ココアの作戦会議2
記者として潜水館の情報を書き込んでいた手帳、その新しく白いページをめくる。整理しながら、話を進めていこう。なんとなく、自分が議長役になってしまった。
「ええと、それでは、まず、パパゲア氏が、おそらくは殺されたということですが……」
「ちょっと待て。そもそも、そのことをここでぐちぐち考える必要あんのか?」
だが、いきなりクロードが話を断ち切ってくる。
しかし言っていることが分からない。意味?
「どういうことですか? だって現に人が死んで――」
「あのよ、そこのヴァン・ホームズは元探偵だろうけど、俺たちは全員殺人事件を調べることにはまるで関係がない。いいか、ここで一番に考えるべきは、どうやって浮上するかじゃねえのか? 浮上した後、然るべきところに通達して捜査してもらえばいいだろ」
「うっ」
この色男風のヘタレだと思っていた男が、意外にも正論を言う。
「それは理屈ですが、無理でしょう」
ディーコンがため息とともに否定する。
「浮上するまでの間、この閉鎖空間で我々は一緒にいなきゃならない。その中に人殺しがいるかもしれないんです。気にしない方が難しい」
「それに、だ。さっきエジソンさんからの話であったように、とある部品さえ見つけて戻せば浮上するわけでしょ? その部品を持っているのって、やっぱり犯人なんじゃない?」
夫の援護射撃をするライカ。
言われてみれば、殺人とこの潜水館の事故が何の関係もないと考えるのは無理がある。同一の犯人だと考えた方がよさそうだ。
「それじゃあ、あの人を殺した犯人を見つけて、そいつから例の部品とやらを取り戻せばいいってことね」
シチュエーションに燃えてきたのか、令嬢らしさの欠片もなくメアリが拳を手に打ち付ける。というか、この少女はさっきから父親が死んだというのに少しも悲しんでいるように見えない。
「落ち着け、落ち着け……ちょっと待て、待てよ。おい、じゃあ、今、館を沈めてる奴と殺人犯が同一人物として、だ……そいつは、何が目的なんだ?」
クロードが青白い顔で自問するかのように呟く。その呟きは小さいが、何故かはっきりと耳に届き、ぎくりと心臓を鷲掴みにされたような気分になる。
それは他の人々も同じらしく、全員がしん、と黙ってクロードに視線を集中させる。
「い、いや、だって、そりゃそうだろ。パパゲア氏を殺す……そりゃあ、はっきり言って、殺される理由は色々ありそうな人だ。だけど、その殺した奴はどうしてこの館まで沈めてるんだ?」
ざわざわと、空気が騒がしくなる。クロードの疑問は正当なものだ。その正当な疑問が、何かあまり好ましくない結果に行きつきそうな嫌な予感がする。
「それは……館を沈めたままにして半壊させる理由なんて、わたくしたちを閉じ込めるくらいしか理由はないのでは?」
ティアがおそるおそるそう答えるが、
「いや、その閉じ込めた理由だよ、だから。それに何の意味があんだよ?」
余裕がないのか、クロードの口調はどんどんと乱暴なものになっていく。
「当然、捜査機関に連絡されないため……じゃないですか?」
僕が答えるが、何だかこの答えもおかしな気が我ながらしてくる。
「だからよ、その理由だよ。連絡されないっても、永遠にこれを沈めておけるわけじゃねえだろ。犯人も死ぬことになる。ってことは、いつかは浮上するはずだ。だろ? ってことは、単なる時間稼ぎにしかならない」
つまり、それは何のための時間稼ぎかというと。
