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異世界任侠伝、魔王がなんぼのもんじゃい!   作者: にゃんこめん
第三章 異世界で集いし勇者の仲間
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第十五話 ゲームに例えたら不正行為を疑われる

 寅吉は匕首(ドス)を握りしめた拳で、オークのどてっ腹を殴りつける。

 彼は血反吐を吐くオークを殴った勢いで地面に押し倒すと、ゴブリンたちが放った矢を睨みつけて『ふんッ!』と、手を横に降り気合で払い除けた。

 俺には小鬼(ゴブリン)の放った矢が貧弱なのか、寅吉が手を振って起こした風圧が凄いのか、一瞬のことで判断できないが、


「すげえ……寅吉さんは魔法とか魔力に頼らず、覇気だけで矢を落としやがった」


 とりあえず勇者として転生した寅吉は、ゴブリンの放つ矢如きで傷を負うことがないらしい。

 弓矢を持つゴブリンにも、それが伝わった様子だ。

 及び腰になった小鬼たちは、じりじりと包囲網を広げて背後にある森に敗走するようだ。

 となれば、寅吉が一匹倒した残りはオーク四匹だ。


「寅吉さんッ、俺も加勢します!」


 攻撃魔法が使えない俺は、錫杖をバットのように持ち替えて、寅吉に襲いかかるオークの顔面に振り抜いた。

 俺は必死で、鼻血が吹き出したオークを錫杖で滅多打ちにする。

 錫杖は魔法使いの武器なのに、物理攻撃でも有効なんて万能だ。

 豚面(オーク)一匹を沈黙させた俺が、寅吉に振り返れば、彼は左右から襲いかかるオークの顔面を、二匹同時に蹴りと拳で粉砕していた。

 彼は皆から『勇者』と呼ばれるだけのことはある。

 ステゴロの戦闘スタイルは、繁華街で見かけるヤクザの喧嘩だが。


「寅吉さん、あと豚面一匹ですね。小鬼の奴らは、勝てねえと諦めて逃げるみたいです」


 いや、残り一匹になったオークも逃げるつもりだ。

 及び腰のゴブリンをチラ見しながら、自分もゆっくり後退りしている。

 最後の一匹は棍棒に丸い盾を装備しており、他のオークより立派な体格をしていた。

 こいつが化物パーティーのリーダーに違いない。


「ゴブリンどもッ、親分置いて何逃げてやがる! とっととかかってこんかいッ、この腰抜けどもが!」

「寅吉さんっ、なんで挑発してるんですか!? いいじゃないですか、あいつら逃してやりましょうよ」

「タクミは、俺の背中に隠れていろ」


 あんたは良いよっ、ゴブリンの矢を覇気で無効化できるからさ!

 俺は、そんな芸当できねえんだよ!

 化物が見逃してくれるなら、万々歳じゃねえか!

 と、言えるはずもないので、俺は素直に寅吉の背中に隠れた。


「さあ三下(モンスター)ども、全員でかかってきな」


 お言葉に甘えて、と、言ったかどうかはわからないけど、リーダー格のオークが雄叫び棍棒を振り下ろせば、森まで逃げていたゴブリンが反転攻勢に出た。

 不敵な笑みを浮かべた寅吉は『俺をタマ取るには兵隊が足りねえよ』と、錆びたナイフを手に飛びかかってくるゴブリンに、走り込みながら一匹ずつ拳で叩き落とす。

 彼の拳で粉砕する錆びたナイフ、小鬼の頭蓋骨、肋骨をおられた奴もいる。

 七匹いた小鬼は、すれ違いざまに瞬殺された。


「反則的な強さだ……こんなのゲームなら不正行為(チート)キャラじゃねえか」


 俺は空を見上げて、雨のように降り注ぐ化物の血を浴びた。

 それからリーダー格のオークと向き合った寅吉の背中、龍に喰らいつく虎の入墨(モンモン)を見た。


「てめえで(しま)いだぜ、親分さんよお」

「ぶ……ぶひぃ……ぶひぃ」


 戦意喪失したオークは、へたり込んで失禁している。

 俺はビビってションベン漏らす化物なんて初めて見たが、これじゃどっちが化物かわかりゃしねえな。


「あばよ」


 寅吉の拳がオークの顔面に振り下ろされて、化物との戦闘は終わった。

 彼は匕首(ドス)を使わずに素手で戦ったので、その理由を聞けば、オーク如きの血のりでドスの切れ味を落としたくなかったと言う。

 こんな化物の仲間で、俺はラッキーだ。

 こんな化物に命を狙われる魔王のやつが、俺は不憫でならない。

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学校丸ごと異世界にドン!もよろしくお願いいたします!
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