第二章 アイドルは女王様 - 20 - 厄災
第二章 アイドルは女王様 - 20 - 厄災
このままなら、もう怪獣によるビーム攻撃はできなくなるだろう。
さすがにそのことは、怪獣の頭でも理解できたのだろう。
それまで身を屈めて丸くなっていた態勢から行動を起こす。
長く伸びる尻尾をゆるりと動かすと、今度は尻尾からビームを放出し始めた。
口から吐き出すビームよりは細く威力も低いが、王都を切り裂く程度には十分な破壊力を持っている。
そのビームを尻尾の延長線上のように使って、振り回し始める。
圭太のいる場所から見たら、ずいぶんとゆっくりとした動きに見えるが、これは怪獣があまりにでかいため相対的にそう見えているだけのことだ。
尻尾が動くたびに、ドンという衝撃波が届いてくるのは音速を超えたことによるソニックブームが発生しているためである。
角速度はゆっくりでも、先端付近では軽く音速を超えてしまう。
単純な話であった。
ただ、口からビームを吐き出したり、体表の柱から大量のビームを無作為に放つより、遥かに自在に射線を変化させることができるようになっていた。
それでも、実際に敵に命中させられるかどうかは別の話しだ。
象と蟻の如き圧倒的なまでのスケール差は、闘いにおいて絶対的な優位性を保証することになる。
はずだった。
おそらく怪獣も本能的にそう認識していたのではないだろうか。
だが、その認識はたった一つの条件が覆っただけで、容易に逆転することになる。
もし仮に蟻の攻撃が象に対して通用するとしよう。
その瞬間に圧倒的なスケールの差は全く逆に働くことになる。
象が攻撃を当てることは容易ではないが、蟻が象に攻撃を当てることは容易い。
そして、今現在起こっていることは、まさしくそれであった。
これまで攻撃が通用しないと分かる度に、攻撃方法を変化させてきた怪獣だが、今の攻撃方法でも敵を捉えることができなかった。
それだけではない。
尻尾を使い、フレキシブルにビームを放出することができるようになった。
そのことを、敵に利用されることになる。
まるで誘導されるように、怪獣の頭の高さで水平になぎ払い攻撃をしていた。
頭の辺りにビーム攻撃が迫ったところで、一旦尻尾の動きが止まった。その瞬間に怪獣は、真横から強烈な打撃を尻尾に受ける。
停止した瞬間に横方向に尻尾の向きを変えさせられた。
その時放っていたままのビームが、怪獣の首を横に薙ぎ払う。
強力なビームは怪獣の首を半ばまで切断したところで止まった。




