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第八話 ~放課後~ 朱里視点

 第八話 ~放課後~



 朱里視点





 放課後。私は詩織ちゃんと一緒にスタバに来ていた。


 以前、美月ちゃんと来ていた時に、彼女もここを利用している。という話を聞いていたので、誘った次第だね。


 私はいつものように『ゴディバ』を頼んだ。

 やっぱり若いんだから甘い物を摂取しないとダメだよね!!今の年齢だから楽しめる物ってあると思うしね。


 詩織ちゃんは一瞬だけメニューを見て固まって居たけど、甘さたっぷりにしたカフェモカを頼んでいた。


 なんとなく、彼女のイメージに合ったチョイスだなーなんて思ったかな。


 そして、私たち二人は少しだけお店の端っこの方。会話がなるべく他の人に聞こえないような場所に席を取った。



「詩織ちゃんとここに来るのは初めてだね」

「そうですね。彩さんと一緒に来たことは何度がありましたが、朱里さんとは初めてです」


 私たちはそう言うと、頼んでいた飲み物をひと口飲む。


 うん。甘くて美味しい!!


「ふぅ……それで、朱里さん。ここに私を呼んで、二人で話しがしたい。という事は、悠斗くんのことですよね?」

「うん。そうだよ」


 私はそう言うと、首を縦に振った。


「私と詩織ちゃんの間で『約束』を決めておこう。そう思ってね」

「……約束。ですか」


 訝しげな表情の詩織ちゃん。そんな彼女に私は説明する。


「詩織ちゃんは今。悠斗の『身体』と『時間』を持っている。それを使えば『ほぼ全てのことがあなたの気持ち次第で出来る』そんな状態だよね」


 私のその言葉に、彼女は嗤った。


「そうですね。今日の朝。朱里さんがしたことも、『やろうと思えば』出来ます」

「そう。だからね、約束をしようと思うんだ」


 私は飲みの物をひと口飲んで、言う。


「『三人が破滅するような行動はしない』これを私と詩織ちゃんの間で約束しない?」

「……それは、私の行動を制限する。という事ですか?」


 詩織ちゃんの言葉に私は首を縦に振る。


「そうだね。ただ、行動を制限するのは詩織ちゃんだけじゃない。私もだよ」


 人目があるところでの『行為』に関しては制限していく。


「これをお互いの約束事にしない?」

「……いいですよ。ただし、一つだけ言わせて貰えますか?」

「何かな?」


 私がそう言うと、詩織ちゃんは嗤う。


「朱里さんは今日の朝『人目があるところでキス』をしましたね?なので、私も『一度だけ』人目がある所での行為を許してくれませんか?」


 ちっ……やっぱりそこを言ってきたか。


「はぁ……やっぱりそこを言うよね。いいよ。先手を打ったのは私だからね。『一度だけ』詩織ちゃんに人目がある所での行為に関しては黙認するよ」


 私は手を広げてやれやれと返事をする。


「ふふふ。ありがとうございます。でも、朱里さんの言うことは確かだと思いますね。このままエスカレートしてしまったら、待っているのは三人の破滅だと思いますので。基本的に悠斗くんは『拒否』をしませんからね」


「そう。だから私たちが『したい』と思ったことはなんでも出来てきまう。だから、こっちで自制していく必要があるかと思ったの」


 私はそう言うと、詩織ちゃんの目を見る。


「ねぇ、詩織ちゃん?」

「なんですか、朱里さん」


 疑問符を浮かべる彼女に私は言う。


「二人でやるのも楽しかったと思わなかった?」

「……そうですね。思いの外楽しかったのは否定しません」

「多分だけどね、こんな気持ちになれるのは詩織ちゃんだけだと思うんだ」

「……何が言いたいんですか?」


 少しだけ視線を外して、軽く笑みを浮かべる。


「こんなことが出来る時間は絶対に長くない」

「そうですね」


「今しか出来ないことを、三人で楽しみたいって思っちゃったんだよね」


 その言葉に、詩織ちゃんは呆れたような表情を浮かべる。

 そしてため息混じりに言った。


「……はぁ。朱里さんの変態行為に付き合ってあげますよ」

「変態行為だとぉ!!」


 声を荒らげる私に、詩織ちゃんは笑う。


 私もあなたのことは嫌いではありませんから。

 三人でも構いませんよ。


 なんて言う詩織ちゃん。


「とりあえず。今度の土曜日は楽しもうか」

「そうですね。こんなことが出来るのはきっと『今』だけでしょうからね」



 喫茶店の片隅で、この上なく不道徳なことを言って笑い合う女子高生二人が居るなんて、絶対に誰も想像もしてないだろうな。


 そう思った。


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