第二章 アイドルは女王様 - 14 - 送り出す
第二章 アイドルは女王様 - 14 - 送り出す
深い悲しみに包まれた舞が見せた反応は、あまりに生々しくそして痛々しかった。
圭太には自分の胸を剣で刺し貫かれた記憶よりも、遥かに鮮明な記憶として脳裏に焼き付いている。
その時の瞬間を切り取った映像は、まるでスナップショット写真のように記憶の中に刻み込まれてしまっていた。
なぜなのか、その理由もわからないまま、今この瞬間も圭太の心を抉っている。
ただ、そのことにかまっているような時間はない。
地面を揺らす振動とズンとくる音は確実に大きくなってきており、それを生み出している敵がどんなものなのかは分からないが確実に近づいていることは間違いない。
「俺のことは大丈夫だから……」
色々と言いたいことがたくさんあったような気もするが、結局今の圭太の口から出てきた言葉はそれだけだった。
ただ、それを聞いた舞は、危機的な状況をまったく感じさせない、とろけるような笑顔を一瞬だけ見せる。
本当に嬉し過ぎて、理性ではどうにもできなくなってしまった瞬間のようであった。
ただ、すぐに理性を取り戻した舞は、真剣な表情に戻り釘を刺すように圭太に向かって話す。
「わたしは、もう行きます。絶対に危険なことはしないでね、圭太さん」
圭太の瞳を正面から見ながら、本当に心の底から思いの篭った言葉を圭太に伝える。
まるで物理的な圧力すら感じられる舞の視線に、圭太はただうなずくことしかできなかった。
それを見た舞が、また笑顔を浮かべる。
愛する男を守る。
舞にとって、そのことが人生の中で最も優先するべきことであった。
そして、ついさっき本当に自分の命より大切な存在を失いかけた。
その記憶が、舞の心に棘のように突き刺さってしまっているのだろう。
ただ、圭太にそのことが理解できているとはとても言えなかったが。
圭太が何も答える間もなく、舞の姿が目の前から消えた。
実際にはコンバットスーツに身を包んだ舞が、全力で動いたために消えたように見えただけなのだが。
圭太には姿が消えたようにしか見えなかった。
「それでは、圭太様。こちらに……」
呆然と立っている圭太に衣服を身に着けたミアが話しかけてくる。
さすがに服はコンバットスーツではなく、先ほどと同じ服であった。
圭太がついていこうといたが、途中で足が止まってしまう。
「一体どうされたのですか?」
急に止まってしまった圭太に、ミアは振り返り怪訝そうに聞いてくる。




