第二章 アイドルは女王様 - 06 - 話し
第二章 アイドルは女王様 - 06 - 話し
それまで取り巻いていた他の女子達から少し離れた場所まで来ると、舞は少し段差になっている場所に腰掛けるよう圭太に告げる。
「さぁ、ここにお座りになって、圭太さん」
舞の示した場所に圭太が腰掛けると、そこは水深が浅く、丁度腰の辺りまで湯につかることができるようになっていた。
圭太が腰をおろしたことを確認すると、舞はすぐその隣にぴったりと寄り添い腰掛ける。
他の女子から離れたこともあって、少しばかり余裕の出てきた圭太は、周りを見回してみた。
窓から離れていて、壁に掛けられた松明や天井や柱に取り付けられたランプからも、若干距離のある場所で浴場の中では薄暗い場所であった。
ただ、水面にゆらめきながら映る明かりと、壁や柱に反射して間接的に届いてくる光もあるので、完全な闇に沈んでいるというわけではなかった。
男と女が並んで座っていると、なんとも言えない雰囲気に包まれる。
そんな場所であった。
圭太の右隣に座った舞の裸身を照らす光は、なんとも表現のしようもないくらい幻想的で艶かしく美しいものであった。
もちろん、それを計算に入れて舞がこの場所に導いてきたことは間違いないのだろうが、今の圭太にそのことを気づけという方が無理がある。
あまりに美しい光景は、現実というものを圭太の頭の中からすっかりと吹き飛ばしてしまっていたからである。
それでも一つ、重要なことに気がつく。
半ば頭空っぽの状態で、そのことを反射的に口にする。
おそらく冷静な状態だったら聞く事はなかったであろう質問であった。
いわゆる空気を読むタイプの圭太にとって、それを舞にきいちゃヤバそうだということはすぐに感じとれるからだ。
今の圭太は空気が読めるような状態にはなかった。だからこそ、この質問することができる。
「上原類は、今何してるの?」
圭太が口にした時、一瞬だけだが舞は固まった。
ただ、それでも今の圭太に悟られるほどの間ではなく、すぐに立て直す。
「彼女は戦ってます。でも、そう言ってもなんのことだか分かりませんよね。だから、その辺りのことも含めて今から話しましょう」
舞は圭太の顔を見ながら語りかける。
肝心の圭太はまた恥ずかしそうに顔を伏せたが。
「そうだね、助かるよ。ホントはずっと気になってたんだ」




