第二章 アイドルは女王様 - 08 - 英雄譚
第二章 アイドルは女王様 - 08 - 英雄譚
常識的に考えて、人間死ねば終わりだと思っていた。
なので、この質問には圭太が返すことの答えはない。
「どう思うと言われても……。信じる、信じないと話しなら、俺は否定的な意見なんだけど」
圭太は正直に話した。他に答えようもなかったからだ。
「そうですわね。今の圭太さんなら、そう答えるでしょう。でも、それでいい。そのためにこそ、あたし達がいるのだから」
舞はとてもうれしそうに、圭太のことを見ながら話しかける。
もちろん言われた圭太の方は、何がなんだかさっぱり分からない。
「はぁ……」
結果として生返事を返すのがせいぜいだった。
舞はそんな圭太を優しく見つめながら話しを先に進める。
「今から一人の勇者の話しをします。退屈かもしれないけど、どうか最後まで聞いてね、圭太さん」
まずはそれが話しの前振りとなった。
圭太は黙ってうなずく。
どの道、最初からそのつもりだったのだ。まったく問題はない。
「その勇者が、どの世界のいつの時代に初めて登場したのかは、誰も知らない……」
ついに、舞の話が始まった。
舞が話し始めたのは、本当に勇者の冒険譚であった。
滅びそうになった世界を救う勇者の話し。
ただそれだけなら、言ってはなんだが何処にでもあるような勇者の話しで終わるところだ。
敵が魔王であったり、天変地異であったり、時には神々との闘いであったり。
勇者の最後がめでたしめでたしで終わらず、命を掛けて闘い敵を斃して散っていく。もしくは、自分を犠牲にして大勢の命を救う。
メデタシメデタシで終わらずに、最後にはかならず勇者の犠牲が伴うのは、英雄譚の常であるから特別な話しとはいいかねた。
もちろん、それは物語としてであって、圭太の日常と比べたら十分すぎるほどかけ離れた話であるのであるが。
どことなく神話めいた話しでもあるし、どうしてもそんな風に感じてしまうのである。
だがしかし、舞が話してくれた英雄譚には決定的に他とは違う特徴が存在した。
それは、全ての英雄譚が、ただ一人の英雄の物語であるということ。
繰り返し何度も何度も生まれ変わり、その度ごとに自分の人生の全てを犠牲にして世界を救っては転生を繰り返し続ける。
救われた世界はそれこそ無数に存在するが、新たに生まれ変わり世界を救い続ける英雄だけは決して救われることはない。




