第二章 アイドルは女王様 - 28 - 核の光
第二章 アイドルは女王様 - 28 - 核の光
彼らがいかに圭太の存在を恐れていたのかということを示していた。
現在考えられる最凶の力である核を持って焼き払う以外に、圭太を斃すことはできないと考えていたのだから。
そして、ダークエルフの立てた計画は完全に成功した。
たった一つの誤算を除いて。
核の光を浴びて、瞬時にだった蒸発するはずだった圭太。
だが、命を賭けたダークエルフ達にとって、まったくの想定外の出来事が起こっていた。
彼らは死んでいなかった。
もちろん、蒸発してもいなかった。
巨大なエネルギーは光となり、照射されたありとあらゆる生命を消滅させる……はずだった。
瞼を閉じてなお眩い光を浴びていると言うのに、眩くはあっても熱など一切感じることはなかった。
全ての物を焼き尽くすはずの核の光は、直径が十数メートルという極めて狭い範囲内において完全に無力化されていたのである。
無力化されものは熱エネルギーだけではない。
爆発で生じた爆圧や爆風なども、核爆発の中心部のみにおいて完全に無力化されていた。
それは、魔法でもなく物理的な現象でもなかった。
一言で言えばありえないことが起きている。
巨大なエネルギーは爆心地を瞬間的に窪地に変え、熱線は金属を瞬時に溶かし木製の物体を炭素へと変え、すべての動物を瞬時に蒸発させる。
同時に発生した爆風は音速近くにまでなり、地上の構造物をなぎ倒す。
いずれも致命的な破壊力であり、その中で生きていられる生命体など存在しないはずであった。
そういった光景を『爆心地』で圭太は眺めていた。
もちろん、生きたまま。
なんの影響もなく、そよ風すら感じない状況で。
だが、見ていたのは圭太だけではなかった。
圭太を中心に半径十数メートルほどの中にいるすべての生命体が、核爆発の影響をまったく受けないまま生きていた。
何が起こっているのか、深く考えている暇などない。
敵と味方。ダークエルフと美少女二人。
爆心地の中心で、今まさにこの瞬間ぶつかりあった。
すでに二桁を割り込んだダークエルフであるが、数で言えば圧倒的である。
だが、その戦力差は圧倒的なものがあった。
数百ものダークエルフが束になっても敵わなかった相手である。
その絶望的な状況を覆すための、核攻撃であったのだが、それを無効にされた。
正確に表現するなら、戦いに影響を及ぼすことができなかったと言うべきだろう。核爆発によって王都は実質的に消滅してしまおうとしているのだから。




