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そい姉さんと魚臭い学園  作者: Gさん
第一部 

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11/28

エピローグ

陽南水耕学院ようなんすいこうがくいんを取り巻く騒動が収束して数週間が経った。


学院全体を覆っていた生臭い匂いは、今ではほとんど感じられない。


試験栽培棟の跡地は、巨大な重機によって根こそぎ掘り起こされ、残された巨大な穴は、分厚いコンクリートと特殊な合金の層で厳重に封鎖された。


上空から見れば、かつて最先端を誇った研究棟があった場所は、ただの不自然な空白地帯と化していた。


その作業を指揮したのは、あの「専門家」と名乗るグループだった。彼らは学院長と密かに協議を重ねた後、任務を終えると、まるで幻のように姿を消した。


彼らが何者で、この深淵の主についてどれほどの知識を持っていたのか、その全貌は学院長ですら掴みきれていないようだった。ただ、彼らの残した言葉は、学院長の心を深く蝕んでいた。


「これは、始まりに過ぎません。目覚めは、止められない……」


学院は、事件の真相を隠蔽するため、あらゆる手を尽くした。


生徒たちには「大規模なシステム障害とそれに伴う複合的なガス漏れ事故」という説明がなされ、詳細については口外しないよう厳しく指導された。


しかし、心の奥底で、あの夜の出来事が現実だったことを知る者は、確かに存在した。


彼らは、漠然とした恐怖を抱えたまま、それぞれが抱える秘密と共に、日常へと戻っていった。


リツコは、退院後すぐに学院に戻った。

彼女は、事件のショックから完全に立ち直ったようには見えなかったが、持ち前の明るさで、混乱する生徒たちの心を支えようと奔走した。

生徒会副会長としての職務を全うし、学園の復興に尽力する彼女の姿は、多くの生徒にとって、希望の光だった。

しかし、夜な夜な、彼女は自室の窓辺に座り、あの小茄子の芽を眺める。アキラが残した、あの小さな希望。

そして、彼女の心に響く、微かな「サイン」。

それは、彼女を深淵の底へと誘う声ではなく、むしろ、アキラが生きて、どこかで戦っていることを告げる、確かな鼓動のように感じられた。


タカシは、奇跡的な回復を見せた。

医務室から外部の病院へと移送された彼は、数週間後には意識を取り戻し、身体的な異常は一切見られなくなった。

しかし、彼の瞳には、以前のような劣等感は消え、代わりに、あの夜の出来事が刻み込まれたかのような、深い影が宿っていた。

彼は多くを語らなかったが、時折、ぼんやりと窓の外を見つめ、「アキラ……」と呟くことがあったという。

彼にとって、アキラは自分を救い、そしてあの悍ましい存在から学院を守ってくれた、唯一無二の存在だった。

タカシの心には、アキラへの深い感謝と、そして、彼に起こった悲劇に対する、拭い去れない罪悪感が残されていた。彼は、アキラがどこかで生きていると信じ、その手がかりを求めて、人知れず学院の古い書物を読み漁り続けることとなる。


学院長は、事件後、急速に老け込んだようだった。


彼は、あの「専門家」たちが残した言葉の重みを、誰よりも深く理解していた。


地下に眠る「深淵の主」は、一時的に封じられたに過ぎない。


いつか、再び目覚める日が来ることを、彼は知っていた。


そして、アキラという、深淵の主の「血」を引く者が

その目覚めを止めたという事実も。


学院長は、アキラがどこかで生きていると信じ

密かにその行方を探るための「備え」を進めていた。


それは、将来、再び深淵の主が目覚めた時

アキラの力を借りるためなのか

それとも、別の目的があるのかは、誰にも分からなかった…。

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