「まだ、殺すつもりだと?」
アオが言う。
「もしくは皆殺しにするつもりかもしれないぜ。それから浮上させて、犯人役を死んだ奴に押し付けて自分は運のいい唯一の生き残りってことにするのかもよ」
ぞっとするようなことをぞっとするような表情でクロードが言う。
空気が、妙なものになる。
「――確かに、あの人を殺しただけでは片落ちだものね。遺産を独り占めするなら、あたしも殺さないといけないわよね、お母様?」
「いい加減にしなさい。あなたこそ、あの人とわたくしを殺して遺産を全て受け継ぐつもりでは?」
「さっきからずっと思っていたが、この状況下でも仮面を外さないなんて怪しすぎない?」
「これは趣味ですよ、ライカさん。あなたこそ、そろそろ本当のことを告白しては? 貧民の救済を掲げているあなた方夫妻が、大金持ちの道楽のようなこのイベントに参加していることはどう考えても不可解です」
「おい、ヴァンさんよ、あんた、引きこもりの貴族様がどうしてこんな場所まで来たんだよ、ええっ?」
「後で話すよ。話は変わるけど、クロードってさ、やっぱティアとデキてんの?」
一気に険悪になっていく空気。ようやく、ヴァンの視線の意味が分かる。下手をすれば皆殺し、そういう話に辿り着くと予想していたからか。しまった。このままではパニック状態で――
ばん、と大きな音。言い争いが止まる。
ヴァンがテーブルを力いっぱい叩いたのだ。全員の意識を集めるために。
「ちょっといい? ……ああ、元名探偵の俺の言うことを信じて欲しいんだけど、皆が心配しているようなことにはならない」
ポーズなのかそれともこちらの方が素なのか、いかにも気の抜けた、だらけた様子でヴァンは言う。
「どっ、どうしてそんなことを断言できるっ?」
勢い込むクロードを、落ち着けとゼスチャーで宥めつつ、
「念のために確認したいんだけど、エジソンさん」
「はっ」
「部品抜き取ってこの館が沈んだ、それはいいよ。でさ、部品抜き取られたら湖底に激突して壊れるのって、エジソンさん予想できた?」
「お恥ずかしいことながら、安全対策は万全のはずでした。まさかこんなことが起こるとは――」
「ああ、いいのいいの」
ヴァンはぱたぱたと手を振る。
「設計に関わっていたエジソンさんがこうなんだ。この館のことを秘密裏に調べていたのが犯人だとして、その犯人にとっても今のこの状況は予想外ってことだよ。少なくとも、犯人は館が壊れて浸水してくるとは、夢にも思っていなかったはずだ」
全員の頭に意味が染み渡るのを待つように一呼吸おいて、
「ってことは、焦っているのは犯人も同じ。そして、犯人が何かを事前に計画していたとして、その計画通りに物事が進む可能性はかなり低い……はっきり言って、犯人が当初どういう計画を組んでいたか、よりも、こんな状況になって犯人が自棄にならないかの方が俺としては心配だよ」
だから、俺たちも落ち着こう。そう、ヴァンは続ける。
「俺たちも、そして俺たちの中にいるかもしれない犯人も落ち着こう。そういうことだよ。ここで場がパニックになって得することは何一つない。犯人にとっても、俺たちにとっても。そうでしょ?」
いつしか場は落ち着き、全員の視線はヴァンに集中している。
「さあ、じゃあ、ここで全員で落ち着いた上で、事件の検証をしていこうよ――」
そこでヴァンは僕に目配せをして
「――ココアを中心に」
そこで僕に戻すの?
