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不快な生徒会長

 学校では麻美姉にも挨拶くらいしかせず、学校を終え夜を迎えても、由美を含む三姉妹は家に来なかった。

 少し寂しさもあるが彼女達のことを考える良い機会だと思った。長女でしっかり者だけど少しエロい麻美姉、次女でよく怒るけど最近優しい美海、三女で明るいけどのほほんとしすぎている由美。

 どの娘も個性があり、素敵な女性達だ。小さい頃からよく家族ぐるみで一緒に遊んだ仲だからもう家族みたいな大切な存在になっている。三人ともだ。しかしその中から一人を選ぶなんて僕には少し酷だ……。

 ふうとため息を吐く。

 また明日考えるか。

 しかし寝たらすっきりしてしまい、結局翌日の放課後まで特にそれについて深く考えず仕舞いだった。そして僕は1週間ぶりの部活についわくわくし、先週どんなことをしたっけかと思い出しながら教室へと向かう。そして教室に着くと集まっている文芸部員達は既に本を読んだり、わいわいと話したりしていた。そしたら先輩が話しかけて来た。


「お、岩田か」

「あ、はい。えーとっ」

「軽井沢だよ」

「あ、済みません軽井沢先輩。なんかこの1週間いやに長かった気がして」

「おいおい頼むぞ? 俺はいつも通りの1週間だったぞ?」

「そうでしたか」

「本は持ってきたか?」

「あ……」


 忘れてた。


「済みません。忘れてましたっ」

「おいおい、ここを何部と思ってるんだ岩田はっ」

「済みません!」

「まあ、まだ二回目だしな。俺も入った当初はよく忘れてたもんだ」


 そ、そうなのか。


「だからな岩田。そういう時は図書館に行って本を借りて来ても良いぞ」

「え? 良いんですか?」

「本を読めば良いんだから構わん。下手したら漫画も良いくらいだ!」

「そ、それは流石に緩すぎませんか?」

「他もそんなもんじゃないか?」


 気になってもう一人の一年の彼を見たが、静かに本を読んでいた。

 さて部活を終え伸びをしながらのんびりと学校の校舎を歩いていると音や声が響く。吹奏楽部の音色から生徒達の賑わった声、外から聞こえる運動部のかけ声と色々だ。そして靴箱に差し掛かり、校舎を出ようとした時、岩田君と僕の名を呼ぶ声が後ろから聞こえた。男の声だった。振り向くとそこに居たのは生徒会長だった。


「えーっと」

「僕のこと知らないかい?」

「知ってます。生徒会長でしょ?」

「そう。稲生だ」

「あ、どうもです……」


 で、生徒会長がどうして僕を呼んだんだ?


「えっと、あの……」

「……全く君には失望だよ」

「えっ?」


 僕は突然のことでキョトンとしてしまった。


「あの一体何の話……」

「君は、菊地君を知っているだろ?」


 菊地って……。


「麻美姉のこと……?」

「そうだ」

「えーと、麻美姉がどうかしたんですか?」

「彼女は副会長としてよく頑張ってくれている。会長としての僕のわがままをよく聞いて献身してくれている」


 そうなのか。流石は麻美姉、仕事が出来るなーっ。


「優しくしっかり者できちっと身の回りをよく見て周りの人達を助けてあげている」

「そうなんですか」

「そうだ。僕が生徒会長でいられるのも彼女のお陰である所が大きい」


 なんか僕が褒められているようで気恥ずかしかった。


「そうですかねぇ?」

「しかしそんな彼女にも少し残念な点がある」


 え、そうなのか? あのほぼ完全無比な麻美姉がねぇ。それは少し気になるな。


「それは一体……」


 そう僕が言うと彼は突然見下した目を向けながら言った。


「それはどうも出来の悪そうな男にご執心という点だよ」

「!?」

「それは誰のことか分かるかい?」

「……」

「愚鈍な君でも流石に分かるか。そう、君のことだよ」


 彼はため息をもらしながら僕の目を鋭く見て話を続ける。


「全く、一体君の何が良いのか」


 僕を上下にじろじろと見る。


「容姿端麗、成績優秀、真面目で的確に物事を判断するこの僕よりも底辺カーストで優柔不断そうな君の方が良いとはなっ」


 そして彼はわざとらしく首を左右に振る。


「君達の間に何があったかは知らないが昨日から彼女は元気がない」

「! ……」

「仕事に支障はないが、どうも気持ちがここにあらず状態が続いている」


 そして彼は侮蔑の表情で辛辣に、


「全く困ったことだ。こんな出来損ないのような君の何が良いのか……」


 その挑発するような言い方に、つい僕は歯を下唇に押し当てる。

(何だこいつ!? 腹立たつーーっ!!)

 

「今回君を改めて見て確信したよ。君の目にはしっかりした意志を感じない。確固たる決意がない。そんな君を僕がマークするなんて甚だ残念だよ」


(はぁ? いったい一人で何言ってんですかねこの人は?)

 そして彼は少し笑みを浮かべながら僕を罵倒する。


「君と彼女では学校でのヒエラルキーが違いすぎる。だから彼女のヒエラルキーに似ている僕こそ彼氏として相応しい」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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