第二章 アイドルは女王様 - 27 - 死の光
第二章 アイドルは女王様 - 27 - 死の光
一体何をするつもりなのか?
そう考える間もなく、それは起こる。
集まったダークエルフを中心として、球状に光が広がっていく。
その光はエネルギーそのものであり、その光を浴びた有機物は瞬時に蒸発することになる。
数百万度にも達する光に焼かれた大気が、強烈な爆風となり大地を刳り地上に存在するものをなぎ倒す。
焼かれた大気が地上の物質を蒸気に替えて、それが巨大なキノコ雲を発生させた。
日本人ならば、かならず一度は記録映像で一度は目にしたことのある光景であろう。
ダークエルフ達が集まった場所から発生したのは、まごうことなき核の輝きであった。
この輝きの中で存在できる生命体は存在しえない。
瞬時に数百万度にも達する熱エネルギーの中で、形を維持できる有機物など存在しないからだ。
いくら不死の存在とされるバンパイアであったとしても、元素にまで分解されてしまえばもう復活することは不可能だ。
核の光の中では、不死身など意味をなさない。
なぜこんなことが出来たのか?
どんなに力のある魔術師であれ、核反応を引き起こすことはできない。
理由は非常に単純で、核反応というのは極めて単純な物理現象であり、条件が整えばかならず起こる。逆に言えば条件が整わない限り絶対に起きない。
それが意味すること、ダークエルフ達はその条件を整えたということになる。
核分裂を起こしうる纏まった質量と純度を持った核物質。たとえばプルトニウム。
その物質を爆縮させることで、核分裂反応が起こる。
それに必要な核物質をどうやって入手して、王都に持ち込んだのか?
簡単な答えだった。
王都を襲った巨大怪獣。
そのエネルギー源こそが、核物質であり体内では高純度のプルトニウムが生成されていたのである。
持ち込んだのは巨大怪獣であり、それを斃すことでその核物質が大量の断片とともに放出された。
多数のダークエルフが襲い掛かってきたのも、どれほど斃されても諦めることをしなかったのも、すべては時間稼ぎと準備を整えるためであった。
ことの初めからダークエルフ達が狙っていたのは、この瞬間である。
核の光によって、圭太を葬り去るつもりであったのだ。
これは刺し違えることを前提とした作戦であり、襲い掛かってきたダークエルフ全員が生きて帰るつもりなど最初からなかったのだということになる。
そしてその事実が示すことはただ一つ。




