第二章 アイドルは女王様 - 21 - 切断
第二章 アイドルは女王様 - 21 - 切断
ところが、そこにさらに強烈な打撃が横からくる。
怪獣は頭部に打撃を受けて、半ばまで切断されていた首が大きく傾ぐ。
原理としては切れ目の入った紙を引っ張るのと同じである。
少し傾いていただけで、切れ目に力が集中したことで、そこから一瞬にして断裂が広がる。
巨大な怪獣の首は、その自重によって完全に切り離されてしまう。
切り離された怪獣の首は遠くから見ると、ひどくゆっくりと落ちているように見える。
現実に起こったことは三百メートル近い自由落下を続けて、怪獣の首が地面へとランディングする。
その瞬間、地面が唸りをあげて振動する。
まるで地震であった。
その振動で圭太が登っていた瓦礫が崩れ落ちる。
足元が崩れた所に、左右から圭太の頭上に瓦礫が降ってくる。
圭太は足元が崩れた瓦礫と一緒に転がり落ちたために何もできなかった。
このまま瓦礫に埋もれてしまったら、いくら再生しようと逃げることはできなくなる。
もうおしまいである……あのように見えたのだが。
「圭太様、ご無事ですか!?」
圭太の上から声が聞こえた。
ミアの声である。
転がった圭太の上に立ち、両手を広げて瓦礫を防いでいる。
シールドの魔法を使い、瓦礫が圭太を埋めるのを阻止しているのだ。
圭太は、体のあちこちから血を流しながら必死で立ち上がる。
「すまない。なんとか、動ける」
さいわい骨折はないようで、全身が悲鳴を上げているが、どうにか動くことはできた。
「あまり長くはもちません。急いで此処から離れてください」
ミアが焦りの言葉を口にする。
「わかった」
すぐに圭太は言われた通り、瓦礫の中から逃げ出した。
それを確認すると、ミアはマジック・シールドを解き同時に前方に跳んだ。
その瞬間、それまでミアと圭太がいた空間を瓦礫が埋め尽くす。
跳ねた反動を転がることで受け流したミアがゆっくりと立ち上がる。
その横には血だらけになった圭太が、立っていた。
だが、これで危機が去ったわけではなかった。
むしろ、本当の危機はこれから訪れようとしている。
地面に落ちた巨大な怪獣の首は、一度地面で弾むとそのまま王都の中へと転がり初めた。
その転がる進行方向に圭太がいたのだ。
遠くからだと、ボールのように見える怪獣の首だが、実際には高層ビルが転がって来ているようなものだ。
途中にある建物も瓦礫も見境なく押しつぶしていく。




