相談5話:秘密の共有は、三秒の口づけで
「社内恋愛相談編」最終話です!
ついに全社公認のカップルへ。
一之瀬くんの「僕が惚れ抜いた」発言で、凛さんの立場を守りつつ独占欲を満たす、最高に甘い結末です。
翌朝。会社のエレベーターが開いた瞬間、私は自分の選択を後悔した。
……視線が。全方位からの視線が、レーザービームのように私を焼きに来ている。
(分かってた! こうなることは分かってたわよ! 昨日あんな派手な回収劇を見せつけられたら、三秒で社内SNSに拡散されるに決まってるじゃない!)
デスクに着くやいなや、マイちゃんたちが目を血走らせて詰め寄ってきた。
「凛さん! 説明してください! 一之瀬さんとの関係、仕事の相談なんかじゃないですよね!?」
(脳内:ひえええ! 逃げ場なし! でも上司としてなんて言えばいいの!? 『はい、彼に三秒で攻略されました』なんて、恥ずかしくて舌を噛み切るわよ!)
私が「あ、あれは……その……」と口をパクパクさせていると。
「……僕から話しますよ。凛さんが困ってるじゃないですか」
一之瀬くんが、私の肩に手を置いて現れた。
ざわり、とフロアが揺れる。彼は逃げも隠れもせず、後輩たちを見据えて微笑んだ。
「僕が、転職初日に彼女に一目惚れして、半年かけてようやく振り向いてもらったんです。……凛さんは被害者ですよ。僕があまりに有能で、三秒も目が離せない男だったせいで」
(ぎゃああああ! 自分で有能とか言う!? でも否定できないのが悔しい! っていうか被害者って何よ! 私も……私も、あなたのこと大好きなのに!)
呆然とする後輩たちを前に、彼は私の額にそっと唇を落とした。
三秒。フロア全員が息を呑む、静寂の三秒間。
「これからは公認ということで。……凛さんへの恋愛相談は禁止です。彼女の答えは、全部僕が持っていますから」
彼はそう言い残すと、私のデスクにそっとコーヒーを置き、自分の席へと戻っていった。
「……凛さん。……ずるいです、あんなに愛されてるなんて!」
「……え、ええ。……ごめんなさいね」
マイちゃんたちの目は、いつの間にか非難から、深い溜息混じりの羨望に変わっていた。
秘密を共有するスリルは終わったけれど。
代わりに手に入れたのは、隠さずに彼を愛せる、新しい日常。
(……もう、三秒も迷わないわ。この強引で有能な年下騎士と、一生分の残業……じゃなくて、一生分の幸せを築いていくんだから!)
(相談編・おわり)
最後までお読みいただきありがとうございました!
隠し通そうとする凛さんと、バラしたくて仕方ない一之瀬くんの攻防、いかがでしたでしょうか。
これで職場もプライベートも、二人の邪魔をするものはいなくなりました。
ぜひ感想をお聞かせください!




