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いつかの理想のプロローグ
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もう、無理だ。そんな風に、私の心は諦めようとしていた。そのくらい絶望的な状況だった。それなのに。
「待たせたな!」
「......え、」
そう言って、彼は私の前に現れた。もう二度と会えないと思っていた彼が、今、触れられるほどの距離にいる。
幼い頃の、いつかの憧憬。その声を聞くたびに私の心は歓喜した。何故ここにいるのか、どうやってここまで来たのか、聞きたいことや話したいことはたくさんある。でも、それはこの難局を乗り切ってからだ。
「あ、危ない!」
「大丈夫。【古代の祝福】【飛翔の羽】【エクステンド・マジック】【神通力】【魔力活性】【天使の恵】【オールレジスト】【人智超越】【英雄の剣】ーーー」
夥しい数のスキルエフェクトが煌めいている。彼が言葉を紡ぐたび、魔力が震えて世界は勝利を祝福する。それはまるで、御伽噺の英雄だった。
「ーーー終わりだ」
そして、その手に輝く平凡な剣は『災害』の首を刈り取った。
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