#4
【作者より】
この作品は実際に出版打診の経験がない作者が書いたものです。
実際の出版打診と全く違いますと思いますので、あらかじめご了承ください。
益子は打診のメールを送ったあと、彼は少しホッとした表情をしている。
その反面、運営側に届き、本人にも情報が送られているかと不安な気持ちもあった。
「まだ、本人に伝わってないかなぁ……。ユーザIDを見た限りだとベテランユーザみたいだし……。仕事中だと申し訳ないかなぁ……」
益子はぶつぶつ呟きながらエレベーターに乗り込む。
1階のエントランスまで降り、外に出て、彼は10分くらいぼんやりと空を眺めていた。
「1回本人に連絡を入れてみよう。繋がらなかったら、留守電に入れておけばいいだろうし。よし、そうしよう!」
彼はどこか吹っ切れた表情を浮かべ、編集部に戻った。
*
同じ頃、日下部氏はパソコンで『いくつになっても恋をしたい』の最新話を書き終え、更新の準備をしていた。
誤字脱字や登場人物の一人称に間違いがないか一通り確認し、一時保存する。
彼は椅子から立ち上がり、軽く体操をしている時だった。
プルルルル……と携帯電話の着信音が部屋中に鳴り響く。
「ハイ、もしもし」
日下部氏はいつも通りに電話を受けた。
『もしもし、日下部良介先生の携帯電話でよろしいでしょうか』
「えぇ。そうですが」
『私、「なろうブックス編集部」の益子です』
「…………」
「なろうブックス」という名前を聞いた彼は何かのドッキリを仕掛けられたのかと思い、口をパクパクと動かす。
数秒の沈黙を破った彼は、
「……えぇっ!? もしかして、出版打診のご連絡でしょうか!?」
と素っ頓狂な声を挙げながら益子に問いかけた。
『作用です。『小説家になろう』の運営様からメッセージはご覧に――』
益子は日下部氏にメッセージを見たかどうかを確認する。
今の彼にとっては重要なことなのだ。
「なろうの運営様からのメッセージ? うわぁ! 本当だ!」
日下部氏は『小説家になろう』のマイページを開く。
パソコンの左上の方に「新着メッセージが1件あります」という表示があり、彼はそれを開いたと同時に驚いている。
『今、ご覧になったのですね』
それを確認した益子はホッとしたようだ。
「すみません。先ほどまで、更新の準備をしていましたので、今、拝見しました。ボクの作品である『いくつになっても恋をしたい』で本を出させてもらってもいいんですか!?」
『ハイ』
日下部氏はまだ自分の作品が書籍化されることを信じられないようだ。
「まさか、連載中のボクの作品が出版社の目に止めてくださるとは思っていませんでした。担当の編集者さんは益子さんでよろしいですか?」
『えぇ。私が担当になりますね。日下部先生、これから大変になると思いますが、頑張っていきましょう』
「ハイ。こちらこそよろしくお願いします! 失礼します」
日下部氏との電話を終え、益子は受話器をそっと置いた。
2016/05/23 本投稿
2017/01/29 大幅改稿に伴い、話数変更




