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社畜40代、スマート年下男子に「3秒」で救われる。~効率化された時間で、私、愛されてもいいですか?~  作者: 寝不足魔王


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3/5

第3話:17時のチャイムが聞こえる

第3話です。

ついに「定時退社」という名の冒険が始まります。

社畜生活に慣れすぎた凛さんの、挙動不審すぎる脳内ツッコミをお楽しみください。


 午後四時五十五分。

 この時間は、大日奈商事における「残業確定のゴング」が鳴る時間だ。

 案の定、加藤課長が嫌な笑みを浮かべてこちらへ歩いてくる。その手には分厚いファイル。


「佐藤くん。このデータの照合、悪いけど今日中に……」


(キタキター! 妖怪『今日中に』! 悪かったら自分でやりなさいよ、このマヨネーズ容器! 私の今日の予定は、一之瀬くんと……って、えっ、私、本当に行くの!? デート!?)


 私が脳内でパニックを起こし、いつものようにファイルを預かろうと手を伸ばしかけた、その時。


「課長、その件ならもう終わっています。共有フォルダの『緊急』に入れておきました」


 一之瀬さんが、私の伸ばした手を優しく、でも力強く引き戻した。

 そのまま彼は、私の手首を掴んだまま課長に微笑む。


「……終わっている? 一人でやったのか?」

「いえ、凛……佐藤さんにやり方を教わって、僕が効率化したんです。佐藤さんの指導が素晴らしいので、もうこの部署に、定時を過ぎてまでやる仕事なんてありませんよ」


 そして。

 校内放送のような、どこか間の抜けたチャイムが響き渡った。十七時だ。


「さあ、行きましょうか。凛さん」


 グイ、と手首を引かれる。

 私は、まるで誘拐される子供のような足取りで、唖然とする課長を置き去りにしてオフィスを出た。


(待って、待って待って! 階段降りてる! 私、今、会社を出てる! 外がまだ明るい! 太陽が沈んでない時間に外に出るなんて、前世ぶりじゃない!? 街の人がみんなキラキラして見える、何これ、不法投棄された気分!)


 エレベーターの鏡に映る私は、髪はボサボサで目は血走っている。

 対して隣の彼は、モデルのように涼しげだ。


「……あ、あの、一之瀬さん。私、こんな格好で……恥ずかしいわ。一度家に帰って、せめて顔でも洗ってから……」

「ダメです。今の凛さんが一番綺麗ですから」


(ぎゃあああ! 何その殺し文句! 四十歳の疲れ果てた顔を見て綺麗とか、この子、視力検査した方がいいわよ! 乱視? 乱視なの!? それとも新手の詐欺!?)


「凛さんが自分を嫌いな時間も、僕が全部、好きで上書きします」


 一之瀬さんは、エレベーターの壁に私を追い詰めるようにして一歩踏み込んできた。

 閉ざされた空間。

 十七時の太陽が、彼の瞳を黄金色に染めている。


「……逃がしませんよ。今日は、夜が長いですから」


 私の心臓の音が、エレベーターの駆動音よりも大きく響いていた。


お読みいただきありがとうございます!

太陽が出ているうちに退社する背徳感……社畜経験者なら共感いただけるでしょうか(笑)。

一之瀬くんの独占欲も少しずつ見えてきました。

次回、二人の初デート(?)編です。応援よろしくお願いします!


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