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番外編 ② ~星くんの恋愛相談~

 番外編 ②





「恋愛相談?」



 俺は彼から言われたその言葉の意外さに、首を傾げる。


 めちゃくちゃモテるこの彼が、わざわざ俺に恋愛相談?

 正直な話。女の子なんて選り取りみどりだろうし、彼が告白でもすれば百発百中だろう。


 そんな彼が『相談』するなんてことは、


「……なぁ、星くん。君が好きな相手は法に触れないよな?」

「…………おい、俺はロリコンじゃないぞ」


 星くんはそう言うと、深くため息を吐いた。


「ごめん。小学生にガチ恋してる。とかそういう話が来るかと思ったよ……」

「おいおい。勘弁してくれよ桐崎くん……」


「……差し支えなければ、お相手を聞いても平気かな?」


 俺が星くんにそう言うと、彼は顔を赤らめて言う。


 ……あぁ、本気で好きなんだな。


「サッカー部のマネージャーの首藤(しゅとう)さんだよ」


 サッカー部のマネージャー。たしか、首藤美月(しゅとうみつき)さん。


 去年の俺のクラスメイトだったな。


 美化委員をしていて、気配りが出来て、優しい人柄だったな。


「で。首藤さんが好きなら告白すれば良いじゃないか?何か問題でもあるのか?」


 そう言う俺に、星くんは言った。


「その問題について、落ち着いて話す場所が欲しいと思ってたんだよね」

「……なるほど。……じゃあさ、今日の昼ご飯は俺たちと食べないか?」


 俺は星くんにそう提案する。


「いいのかい?」

「もちろん。それに、君さえ良ければ、俺の友達も含めて相談に乗れると思うけど。まぁ、必然的に君の好きな人を暴露する必要があるんだけど」


 俺がそう言うと、星くんは少しだけ思案したあと、


「うん。君の友人ってのはいつもあの丸テーブルにいる人たちだよね?あのメンツなら信頼出来ると思うから、よろしくお願いするよ」


 そう言って笑った。


 やべぇな。マジカッケェ。


 彼我のスペックの差をまざまざと見せつけられた形になった。



 そこまで話したところで、予鈴が鳴った。


「そろそろ授業が始まるな。戻ろうか」

「そうだね。相談に乗ってくれてありがとう、桐崎くん」

「いや、まだなにも解決した訳じゃないから、お礼なんかいいよ」


 俺はそう言うと、手をパタパタと振った。


「あはは。そうか。じゃあ、また昼休みに食堂で」


 星くんはそう言うと、自分の教室へと戻って行った。


 それを見送った俺は、教室の中へと戻った。



 ガラリ



 と、教室の扉を開けると、皆が一斉に俺へと質問を浴びせてきた。


「なぁ、桐崎!!お前、星くんと何話してたんだよ!!??」

「桐崎くん!!もしかして女の子だけじゃ飽き足らず、星くんまで手を出したの!!??」



 おいおい……ちょっと待ってくれよ……


 俺は深くため息を吐くと、


「部活の予算の件について話を聞いてただけだよ。お金の話だから教室の外で話してただけ。もう少し詳しく話を聞こうと思うから、昼休みは一緒にご飯を食べよう。そういう話をしたんだよ」


 俺はそうみんなに説明した。


 そう言うと、みんなは渋々納得したようだ。


 俺は少しだけ疲れた顔をしながら席に戻る。


「……で、悠斗くん。本当は違うんですよね?」


 と、詩織さんが聞いてきた。


「うん。まあね」

「聞いても平気なんですか?」


 まあ、もともと話す予定だし、早いか遅いかだから良いか。


「恋愛相談を受けることになったんだよね」

「恋愛相談……ですか?」


 また珍しいものを引き受けましたね。


 と、詩織さんは笑いながら言う。


「まぁ、詳しい話は昼休みにご飯を食べながら聞くよ。ってなったからさ」

「そうなんですね」


 詩織さんはそう言ったあと、少しだけ意地悪な笑みを浮かべた。


「悠斗くんに恋愛相談なんですが」

「……おい」


「私の好きな人に、彼女が居るみたいなんですが、どうしたら良いですか?」


 なんて言う詩織さん。


「……ノーコメントでお願いします」

「ちぇー」


 そんな会話をしていると、


 授業の開始を告げるチャイムが鳴った。



 国語の授業を受けながら、俺は思案する。




 星くんの恋愛相談。一体どんな内容なんだろうな。



 まぁ、話を聞いてみないことには始まらないよな。


 実は彼の悩みの原因の一端が自分に合っただなんて事は、その時の俺にはまるで想像もしていなかったんだよな。



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