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18話

10月8日。ソ連海軍は甚大な打撃を被り、終戦までウラジオストクへ籠ることになった。

ゴルシコフ少将の戦死、そして敗北の責任をとらされたクズネツォフ元帥は少将へ三階級降格を喰らい、3名の海軍将校が射殺された。だがそれでもクズネツォフは新たな艦艇建造計画を提出して復権を目指す。


一方では北海道本土では終わらない戦いが続いていた。

沖縄・台湾沖海戦から遡る(さかのぼる)こと3ヶ月前。


昭和20年7月1日

函館航空基地

午前8時半

青空広がる飛行場に海軍の紫電改や烈風戦闘機や攻撃機に陸軍の4式戦闘機(疾風こと大東亜決戦機)3式戦闘機(飛燕)及び5式戦闘機(飛燕改)などが陸海軍の偵察機である百式司偵や彩雲に二式艦偵と共に翼を休めていた。

朝礼を終えてから343航空隊所属の俺、青田大悟海軍少尉は愛機である紫電改(343-A-51号)の前である女性の写真を胸ポケットから出して見ていた。

この人はどうやら故郷の(石巻に住む)母が探して来た見合い相手らしい。

すると同郷で俺の直属の上官、菅野直大尉が「おう。何を見ているんだ?」と聞いてきた。

「あ、菅野大尉?いやいや何でも無いですよ」と俺が言うと彼は「何でも無いわけないだろ見せろよ!」と言って写真を取り上げる。

「返してください!隊長!」と俺が言うと大尉は「おぉ、美人な姉ちゃんじゃねえか!お前の婚約者か?」と言う。

それに対し俺は「いえ、母が私に紹介したいと言う女性です」と言い更に「と言うか、返してくださいよ!」と言う。すると大尉は「はいよっ、あんたが結婚ねぇ…………俺もそろそろ考えなきゃいけない時期だが今、俺が戦地を離れる訳にはいかないんだよな………」と言う。

そして大尉は「来週の週末だが会ってこいよ。大丈夫、俺が休暇を取らせてやるよ」と言う。

すると俺は「本当ですか!」と言い、大尉は「あぁ」と続く。

だがそんな会話を遮る様に突如として『空襲警報発令!』との放送が鳴る。

「隊長!行きましょう!」

俺がそう言うと菅野大尉は「そうしよう!行くぞ!」と言うと俺と菅野隊長に343の同僚達は愛機(紫電改)向けて走る。それは陸軍のパイロットたちも同様で彼らの愛機に飛び乗る。

愛機に乗り込むとエンジンは既に整備員たちによって動いていく。そして若き血潮の~♪と整備員たちが斉唱する予科練の歌を涙を流しつつ聞き、機体を動かして滑走路へ向かう。離陸直前、彩雲と陸軍の百式司偵からの情報が入り、敵爆撃機はTu-3(B-17もどき)とその護衛であるYak-3であるのが判明する。


皇国を、故郷を、この北海道の大地を護る為にいざ、出撃だ!

男泣きの涙を拭くと俺はそう自分へ言い聞かすと愛機は軽快なエンジン音を奏でて広大な蒼空(突き抜ける様な大空)へと舞い上がる。

空での戦いが始まった。


遡ること4時間前。

同日未明の未明

伊400潜水艦司令室

「0430…………時間だ!」

時計を見た第26潜水艦隊司令橋本以行(はしもともちつら)大佐がそう言うと艦長で、北海道出身の俺、幌村学(ほろむら・まなぶ)中佐が「メインタンクブロー!浮上急げ!」と命じる。

すると朝焼けの海を裂くように4つの潜水艦が浮上する。


そして浮上したら俺はマストへ登り、甲板を見下ろす。

すると格納庫が開き、航空機に似ているがそうでは無い何かが出て来たのである。

4式飛行爆弾。射程120㌔を誇る無誘導の飛行式爆弾だ。

この飛行爆弾の目標は札幌市、ここから1、20㌔先だ。

故に燃焼の量は2/5で済む。

「射出用意…………ってぇー!」俺の横にいた橋本司令がメガホン越しにそう叫ぶと射出機上を4式飛行爆弾は補助ロケットの力を借りて勢い良く滑り出し、メインエンジン始動と同時に急加速し、次第に見えなくなってくる。そして次発をレール上に配置し、射出に備える。

2つとも射出し終えると格納庫ハッチの閉鎖を命じ、俺は「ベント開け!急速潜航!」と命じたのである。

すると4隻は水中へと消えていき再び身を隠したのである。

その時刻は0500。僅か30分で浮上、飛行爆弾の発射用意と発射を各2回、そして潜航をやってのけたのである。

が、飛行爆弾の効果はイマイチであったと言うが、冷戦終結直後の1990年代に実施された日露両国の検証によるとこの攻撃は心理的には大きな効果があったと言う論文が公表され、石狩~岩三沢奪還の成功への切っ掛けとなったのである。

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