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第20章(最終章):最後のバグ ~寿命を削る黒幕CEOとの最終決戦、そして現実をプラチナトロフィーで制覇する相棒の笑顔~

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!


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もし少しでも「面白かった!」「熱い逆転劇だった!」「スカッとした!」と思っていただけましたら、ページ下部より【ブックマーク登録】や【ポイント評価】、リアクションや感想などで応援していただけますと、今後の執筆の大きな励みになります!


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エレベーターの扉が開くと、そこは完全なる破壊の光景だった。『地下2階』はもはや論理的な建築構造としては存在していなかった。ゴリアテがすべての仕切り壁を文字通り更地にし、分厚い鉄筋コンクリートの外壁だけに囲まれた超巨大な円形アリーナを作り出していたのだ。

エリアスは一歩前に踏み出した。汗ばんだ両手でアサルトライフルを強く握りしめる。室内は点滅する非常用投光器によって昼間のように明るく照らし出されていた。アリーナの中央には、破壊の神のように威圧的なゴリアテがそびえ立っている。

(遮蔽物として使えるのは瓦礫の山だけか)銃撃戦になった場合のカバーリングを計算しながら周囲をスキャンし、エリアスは分析した。(容赦のないアリーナだ)


もう一歩踏み出した、その時。突然、環境音が完全にゼロになった。瓦礫から舞い上がっていた粉塵が空中でピタリと静止する。管理者(アドミン)権限によって、「時間そのもの」が一時停止されたのだ。

目の前の空気がパチパチと音を立て、黒と金のピクセルへと分解された。あの商人――『CEO』が1メートル先に実体化した。もはや洗練されたスーツは着ておらず、黒ずんだ重厚なタクティカルアーマーと引き裂かれたマントをまとっている。右手には幅広く湾曲した刀身を持つ怪物じみた『シミター(三日月刀)』を握っていたが、その刃は光を一切反射していなかった――周囲の空間を吸い込むかのようなコードの異常(アノマリー)、純粋な「ブラックホール」だった。


「ようこそ、坊や……」純粋な憎悪で震える金属的なエコーを響かせ、CEOが切り出した。「ついに最終ボスまで辿り着いたね。君の同業者たちが誰ひとりとしてかすりすらできなかった偉業だ。祝辞を贈ろう……だが、君はここから生きては出られない。君のゲームは、今ここで終わりだ」

CEOのモデルが視覚的グリッチを起こして消え、ゴリアテのすぐ隣へと瞬時に再出現した。空気が再び動き出す耳をつんざく轟音と共に、時間が流れ始める。

盲目的な捕食者のコードに忠実なゴリアテは商人を完全に無視し、白濁した両目をエリアスへと向けた。


だが、最初に攻撃を仕掛けてきたのはCEOの方だった。それも「生存のルールそのもの」を書き換える攻撃で。

ゲームの物理法則のあらゆるパラメータを破壊する超速度で、CEOが前方へとダッシュした。エリアスがライフルの銃口を持ち上げるより先に商人が目の前に迫り、シミターで斜め斬りの一閃を繰り出した。

エリアスの反射神経が、横方向へのローリング回避を可能にした。刃は彼の顔面からわずか1ミリの空気を切り裂いた。物理的なダメージは受けなかったが、その呪われた武器がすぐ近くを通り過ぎただけで、脳内に不自然な氷の悪寒が走った。

HUDが警告の赤色で激しく点滅する。


【吸血(ヴァンパイア)攻撃。時間を奪われました:-1時間】

【大脳皮質崩壊まで:05:24:18】


パニックに喉を締め付けられ、エリアスは目を見開いた。(体力を削るんじゃなく……俺のクソタイマーを直接削るだと!? あいつの武器は、現実の残り寿命を吸い取るのか!)

ローリングしながら、エリアスはボスの着地地点の真下に破片手榴弾を1個落とした。

ドォン!!