「え、ええと。それじゃあまずは改めて、パパゲア氏が殺されたのかどうかという話ですが――」
「殺された、と考えた方がいいわ。あの異様な状態を見たでしょ?」
ライカがずばっと断言する。
「紐でぐるぐる巻き。あれで事故死のわけがないもの」
「俺は実際に死体を見ていない、が……事故で亡くなったパパゲア氏を、後から紐で縛ったということはありえないのか? ああ、何のためになんて訊くなよ。分かるわけがない」
遠慮がちにではあるが、ディーコンが妻に確認をとる。
「ううん、そうねえ」
「エジソンさん、医術の心得があるんですよね? あの紐って死んだ後に巻かれた感じ? それとも、生きている間?」
ヴァンが質問をすると、
「ふうむ、正式に調べたわけでもなく、水の上を浮いていたことも含めて、かなりあいまいな話になってしまうのですが、あの紐は旦那様が死んだ後に巻かれたと考えるべきかと思います」
ほう、と誰かの嘆息が聞こえる。これは、かなり重要な意見だ。
「印象の話になりますが、あの紐はかなり強く巻かれていたようでした。そして旦那様のあの姿勢……あれは、死後硬直で固くなっている死体を無理矢理に紐で縛ってあの姿勢にしたのではないか、と」
確かに、今思い起こせば紐はかなり死体に食い込んでいたような気がする。嫌だけど、後で実際に死体を確認してみるのもいいかもしれない。
「……となると、パパゲアさんが、あの衝撃で頭か何かを強く打って死亡。その後、死体を誰かが縛り上げた。その可能性もあるわけか」
クロードが呟くが、
「可能性はあります。しかし、その理由を思いつきますか?」
アオの真っ当な疑問に答える者はいない。
「大体、そうなるとあの衝撃が起きたこと自体犯人にとっては予想外なんだから、そもそもパパゲア氏の死亡自体が予想外ということになる。予想外に事故で死んでしまった男の死体を縛り上げる理由、俺でもぱっとは思いつかないな。ここは、この時点で考えても仕方ないかもな」
ヴァンがそう言って目を見て頷いてくる。
「分かりました。それでは、おそらくは殺されたということで話を次に進めます。もしも何か思いついたらまた戻ってきましょう。次は、いつ殺されたのか、です。事故が起こってからパパゲア氏を見かけた方はいらっしゃいますか?」
その質問には、誰も答えない。
「……ということは寝る前、最後にパパゲア氏が目撃されたのはどのタイミングかということになります……皆さんの証言をまとめさせてください」
手帳を手に、全員の最後に見たパパゲア氏の証言を集め、それをパズルのように組み合わせていく。
分かったのは次のような流れだ。なお、全て正確な時間は不明だ。だから、時系列を整理するのがなかなか難しかったが。
① 食事の後、パパゲア氏は自室に引っ込む。(食事の後、パーティールームに残っていたティア、クロード、エジソンが証言)
② 部屋にティアが戻り、パパゲアに今夜はメアリの部屋で一緒に寝ることを伝え、退出。(ティア自身の証言、ただしこの後に実際にメアリの部屋にティアが来たのはメアリが証言。なお、先に寝たのはメアリ)
③ 商談も含めて話をするためにワインを手にクロードがパパゲアの部屋に行く。これは事前に予定しておりパパゲア、ティアとも話を通していた。一時間ばかり話した後で退出。これが深夜1時ごろ(クロード自身の証言)
「……ううん、こうなると、証言を素直に考えるクロードさんが一番怪しいですねえ」
思わず僕が唸ると、
「ちょっと待ってくれよ、だったら正直に言うわけないだろ」
必死のクロードの反論。
「いや、そうとも限りません。ひょっとしたらパパゲア氏の部屋を訪ねるのを誰かに見られている可能性がある。だから嘘を吐けずに正直に証言せざるをえなかった。そう考えることもできます」
「おい、仮面野郎! てめぇいい加減にしろよ」
アオに激高するクロードを宥めつつ、
