第一章 二人の嫁、襲来 - 18 - 違う世界から
第一章 二人の嫁、襲来 - 18 - 違う世界から
まだ西の空で太陽は輝いている。もちろん雲で隠れているわけではないのに、どこか薄暗い。
しかも、昼間なのにまったく人通りはおろか車も走っていなかった。
タクシーから、腐った運転手が飛び出してくるかと思ったのだが、そんな様子はまったくなかった。
今日は一日朝からずっとわけが分からないことばかりだったのだが、まだまだ終わったわけではなさそうであった。
ここがどこかは知っている。だが、まったく違う場所だということは間違いなさそうであった。
とりあえず、圭太は自分の部屋に帰ってみることにする。
本当に自分の部屋に帰ることができるかどうかは定かではないにしても、他に行く場所があるというわけではなかったからだ。
今、アパートの前にいて、借りている自分の部屋に戻るまで何分と掛かるわけではない。
はずだったのだが。
気がつくつと、圭太は森の中を歩いていた。
まるで起きたまま悪夢を見ているようであった。
なんで、こんなことになっているのかも分からない。
そもそも、薄暗い森の中で、一体どっちに向かって歩けばいいのかすら分からなかった。
その時なぜだろう。圭太は第二帝都で言われたことを思い出した。
それで圭太は目を閉じてみる。
体の向きを変えると、ある方向で光が見えた。
もちろん圭太は、光の方向に向かって進んでいく。
まっすぐ、ひたすらまっすぐ進んでいくと、次第に光に近づきやがて光に包まれた。
そして、また何かとぶつかった。
ひっくり返るかと思ったら、今度はその前に抱きとめられる。
一体何がと思って目を開けようとしたとたん、圭太の唇がこじ開けられて口の中で何かが激しくれろれろと蠢き始めた。
目を開けると、自分の顔の前に誰かの顔があることが分かった。
あまりに近いがそれが誰かくらい十分にわかった。
今の圭太の状況を説明すると、国民的美少女とぶつかって倒れるところを抱きとめられた上に、問答無用でキスをされている所であった。
それも、激しいディープなキスである。
今朝の状況に酷似していたが、決定的に違うのはキスをしているのが類ではなく舞であるということだ。
しかも舞は類と違って、キスだけではなく遠慮なしに圭太の下半身をタッチしてきている。
っていうか、ズボンを脱がしにかかっている。
「ちょっ、ちょっと待った!」
強引に舞の体を引き剥がそうとしながら、圭太は叫ぶように訴える。
「イヤよ。やっと会えたんだから」