爆発がCEOをまともに飲み込んだ。彼の頭上に赤いインジケーターが表示される。【-10% HP】。

商人は後方へと吹き飛ばされ、ゴリアテの近くに重く着地した。創造主としてのプライドに対する打撃は壊滅的だった。彼の冷静さが崩れ去り、コードの裏に隠れていた欲求不満で恨みがましい生身の男の本性が露わになる。


「全員出てこいッ!」声を裏返らせながら、CEOが絶叫した。「私の体力が50%になったら姿を現す計画だったことなどどうでもいい! あいつを殺せ!」

アリーナが2つのスポーンの閃光によって引き裂かれた。巨大なロケットランチャーで武装し、重装甲に身を包んだ「2人のプログラマー」がアリーナ両脇の瓦礫の上に実体化した。

同時に、ゴリアテがタイタン級の跳躍を放った。アリーナの中央に着地し、コンクリートの床に壊滅的な拳を叩き込む。エリアスはミリ単位のタイミングでジャンプし、麻痺させられる地響き(スタッガー)を回避した。

(終わりだ)2人の開発者が照準を合わせる中、着地しながらエリアスは思った。

だが、彼のHUDが鮮やかな緑色で点滅した。


『ゴリアテの制御を奪います』ゴキブリのメッセージは素早く、必死なものだった。『できる限り長く持ちこたえて、少なくともあの2人のプログラマーを排除します』


2人のプログラマーが完璧なタイミングで同時に発砲した。だが、突然カクカクとした動きになってゴキブリに操作されたゴリアテが、弾道のど真ん中へと文字通り身を投げ出した。2発のミサイルが無敵の背中に着弾し、エリアスを守る完璧な「肉の盾」となった。

煙を利用し、エリアスはすでに最後の『閃光弾(フラッシュバン)』を抜いて2人の開発者に向かって投げつけていた。

カッ!!

マグネシウムの閃光が2人の目をくらませた。だがワープ速度で移動したCEOはすでに姿を消し、エリアスの真後ろに直接再出現していた。

時間を喰らうシミターが水平の弧を描く。刃が彼の背中に振り下ろされた。

衝撃は凄まじかった。『ケブラー製防弾チョッキ』が致死的な物理ダメージを吸収して灰色のピクセルの雲となって砕け散ったが(【ケブラー耐久度:0%】)、管理者の武器に備わった固有効果まで防ぐことはできなかった。

頭蓋骨に氷の針を突き立てられたかのような刺すような激痛が走り、エリアスは現実世界とデジタル世界の両方で絶叫した。


【クリティカル吸血攻撃。時間を奪われました:-3時間】

【大脳皮質崩壊まで:02:24:18】


たった一撃で、残り寿命の半分以上が吸い取られた。

目をくらまされた開発者たちが悲鳴を上げる中、ゴキブリに操られたゴリアテが貨物列車のような猛威で彼らに向かって突進していった。

(俺の脳みそが吸い尽くされる前に、あいつを仕留めなきゃならない)現実の偏頭痛がこめかみを激しく叩き始めるのを無視し、エリアスは自らに言い聞かせた。

エリアスは『マグナム・リボルバー』を抜き、CEOの頭部に照準を合わせた。だが管理者は虚空へと姿を消した。

(照準入力(エイム・インプット)に反応して発動する瞬間移動か)

振り返ることなく、エリアスは「前方」へとローリングした。賭けだったが、的中した。商人は1フレーム前までエリアスがいた正確な場所に出現し、シミターを空振りして時間吸収を外した。

「攻撃アニメーションの最中にだけ当たり判定(ヒットボックス)を晒す、お決まりのボスパターンだな!」片膝をついたままエリアスは嘲笑った。マグナムを上げ、引き金を引く。

大口径の銃弾がCEOの胸板を貫通した。【CEO HP:75%】。


商人が再び消えた。

エリアスは視界を回転させながら、純粋な回避ロールを連続で繰り出した。CEOはアリーナの奥に再出現しており、ゴリアテの制御権限を取り戻して部下の開発者たちを救うため、ホログラムのコマンド画面を開いているところだった。だが遅すぎた――ゴキブリに操られた怪物はすでに2人を鷲掴みにし、粉々に踏み潰していた。

