表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
213/283

第八話 ① ~初めての朝帰り。雫からは……~

 第八話 ①





「…………はぁ」



 早朝。俺は自宅の洗面台の前で一つため息を吐いた。


 徹夜をしたのは初めてでは無いが、『朝帰り』をしたのは初めてだ。


 鍵のしまった家の扉を開け、軽くシャワーを浴びてから着替えを済ませた。


「…………朝帰りとは随分な身分ですね?」

「……雫」


 冷たい目をした雫が俺の後ろに立っていた。


「……『誰と』一晩過ごしたの?それによってはおにぃと呼ぶか、あんたと呼ぶかが決まるよ?」

「…………朱里です」


 俺のその言葉に、雫はため息を吐いた。


「……なら、まだいいかな」

「……すみません」


 頭を垂れる俺に、雫は言う。


「なんで連絡しなかったの?」

「……スマホを弄る時間を与えて貰えませんでした」


 朱里ちゃん激おこじゃん……


 と、雫が自分の額に指を当てた。


「何したのよ、おにぃ……SNSで楽しそうなツーショット写真上げただけじゃそうはならないでしょ?」

「…………聞きたい?」


 俺は苦笑いを浮かべながら、雫に聞いた。


「…………聞く義務はあるかな」


 そう言った雫に、俺は昨晩のことを話した。






 夜。朱里の両親は結婚記念日なので二人で飲みに行く。そのまま泊まって帰らない。という話だった。

 夫婦水入らずで過ごしてもらいたいとのことで、朱里は一人で留守番をすることになっていた。

 去年は佐藤さんが一緒に泊まっていたそうだが、今年は俺を泊めるからと断りを入れていたらしい。


 そんな話は初めて聞いた。と話をすると、サプライズにしたかった。と言われた。


 なるほど。なら仕方ないな。


 俺は朱里の自宅に上がり、初めて彼女の自室へと入る。


 ピンクを基調とした部屋は、朱里らしい女の子のイメージをそのまま具現化した部屋になっていた。


「今夜は寝かさないから」

「……それって男のセリフじゃないのかな……」


 そういう俺を、朱里は無言で睨みつける。


「……へぇ、随分と余裕そうだね?」

「い、いや……そういう訳じゃ……んっ」


 朱里は俺の口を塞ぐようにキスをする。


 そして、そのまま俺をベッドの上へと押し倒す。


 ホント……逆だよなぁ……


 なんて思ってると、朱里は俺の下腹部を触ってきた。


「……っ!!」


 え?な、なんで!!??


 唇を離した俺は、朱里を驚いた目で見る。


「脱げ」

「……はい」


 これ以上無い行動の強制。

 俺は来ていた服を脱いでいく。


「……あ、あのどこまで」

「詩織ちゃんの前で脱いだ分までかな?」


 ニコリと嗤う朱里。


 ………………。


 俺は『全ての衣類』を脱いだ。


 そして、俺の身体を上から下まで見た朱里は再び嗤う。


「……ねぇ悠斗『くん』?」

「……はい」


 俺の下腹部を指さして、朱里は問う。


「なんでそこに詩織ちゃんが着けてたリップの色が着いてるのかな?」

「………………」


 こ、答えたら死ぬ。答えなくても死ぬ。


「まぁ、『血』が着いてたら私は悠人を刺してたかな」

「………………」


 そう。その一線は超えてない。


「何回?」

「……い、いっか……」

「本当の事を言わないと『潰す』」


 昏く淀んだ瞳で言う朱里。

 本当のことを言わないと潰される。

 どこを!?わかるだろ!!


「……に、二回です……」

「……何処と何処で?」


 …………。


「『口』と『胸』です……」

「……へぇ、口と胸ですか。随分とお楽しみだったようで?……どうでしたか、悠斗くん?」

「………………」


「言わないと潰す」


「はい!!男のロマンを叶えていただいたような気分でした!!」


 俺のその言葉に、朱里は三度嗤う。


「四回ね?」

「…………え?」


 よ、四回?な、何の数字だ……


「若いんだから余裕だよね?」


 わ、わかった……『あの回数』だ


 もう既に二回してる中で、あと四回!?


 ま、マジで!!??


「その節操のない下半身を躾直してやる」

「………………はい」


 そして、俺は寝れない夜を二人で過ごしたのだった。



 ちなみに、『手』で一回、『口』で一回、『脚』で一回、

「もう無理です……」と話すと、『足』で踏まれて……











「……と言うことがありました」

「よく生きて帰ってこれたね、おにぃ……」


 まぁ、完全に自業自得だけどね。


 なんて雫に言われたけど、はい、その通りだと思います……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