「まあまあ……実際のところクロードさんの後に犯人がパパゲア氏に会って殺害したとしても何の不思議もないですからね。あくまでも、証言の上ではクロードさんが最後になってしまうからどうしても怪しく思えるというだけです」
「ねえ、そこの②と③の順番は絶対なのよね?」
ティア犯人説を推したいらしいメアリが確認してくる。
「ええ。ここがひっくり返るのはどうしても無理ですね。メアリさんがティアさんを部屋に入れた時間、クロードさんがパパゲアさんと話していたのは確かみたいですし」
②と③の時系列はかなり重要なので何度も証言を確認したところだ。間違いはない。
「そもそも、パパゲア氏の死体はどうしてあそこにあった?」
独り言のように、ヴァンが言う。
「確かに。キッチンに浮いていたんでしょう? あんな場所にどうして……」
ティアが戸惑ったようにちらちらとエジソンを見る。キッチンの主であるエジソンならば何か分かるのではないか、とでも言うように。
「よろしいでしょうか?」
その視線に向かって頷き、エジソンが話す。
「キッチンにあった理由は、二通り考えられます。一つ、元々キッチンにあった」
「え、でも、ゴーレムに無理矢理にドアを開けさせるまで、あの部屋は密室状態だったんですよ? ってことは」
密室殺人か、と僕がいきり立つと、
「アホ。湖底との激突の後の話だろ、それは。激突する前に死体をキッチンに置いといたと考えれば何の不思議もない」
にべもないヴァン。
「うっ、あ、そっか……」
そりゃそうだ。
「……二つ目は、元々は廊下の水の上を浮いていた。我々が最初の時点で周囲を探索した時は、東の廊下から北の廊下を回った時に、浸水が酷いので途中で引き返しました。あの時、実は奥に旦那様の死体が浮いていたということです。そして、ゴーレムによってキッチンのドアを無理に開けた時に水と一緒に流れこんだ」
「しかし、どっちにしろやはり理由が分かりません」
ティアが小首を傾げる。
「キッチンにあったにしろ、廊下の奥にあったにしろ――何故です?」
どうして、そんな場所で死んでいたのか。この疑問に答えるのものは、いない。いないが。
「いいですか、その質問には答えられませんけど、そもそもどちらにしろ可能性は二つある気がするんです」
僕がこう話すと、全員が怪訝な目を向けてくる。
「簡単な話です。つまり、そこで殺されたのか、それとも死体がそこに運ばれたのか」
「――そうか。そこで殺せた、つまり殺害現場がそこだったとしたら、死体がそこにあっても何の不思議もないよなあ」
クロードが何度も頷く。
「それが正解じゃねえか? だとしたら、あそこだ、キッチンだ。パパゲアさんは呼び出されたんだよ。俺が部屋を出た後、誰かに手紙か何かであらかじめ、内密の話があるからここに来いってキッチンによお」
「無理ですな」
エジソンが珍しくきっぱりと断言する。
「な、何でだよ」
「確かに、呼び出すのに廊下のわけがありませんから、呼び出すとしたらキッチンだという話は分かります。分かりますが、そもそも旦那様ではキッチンに入ることができません。物理的に」
「あっ」
キッチンがいかに窮屈だったのか、そしてパパゲアの体形を思い出して、僕は納得する。
「けど、だとしたら……一体どうして……」
再び暗礁に乗り上げる。
「ちょっといい?」
だが、ここで意外な人物が口火を切る。メアリだ。
「な、なんですか?」
「あのさ、さっきそこのヴァンさんが言ってたけど、この状況って犯人の予想外なんでしょ? なら、あの人が殺されたのも計画的じゃないんじゃないの?」
「えっ?」
「いやだから、廊下で死んでたのが不思議なら、例えば何かの用事で出歩いていたあの人と犯人が廊下で鉢合わせして、その場で口論になって殴り殺されちゃったとか、そんなのでよくない?」
「けど、そうなると紐でぐるぐる巻きにした理由が分からないじゃない」
ライカの反論にメアリは肩をすくめ、
「そりゃあそうだけど、そもそも紐でぐるぐる巻きにした理由なんて、どんな状況だって分からないでしょ」