「息つく暇も与えねえぞ、クソ野郎!」エリアスは叫び、『焼夷グレネードランチャー』に持ち替えて発砲した。

白リン焼夷弾がCEOの足元で炸裂し、デジタルの炎の柱で彼を包み込んでメニューのロードを強制中断させた。


アリーナが再び点滅し、反対側の隅に「さらに2人のプログラマー」がスポーンした。

「今まで一体何をモタモタしていたんだ!?」激怒したCEOが怒鳴り散らす。

だが、ゴキブリのコードを示す緑色の目を光らせたゴリアテが、新しい開発者たちの方へと向き直った。

エリアスは新参者たちを無視してアサルトライフルを構え、商人に向かって長いフルオート射撃を浴びせ始めた。「お前の相手はこの俺だ、クソCEO!」


銃弾を浴びながら、CEOが正面突撃を仕掛けてきた。エリアスは最後から2番目の破片手榴弾を自分の立ち位置の真下に落とし、後方へと大きくジャンプした。

CEOは横移動(ストレイフ)で爆発をかわし、目もくらむような超速度で追跡を再開した。炎の雲を突き抜け、手袋をはめたその手が恐ろしい一瞬だけエリアスの腕を掴んだ。

宇宙の冷気が再び青年の脳内を侵食する。


【吸血接触。時間を奪われました:-2時間】

【大脳皮質崩壊まで:00:24:18】


だがCEOがシミターでとどめの一撃を振り下ろすより先に、砂塵の中からゴリアテが飛び出し、完璧なタイミングで放った拳で商人をインターセプトして外壁へと叩きつけた。【CEO HP:55%】。

「この野郎ッ! 汚い手を使いやがって!」ピクセルの血を吐き出しながらCEOが叫んだ。

「どの口が言ってんだ」神経の苦悶に喘ぎながらエリアスは言い返し、マグナムをもう1発撃ち込んだ。銃弾が男の肩を貫く。【CEO HP:40%】。


HUDが激しく点滅した。

『制御を失いそうです』ゴキブリが警告した。『本来のコードが私のハッキングを上書きしています』

「あとは俺がやる。ありがとよ、ゴキブリ。命を救われたぜ」

敵対状態に戻りかけてゴリアテのアバターがフリーズしている間に、エリアスは焼夷グレネードランチャーを構えて巨像に2発の焼夷弾を直接撃ち込み、持続的な炎上ダメージのアニメーションにハメて、コールドスリープカプセルの時と同じように足止め(ストール)した。


再びCEOへと意識を戻したが、管理者はまたしても姿を消していた。

本能が叫んだ。CEOが背後からの奇襲を繰り出そうとしている。だが「前方へのローリング」はもはや読まれているはずだ。エリアスは文字通りその場に「伏せ(プローン)」た。

シミターが彼の背中のすぐ上を水平に空振りして通り過ぎた。

「お前のクソ移動パターン(ムーブメント)はもう完全に学習したぜ!」地面の上からエリアスは唸った。仰向けにひっくり返り、商人の腹のど真ん中にマグナムの3発目を撃ち込んだ。【CEO HP:25%】。


商人がうめき声を上げて後方へとよろめく。それと同時にゴリアテの炎上アニメーションが終わり、重度のスタン状態で片膝をついた。

『ゴリアテには体力(HP)の設定がありません』ゴキブリが最後のメッセージを送ってきた。『商人を殺したとしても、逃げ道はありませんよ』


CEOは脇腹を押さえて立ち止まっていた。接近戦(メレー)のプログラムでは勝てないと悟ったのだ――エリアスは彼の攻撃フレームをすべて解読していた。

自分自身が定めたルールすら破り捨て、商人は虚空から巨大な『ロケットランチャー』を取り出し、ミサイルを連射し始めた。

その爆発は純粋な物理ダメージではなく、「時間の衝撃波」をもたらした。エリアスはゴリアテの無敵の装甲の後ろに隠れて直撃を防いだ。だが時間の爆風(スプラッシュ・ダメージ)が遮蔽物を貫通して染み込み、酸のようにエリアスの残り分数を削り取っていく。


【時間衝撃波。時間を奪われました:-10分】

【時間衝撃波。時間を奪われました:-8分】

【時間衝撃波。時間を奪われました:-3分】


時計が狂ったようにゼロへと落ちていく。エリアスの頭が今にも破裂しそうだった。現実の激痛が体を麻痺させる。

タイマーが『00:03:18』まで落ちた時、エリアスはゴリアテの横から身を乗り出し、アサルトライフルの弾薬をさらに20発CEOへと叩き込んだ。銃弾が管理者を蜂の巣にする。【CEO HP:13%】。

とどめを刺そうと横へと飛び出し、マグナムを構えて引き金を引いた。

カチッ。

薬室が空だった。弾がない。頭の中で数えた――7発持っていて、この戦闘で4発、その前に2発使った。「残りあと1発」だ。

シリンダーが回転し、最後の1発を撃発位置へとセットする。


商人はそのためらいを見てニヤリと笑った。ロケットランチャーを捨て、最後の一撃を放つために姿を消す。

だが、エリアスは読み切っていた。いつもの前方ローリングでもなければ、その場に伏せるのでもない。エリアスは完璧な『後方宙返り(バックフリップ/後方ロール)』を繰り出した。

