第二章 アイドルは女王様 - 15 - 怪獣
第二章 アイドルは女王様 - 15 - 怪獣
「ミアさん、ごめんなさい。俺……舞と希が戦っている敵の姿を見ておきたいです」
これは、たぶん我儘だ。
ミアに圭太のことを託した舞は、けっしてそんなことなど望んではいないだろう。
そんな我儘を、本来ならばミアも聞く必要などなかったはずだ。
だが、ミアは圭太の目を見た。
その奥に輝く、たぶん圭太本人すら気がついていない光を見つけてしまう。
何かを諦め、何かを決断するように、息を小さく吐き出すとミアは言う。
「わかりました。地下通路ではなく、地上のルートでご案内しましょう。でも、危険は格段に上がることになります。それでいいですね?」
ミアは念を押すように言ってくる。
言い出したのは圭太であり、危険が存在していることは承知している。
おそらくミアもそのことは分かっているはずだ。
なのにあえて確認してきたということは、圭太の身を案じているだけでなく他の理由も暗に含めているということだ。
もちろん圭太だとて、ミアが言外に言わんとしていることの意味など承知していた。
そのうえで、今一度伝える。
「お願いします」と。
確認したミアはそれ以上何も言わず、頷くこともせず先に立って歩き始める。
圭太はその後を追いかけた。
建物の外に出ると、圭太はすぐに振動と音の発信源を特定することができた。
それは圧倒的であった。
距離はどのくらい離れているであろうか。
まだ、王都の外壁にすら到達していないことは間違いない。
なのに遠くからでもそれは、はっきりと見える。
二本の足で立つ恐竜に似た獣。
近くに比較対象となるような物はないが、手前にある外壁が二十メートルほどの高さがあることから推測すると、その十五倍ほどの大きさ。
どんなに小さく見積もっても、三百メートルは超えているだろう。
そのモンスターに一番相応しい呼称と言えば一つしかない。
怪獣である。
とても人間の手に追えるようなレベルとは思えない。
もし、このまま王都に侵攻してくれば、ひとたまりもなく蹂躙されるのが目にみえている。
どんなに優秀な兵士であろうと、剣や魔法でどうにかできるレベルを超えている。
たとえ自衛隊が出動したところで、果たして太刀打ちできるかわからない。
というより、これほど巨大な怪獣とどうやって戦えばいいのか想像もつかなかった。
実際に見たことはないが、ドラゴンのようななんとか闘えるスケールのモンスターが可愛く見えることだろう。