「紐で巻いてきつく縛る。その一番分かりやすい理由は――」
ヴァンがおもむろに口を開き、
「持ち運び易くする、とかかな」
「荷造りじゃないですよ、ヴァンさん」
呆れて突っ込む。
「いや、結構本気なんだけど。つまり、何か理由があってパパゲアの死体をキッチンなり廊下なりまで運ばなきゃいけなくなった。そのために紐で縛って持ち運び易くした、とかはどうだ?」
死体を持ち運び易くするために縛るなんて聞いたことがない。
「縛ったところで持ち運べませんよ、あの巨体ですよ?」
「押すとか引きずるにしても、縛った方が楽なんじゃないか?」
「いや、だとしてもですね……」
「やはり、あれは生贄なのでは?」
そこでアオが口を挟んでくる。また、妙な方向に。
「生贄?」
「紐できつく縛ったのはカルコサの像と同じ姿勢にするためです。つまりパパゲア氏は生贄として殺され、破損した外壁に近い廊下、つまりカルコサのいる古代遺跡に一番近い場所に捧げるため運ばれて――」
「――ああっ!」
突然、そこでクロードが声を上げる。それだけではなく立ち上がる。
「どっ、どうしました?」
「どうしたました、じゃあない。お前ら、馬鹿じゃあないのか! 簡単な話じゃあないか」
「え?」
「死体が運ばれたにしろ、そこで殺したにしろ、犯人は夜の間に北側に行ったってことだろ? それで、エジソン以外はキッチンを通れないんだよな、普通?」
「ええ。小柄な方ならば万全の注意をすれば通り抜けることができるかもしれませんが、それでも失敗すれば棚を倒してしまうことを考えればかなり難しいと言えるでしょう」
エジソンの答えを聞いて、クロードは興奮したように大きく頷き、
「ってことはそうだよ、やっぱり、犯人は東か西の廊下を通って夜の間に北に行ったってことだろ?」
「ええ――あっ」
答えている途中に、エジソンも立ち上がる。何だ、何が起きている?
「ああ、そうか、お前ら貧乏人は手が出ないから知らないか。ゴーレムだよ。あれは、金持ちが番犬代わりに買うことも考えられてるんだ」
興奮するクロードが何を言いたいのか、僕にはまだ分からない。だが、ヴァンの目は大きくなる。
「いいか? それぞれ東と西に一つずつ、ゴーレムが待機してる。こいつらは廊下を見ているはずなんだ、一晩中な! こいつらに、夜の間に誰が廊下を通って北側に行ったか、聞き出せばいいんだよ!」
監視カメラか、とヴァンがよく分からない呟きをする。
ともかく、それはすごい。ゴーレムがずっと一晩中廊下を見張っていて、そして誰が廊下を通ったのか証言できるなら、事件はほぼ解決だ。
「あれ、でも、エジソンさん、確か、ゴーレムってはい、か、いいえ、じゃないと答えられないんじゃあ?」
それに、かなり融通が利かないという話だった。
「ええ、確かに。ですから、少し質問を工夫する必要があるでしょう……」
少し考えた後、エジソンが考えたのは以下のような方法だった。
パパゲアが確実に生きていた深夜11時から、今までにゴーレムの前を通った人間を東西それぞれのゴーレムに質問する。ただし、はいかいいえでしか答えられないため、「深夜11時から今までに●●がお前の前を通ったか?」という形で、それぞれの名前を使って一人一人聞いていく。
通っていなければ問題なし。通っていたとしても、それが一体いつのことなのかを絞り込むために追加で質問をしていく。特に僕たち探索組は数回その前を通っているのは確実なのだから。最初の探索の時もそうだし、ゴーレムにキッチンのドアを開けさせた後もそうだ。
そうして、誤魔化しがないように全員まとまってゴーレムのところまで行き東西のゴーレムそれぞれに質問をして情報を整理した結果。
「――どういうこと、だ?」
ヴァンは困惑している。僕たち含む全員同じだ。
ゴーレムを信じるならば、昨夜から今まで、僕たちが探索のために一団となって動いたのを除いて――
「誰も、通っていないだと?」