時間がスローモーションになったかのように感じられた。商人は彼の背後ではなく、これまでの回避行動を潰すための三日月斬りを放とうと「真横」に出現していたのだ。後方へと跳んだエリアスは吸血シミターの有効範囲のすぐ外側に着地し、男のこめかみへとマグナムの銃口をピタリと突きつけていた。生命時計に残された時間は、わずか『00:03:15』。


CEOの両目が、純粋なデジタルの恐怖で見開かれた。銃口の先端が、彼の顔からわずか1センチの場所にある。

「ど、どうして……」神の幻想を完全に打ち砕かれ、商人がどもりながら呟いた。「私に別の攻撃パターンがあることになぜ気づいた?」

迫り来る大脳皮質崩壊に耐えるために歯を食いしばりながら、エリアスは首を傾げた。

「ゲーマーの勘(インスピレーション)さ」

そして、引き金を引いた。


マグナムの最後の銃弾が炸裂した。CEOの頭蓋骨が赤いコードの超新星(スーパーノヴァ)と破損した論理文字列となって粉々に砕け散った。ゲームの創造主は純粋な苦悶の絶叫を上げながら爆発し、サーバーから永久に消去(デリート)された。

彼の死と共に、サーバーの残忍な論理が砕け散った。奪われていた時間が黄金の光の奔流となって正当な持ち主の肉体へと一気に流れ込み、現実世界の麻痺するような偏頭痛を瞬時に癒やした。


【管理者を排除しました。時間を回収:+10時間20分】


開発者たちの復讐は根絶された。だが、アリーナは消えなかった。

エリアスの背後で、深淵からの咆哮が部屋を揺るがした。ゴリアテが立ち上がったのだ。そして主(マスター)が死んだ今、怪物を抑え込むリミッターも、従うべき警備スクリプトも存在しなかった。あるのは絶対的な殺戮本能だけだ。


おぞましいほど不公平な戦いが始まった。エリアスはアサルトライフルの残弾、焼夷グレネード、さらにはゼロ距離からのショットガンまで撃ち尽くした。何の効果もない。ダメージはゼロ。体力ゲージそのものが存在しないのだ。

「ゴキブリッ!」鉄筋コンクリートを砕くハンマーパンチを紙一重でかわしながら、エリアスは叫んだ。「こいつはどうやったら倒せるんだ!?」

HUDが明滅した。『倒せません。耐え抜いてください。奴は無敵です』

「わかった」弾切れの銃をすべて投げ捨て、体のバランスを取るためのナイフ1本だけを握りしめてエリアスは唸った。「体力を無駄にするのはやめよう」


純粋な生存のためのダンスが始まった。エリアスは完全な競技者のトランス状態(ゾーン)へと入った。右ストレート? 横ステップで回避。左フック? 腕の下へスライディング。両手での振り下ろし? 後方宙返り。地面を揺らす地震攻撃? 完璧なジャンプでスタッガーを回避。

死を相手にした純粋で途切れることのない残忍なバレエを、きっかり「30分間」続け抜いた。


突然、操作権が彼から奪い取られた。

視界が切り替わり、ムービー(カットシーン)が始まった。

映像の中で、エリアスの反射神経がついに限界を迎えた。ゴリアテの壊滅的な裏拳が胸のど真ん中に命中する。エリアスのアバターが10メートル吹き飛び、壁に激突した。体力が『1%』まで急降下する。

操作不能なイベントシーンであるにもかかわらず、エリアスは息が詰まるほどの火山のような激痛を味わい、デジタルの血を吐きながら絶叫した。

とどめを刺そうと、ゴリアテが重い足取りで歩み寄ってくる。


だが、機械的で耳をつんざく別の轟音が空気を引き裂いた。指向性爆薬によって内側から爆破され、アリーナのメインウォールが吹き飛んだのだ。

煙の中から、青白い光を放つ武器を構えた何十人もの重装甲タクティカル・オペレーター(特殊部隊)が突入してきた。ゲームの背景設定(ロア)に書かれていた最終的な買い手――香港の地下施設へと強行突入してきた『アメリカ軍』だった。

