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番外編 ⑧ ~星くんの恋愛相談~

 番外編 ⑧





 聖女様視点




 パチパチパチ……


 夕刻。私は自室でノートパソコンを起動させ、悠斗くんから依頼された『脚本』の執筆をしていました。


『学園の王子様が深緑の令嬢を救い出す』


 ふふふ……こういう甘々のラブストーリーと言うのは元々はそこまで造詣ぞうけいが深い訳では無いですが、悠斗くんの影響で、ライトノベルを嗜む様になってからというもの、そういうのも好きになってきました。


 彼の色に染められてしまっていますね。


 なんてことを思いながら、私は執筆を続けます。




 話の内容としてはこうです。




 思慮深く、他者への主やりに溢れる一方で、自分の気持ちを表に出すことが苦手な女の子。緑を愛する彼女は深緑の令嬢と呼ばれていました。


 そんな彼女に、密かに思いを寄せていた王子様でしたが、彼には親が決めた許嫁が居ました。


 見ているだけでいい。そう思っていた王子ですが、事情が変わりました。


 深緑の令嬢に手を出そうとする他国の王子が現れたのです。


 敵対関係にある国。ですが、深緑の令嬢はその王子の誘いをなかなか断りきれません。


 そう。令嬢は自分の気持ちを表に出すのが苦手なのです。


 その様子を見た王子は立ち上がりました。


 彼女の危機は自分が救う。親が決めた許嫁の存在など関係ない。自分が真に愛するのは彼女だ。


 王子はその令嬢の元へと走り出しました。







「……ふぅ」


 私はノートパソコンを閉じて一つ息を吐きだしました。


 物語の出足としてはこのような感じで良いでしょう。


 ミステリー小説しか読んでない頃の私では、こんな話は書けなかったでしょうね。


 ちなみに、個人的な執筆活動で書いているのは、私と悠斗くんが甘々でラブラブな夢小説と言うものです。

 こ、こんなものは彼に見せる訳には行きませんっ!!


 チラリとスマホを見ると、メッセージが届いていました。


 内容を確認すると、悠斗くんからで、新聞部の協力を取り付けることが出来た。


 そういう内容でした。


 ふふふ。流石は悠斗くん。新聞部の三輪先輩はかなりのやり手です。そんな彼女をやり込めるのは相当大変だったと思います。それをしっかりやり遂げるとは、予算会議の時も思いましたが、やはり彼は凄いです。


 そして、私はふと思いました。


「演劇部にも協力を取り付けることが出来ないですかね?」


 先日。彼の元に演劇部の部長さんが来ていました。

 ……女たらしのハーレム王の悠斗くんは彼女をしっかりと堕としていましたね。


「この一連の一幕を『演劇部の出し物の一環とする』そうすれば作戦の成功率はかなり上がるのでは?」


 そうすればこの脚本の使い道も出来ますし。

 せっかく書くのですから、今後も有効活用してもらいたいです。


 そう考えた私は早速悠斗くんにメッセージを送りました。


 すると、すぐに既読が着き、彼から返信が来ました。



『ありがとう、詩織さん!!そのアイディアはすごく良いと思う!!今日はもう遅いからアレだけど、明日にでも演劇部の永瀬先輩に話をしに行ってくるよ!!』


 ふふふ。彼の役に立つことが出来ました。



 私は満足感を胸に抱いて、笑いました。


『お役に立てて光栄です。……あ、悠斗くん。この件にかこつけて、演劇部の永瀬先輩を口説いてはいけませんよ?』


 と、少しだけ冗談ぽく注意をしておきました。

 彼は無自覚に女の子を堕としてしまいますからね。

 ……全く。仕方の無い人です!!


『口説かないから!!』


 そんな返信がすぐに来ました。


 ふふふ。楽しいですね。一年前では考えられないような関係性の変化です。


 私はそう考えながら外を見ました。


 高層マンションから見る景色は、とても綺麗です。


 そう、これはまではそんなことを気にすることすら無かったです。


 今度の日曜日は悠斗くんとデートです。


 この部屋に彼を呼んで……告白をします。


 正攻法で彼にアプローチをかけましょう。


「……デートと言うのはどうしたら良いのでしょうか」


 私はスマホを掴んで、彩さんにメッセージを送りました。




『デートについて教えてください!!!!』



 そして私は、友人の彩さんと遅くまでメッセージのやり取りをしていました。

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