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第九話 ~蒼井さんとの初めてのお出掛け~ ⑩

 第九話 ⑩




 蒼井視点



「ふふふ。今日はなかなか収穫の多い日だったと思う」


 バフンと僕はベッドの上にダイブしてそう呟いた。


 悠斗くんの『時間』を手に入れることが出来たのは予定通りだ、罪悪感を刺激して、と言う想定では無かったが、まぁ結果的には満足が行っている。


 悠斗くんの『予定』と言うのは十中八九『本命』と『即席』絡みのことだと思う。


 今日のデートについて根掘り葉掘りきかれてるんだろうね。まあ、あのキスプリクラは確実に二人の目には晒されているはずだ。


 身体の関係に近いことをしている二人にとっては、児戯に等しい行為かもしれないけど、自分の所有物に唾を付けられるのは気分が良くないだろうね?


 ふふふ。僕は気分が良いけど。


「さて、次のデートはいつにしようかな?」


 タイミングは考えなければならない。


 彼は言っていた。僕の優先順位は二人に劣る。と。


 ならばそこに被らないようにしなければならない。


 体育祭が終わってから。と言うのは危険だな。


 きっとその辺の予定は埋まってるはずだ。


 中間テストの前や後も難しいはず。


 となるとやっぱり……夏休みまで……


 いや、考え方を変えて、


「彼に誘わせるか」


 そうだ。僕から誘うからタイミングを考えなければならなくなるんだ。悠斗くんから誘わせればOKのはずだ。


 問題は、彼が僕をデートに誘う理由が必要になること……


 色仕掛け?いやいや……それは『まだ早い』


『本命』と『側室』が終えてから出ないと彼は乗って来ないだろう。それまでは彼の『身体』はお預けと思っていた方が良い。


 とするならば……


「怜音を使おう」


 そうだ。『生徒会長と副会長の対談』と言う内容の新聞記事を作る。その流れで彼をアプローチを掛けよう。

 時期は……中間テストの前辺りにするか。


 そして、対談が終わった時に『夏休みの一日デート』の話をして、日程と時間を決める。


 この時に注意しなければならないのは、夏休みの『後半』にしなければならない点だ。


 理想は花火大会が終わったあとだな。


 きっと彼は夏休みの前半に『本命』と、中盤に『側室』と、関係を深めるはずだ。

 だとするならば狙うは『後半』しかない。


「まったく。悠斗くんの今年の夏休みはとんでもない事になってるな」


 僕はそう言うと、ベッドから起き上がり、机の上に飾ってあるプリクラを眺める。


 彼の『時間』は手に入れた。そして次は『身体』を手に入れに行く。


 そして最後は『心』を手に入れに行く。


「あはは。今はあの二人にリードを許しているけど、最後に勝つのはこの僕だ」


 プリクラに一つ口付けをして、僕はお風呂に入るために部屋を後にした。


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