『目標を発見! ターゲット「ゴリアテ」はここだ!』銃を向けながら指揮官が叫んだ。

兵士たちが超高電圧の電気エネルギー・ダーツの一斉射撃を浴びせた。発光するケーブルがゴリアテの装甲を貫き、その神経系へと何百万ボルトもの電流を流し込む。巨像は苦痛に咆哮して暴れ回ったが、麻痺させる電流はあまりにも強力すぎた。巨人の両膝が折れる。ゴリアテは動くことができなくなり、地面へと崩れ落ちて意識を失った。


2人の衛生兵がエリアスへと駆け寄り、慎重に彼を抱き起こした。『この青年が生物兵器を足止めしてくれたんだ……地上へ運べ』

映像が素早く切り替わる(モンタージュ)。エリアスは地上に出て、シミュレートされた新鮮な空気を吸い込んでいた。香港の超高層ビル群の間から夜明けの光が差し込んでいる。まだ麻痺したままのゴリアテが、最高機密の大型装甲バンへと積み込まれていた。アメリカ軍の介入によってアウトブレイクは封じ込められ、ウイルスがこの軍事エリアの外へ出ることは決してない。

エリアスは救急車の後部座席に座り、保温毛布にくるまれながら、あの忌々しい地下研究所で何が起きたのかと尋ねる軍人たちの質問を受けていた。


画面が徐々に暗転(フェードアウト)していく。中央に、シンプルで美しい白い文字が浮かび上がった。


【 THE END 】


エンドロールが静かに流れ始める中、エリアスは見えないシステムに向かって囁いた。

「今まで本当にありがとよ、ゴキブリ。お前がいなきゃ……俺は絶対にクリアできなかった」


◇ ◆ ◇


現実への帰還の衝撃は、氷の海から浮かび上がるかのようだった。

エリアスは激しく身を震わせ、カッと目を見開いて自分のアパートの息苦しく濃密な空気を吸い込んだ。火薬や硫黄の匂いはなく、馴染み深い街の湿気だけがある。神経センサーをむしり取り、コードと生身の肉体を切り離そうと脳が苦闘する中、抑えきれない震えと共に床の上に膝から崩れ落ちた。

生きていた。


デスクの上でつけっぱなしになっていた小さなテレビから、地元ニュースのキャスターの声が朝の番組を中断して緊急速報(ブレーキング・ニュース)を伝えていた。

『……セントラル(中環)のITオフィスで悲劇が起きました。今朝未明、新興ソフトウェア開発会社の「開発チーム全員」が、研究所の内部で死亡しているのが発見されました。地元当局は、この不気味な事件を別の未解決の連続不審死事件と関連づけて捜査しています――ここ数日間で、世界各地の有名なストリーマー(配信者)約20名が、自身のモニターの前で死亡しているのが相次いで発見されているのです。全員の医療検死解剖レポートが、原因不明かつ同時の脳停止……未知の要因による「大脳皮質崩壊」を報告しています』


キャスターの声を聞きながら、エリアスは石のように固まった。ゲームは単なるシミュレーションではなかった。彼らの脳は本当にあの死のストップウォッチに繋がれており、サーバー内での敗北が現実世界での彼らを文字通り「消去」していたのだ。


荒い息を吐きながら、エリアスは震える片手をデスクの上へと伸ばした。携帯ゲーム機を掴み上げる。画面がついていた。

メニュー画面もない。タイトル画面もない。

ディスプレイの中央には、味わい深いレトロな「ドット絵(ピクセルアート)」で描かれた、1匹のゴキブリがいた。虫は触角をピンと立て、彼に向かって文字通り「微笑んで」いた。


エリアスは画面を見つめ、疲れて冷笑的でありながらも、深い解放感に満ちた笑みを唇に浮かべた。デスクの縁に額を預け、目を閉じる。

「昔みたいな良いゲームは、もう作られなくなったよな」コンソールを強く握りしめ、部屋の静寂の中で彼は囁いた。「ゲームオーバーだ、クソ野郎ども。俺たちはたった今、現実を『プラチナトロフィー(完全制覇)』でクリアしたんだ。ありがとよ、相棒(パートナー)」


(完結)


最後まで『プロジェクト0:プレイヤー1』をお読みいただき、本当にありがとうございました!

エリアスと最高の相棒(バグったゴキブリ)の死闘はいかがでしたでしょうか?


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