タイトル未定2026/05/05 21:48
二宮屋元。
ボサボサの髪、丸眼鏡、いっこもボタンの空いてないブレザーにシャツの、夏なのに冬服着てるまるっきりのオタクくん!
定位置はロッカーの前。
何で?
ヤモリは常に、友達がいないから、ロッカーの前に立ってなんか本読んだり、雑誌の表紙みたいに黄昏てたりする……。
何で?
「ヤモリー」
「……」
「椅子ないの?」
「…………………あるよ」
……返事遅いなあ?
「…………………じゃあなんで座らないの?」
「そういうときもあるからだよ」
「……」
そういうときって何?
「そういうときって……」
もういい。一回もう。突っ込まないでいいだろう。
なんだよこいつ。自分に酔ってるのか?スナフキンみたいな返答しやがって!
何で休み時間席で本読んでるとかじゃなくてロッカーの前で立って一人で本読んでるの!?なんで!?!?!?!?
誰も話しかけないのにずっとそこに立ってたりぶらぶらしたりしてるのは……本当にマジでどうして……?
話しかけられ待ちしてるんじゃないんだよ。だって4月からずっとこうだもん。話しかける男子いたけどマジで不愛想だったもん。マジでなんか……何……?
「オタクくんって変だよね」
「……まあ、この状況なら、そうなるだろうね。どうしてオタクだって?」
「オタクじゃん」
「オタクなのか……」
本読んでるし。
本とか読まないし。
思ってたよりでかい手がヤモリの顎に回る。
どっか見てる。頷いてるの?相槌打ってるの?何?
「何か用があるわけではない?」
「何言ってんの?」
「……用があるわけではないのかなあと」
なんかこう、なんか、あれ。
無表情なんだよヤモリって。でも漫画みたいになんだろう、表情がコロコロ変わる。表情変わってないんだけど。
ヤモリ。
「雑談?」
「そうだよ?」
「ふうん」
ヤモリがわずかに首を傾げる。
「変な人だねえ」
お前にだけは言われたくない。
ヤモリ。
髪はボサボサだけど、顔のつくりは結構整ってて。まあ悪くないくらいだよなあ、ってこと。
きっとこのクラスで、わたしだけが知っている。




