第一章 二人の嫁、襲来 - 25 - デレ
第一章 二人の嫁、襲来 - 25 - デレ
おそらくオーガ1頭でも、都市一つくらないら簡単に更地にできるくらいの怪物ではあったのだろうが、類と舞の力はそれを軽く凌駕していた。
「そんじゃ、城いくよ。こんなとこにいつまでも圭太さんおいとけないからね」
いつの間にか戻ってきた舞が言うと。
「そうね。アーゼス城の結界があれば、敵も圭太さんのことを見つけられないわ」
珍しく素直に類も賛成する。
ただし、そこには圭太の意思は関係なさそうであった。
もちろん、この期に及んでまったく事情のわからない圭太が口出ししても、何もいいことがないということだけは、さすがの圭太であっても理解していたので何も言わない。
ただ、今の会話で少しだけではあるが、光明が見えてきたような気がしていた。
というのも、結界がどうとか、敵に見つからないとか、そういうワードが出てきたからだ。
とにかく、時間を取ることができれば、詳しい話を聞くことが出来るかもしれない。
圭太はその可能性に賭けることにした。
もっとも賭けなくても、圭太ができることは同じである。
「で、俺はどうすれば?」
若干控え目に聞いてみる。
目の前で巨大なオーガをあっさり始末するところを見たら、これくらいの控え目さは当然だろう。
すると、美少女アイドル二人の顔つきが一瞬で変わる。
人間、こんなにも優しい顔になれるのか、と思えるくらいデレデレの笑顔であった。
「嬉しいわ、圭太さん。声を掛けてくれて、それだけで類は幸せです。でも、何も心配することはないですよ。貴方の最愛の妻として、昼も夜も常に寄り添い守り続けるわ」
類が答えるのとほぼ同時に、舞も答えていた。
「もちろん、何も心配することはないわよ、圭太さん。今日はこんなのとか、あんなのとかにいっぱい振り回されて大変でしたでしょう? だから、夜はあたしがベッドの中で精一杯ご奉仕して癒やしてさしあげます。それが、妻としての当然の務めですから」
言葉は完全に被っていたが、不思議と二人の言うことを圭太ははっきりと理解することができた。
言葉は違っても、結局内容はたいして違いはなかったのだが。
もちろんそんなこと、圭太はわざわざ言ったりしない。
怖いからだ。
二人が。
なので、必然的に圭太の笑いは若干引きつったようなものにならざるを得ない。
すると、それを見てとったのか、類と舞はお互いの顔を睨みつけた。




