきました。
「さっきはありがとうね、詩織ちゃん」
その様子を見た朱里さんが、私に向かってそう話してきました。
「落ち着かせるためとはいえ、朱里さんの顔を叩いてしまいました。感謝されるような事はしてないですよ」
「あはは。それでも、だよ」
彼女はそう言うと、悠斗くんの顔を撫でました。
「悠斗の言うわがまま。私もわかるんだ。今がすごく楽しい。そりゃあ詩織ちゃんって言う最大のライバルと戦うのはすごく大変。油断したら負けちゃうもん」
「ふふふ。そうですね。虎視眈々と私は貴方のポジションを狙ってますからね」
「あはは。私は思うんだ。詩織ちゃんが居なくて、悠斗と二人で仲良く付き合ってるだけの関係だったら、ここまで楽しいとは思えなかった」
「詩織ちゃんが居るからこそ、私は負けないように頑張れる。もっともっと魅力的な女の子になろうって思える。そういう自分磨きが、すごく楽しい」
「だから、これから先もずっと、貴方の挑戦を受け止められるような私で居るよ」
朱里さんはそう言って私に笑いかけました。
「そんなことを言って貰えるとは、嬉しいですね」
私は笑いながら彼女にそう答えました。
「本来ならば、毛嫌いされても仕方ない存在のはずなのに、こうして容認してくれる。貴方のその『正妻としての覚悟』を聞かせてもらいました」
「それでこそ、戦う価値があると思いますよ」
「負けないよ、詩織ちゃん」
「ふふふ。最後に勝つのはこの私です」
私たちはそう言ったあとに握手をしました。
そして、
「でね。詩織ちゃん。きっと悠斗はこの後少ししたら起きると思うんだ」
「そうですね。目を覚ますとしたら二時間後くらいかと思います」
私たちが帰ったあとくらいに目を覚ますかと思います。
寂しい思いをさせてしまうかも知れませんね。
「ねぇ、詩織ちゃん?」
「はい。なんですか?」
私がそう返事をすると、朱里さんは何やらニヤリと笑っていました。
あ、これは何か『イタズラ』を思いついた顔ですね。
「悠斗が起きた時に看護師さんに何も出来ないように、二人で枯らせておこうと思うんだ」
「なるほど。それはナイスアイディアです」
私たちはそう言うと、悠斗くんの布団の中に潜り込みました。
そして、布団の中で顔を合わせた私と朱里さんは笑いながら話をします。
「こんなことが出来るのも詩織ちゃんとだからだと思うんだ」
「そうですね。こんな朱里さんの変態行為にお付き合い出来るのは私くらいのものですよ?」
「変態行為だとーー!!!!」
「変態行為じゃないですか。こんな寝ている男性に性的なイタズラをしようだなんて」
「でも。詩織ちゃんだって、楽しいと思ってるでしょ?」
「まぁ、その気持ちが無いとは言えませんね」
「詩織ちゃんだって変態じゃーん」
「はぁ……朱里さんの変態が感染してしまったのですね」
「か、感染って……病気みたいな言い方しないでよ……」
「まぁ、ある意味病気ですよね。恋の病。と言うやつです」
「あはは。一生治らない病気だね」
「ですが、『お薬』は悠斗くんから出て来ますので」
「とんでもない発言が詩織ちゃんから出てきました。だけどそうだよね。早速だけど悠斗から『お薬』を貰おうかな」
「はい」
私たちはそう話すと、悠斗くんの下半身の衣類を脱がせました。
病院の個室に、女子高生二人が男子高校生に淫らな事をしている。
まったく。私も随分と変態行為に抵抗が無くなったものですね。
私はそんなことを考えながら、悠斗くんからの『お薬』をたっぷりと堪能しました。