デカい報酬を受け取りました(物理的に)。
「どうやら終わらせたようじゃな」
何体倒したかも分からない取り巻きが動かなくなったのを見つつ、メッセージウィンドウを確認する。
「向こうはどうしてるのかな?」
ハバキリ達の様子が気になり、連絡をしようとしたRAN/LANを一旦静止して
「もう戦闘は終わったぞ。いい加減出てきてはどうじゃ?」
先に、こっちの都合を終わらせよう。
え?っという反応を見せたRANを他所に外壁の影になるところを見つめる。
「やっぱりちょっと近づき過ぎちゃったかな?」
「あの男にバレるよりかは全然構いませんよ」
「いやそこまでいたんじゃったら手伝って欲しかったのじゃが」
現れたのはラフな格好の少年とメイド服の女性だった。
「ほほう、クラン『ウィズダム・サイト』のリーダーウィズと副リーダーのキョウカじゃな。まあ儂らの戦いじゃからお主らが観にくるのは妥当じゃろうな」
「分かっているなら話が早い。」
ウィズが話を切り出す。
「仙女さんがクランを率いたっていうのでクラン同盟組みたいのと、お従兄さんともフレンド登録して起きたくてね」
「あの輩と、フレンド登録を」
「キョウカはマジで童が嫌いじゃな」
「道場破りを嫌う者の方が多いでしょう?」
そうかな?という反応をしつつ、ウィズが
「で同盟組むのはいいとしても、お従兄さんどこに?」
「ああ、童なら」
と6つの船艦と1つの球体となった浮島の方に指を刺して
「まだアレの何処かじゃな」
「ワンチャンクリアしたらこっちに転送されるとも思ってたんだけど」
「以前よりも要塞感が増しましたし、余計に難易度上がってそうな見た目になっているのですが」
ソレなーと周りの誰かが反応した浮島に何が起きているのかは分からない。
「まあ一度連絡を送ろうかのう」
言いつつビデオ通話を行うと直ぐに連絡がついた。
「おーう童ら、今どうなっておる?」
「おお仙女ババアか、観てくれよこれ!」
映った映像に見えたのは、先ほどの白フードや、以前から身につけていた桃色の和装でもない、軍服のような衣装を身につけたハバキリだった。
時は少し遡り
アナウンスが飛んで来たと同時に声が聞こえた。
『見事だ。龍を討ちし者達よ』
「え?どっから聞こえてんの?」
「マタ倒したモンスターカラ聞こえてイルのデハ?」
『当たらずとも遠からずと言うべきか。確かに私はヴァル・フロイア・コアだ』
「どうやらこの空間全体から聞こえているのか」
『では、コレより艦長就任の儀を始めるので、ハバキリ艦長は早速手に入れた装備一式に着替えてくれ』
「は?」
いきなり何言ってんだコイツ?確かに新しい装備一式ゲットしたけど全然意味わからないんだけど。
『呆けているところ悪いが、艦長の資格を得た以上は軽い挨拶でもやって欲しいのだ。案内はフラウに任せる』
「了解しました」
下からぬるりと現れたヴァルフラウが手招きをする。
「艦長の席はこちらです。着替えは移動しながらでも問題ないでしょう?」
「いや説明もう少ししてくれ。あとサラッと復活してんじゃん」
なーにぬるりと現れて手招きしてんだか。
「簡単なことです艦長。我々はヴァル・フロイアの作りしただ一部に過ぎません。私やボンブ、リークのような特別な人格ユニットを内蔵されているものもおりますが、全員予備の機体がご用意されておりますので、最後の戦いが終わり次第復活できるようスタンバイしておりました」
「おお、ロボットアルアルだな!」
バンブスターってこういうのが好きだったっけ?
「まあ良いや。けど艦長になって何かリスクとかってあるのか?」
「注目されるということがデメリットでしたらそうなりましょうが、特にはないかと。我々に指示ができる管理者権限とこの艦のカスタマイズを行えるだけですので」
「ここってカスタマイズできるの!?クランハウスとか置ける?」
「本艦は元々空に居住区を作るという目的で設計されたもの故、建物の建設は可能になっております」
まーじか。ならいっそWIRDSのクランハウスここに建てるか。
「それにスペアキーを持つあなた方にもある程度の管理者権限を保持しておりますので、艦内であれば簡単な命令はお聞きできますよ」
「マジかよやった!」
「正直外デアナタ方を連れてオキタイものデスが」
たしかに。コイツら強いし、下手なプレイヤーと組むよりかは働いてくれそうだ。命令できるなら、それくらいあってもとは普通なら考えつくことだ。
「可能ですよ。と言ってもスペアキーではヴァル・ミニオンを1体、マスターキーで私とヴァル・ミニオン2体を連れての行動が可能です」
「マジかよやったって言いたいけど、マスターキー持ち優遇されすぎでは?」
「マスターキー所持者とは艦長の事ですから、最大限のサポートをするべきなのです」
「作用ですかい」
まあちょっと悪いなーって思うけど決められている事なら仕方ないか。
「まあでも、ここに来れる時点でそこまで助けられる程の弱さでもないって事でしょ」
「その通りですマスター。話している間に到着しましたね」
ついた場所は様々なスイッチやコントローラーの設置されている場所、というより操縦室と呼べる場所であった。
足元がクリアパーツでしたが見えるため、人によっては立てなくなりそうだが。
「艦長服は………すでに着ていらっしゃるようですね。では改めまして」
ヴァル・フラウがコチラへと、後方の全体を見渡せる位置に俺たちを誘導する。
「コレより艦長就任の儀を行います。艦長から何か言わせるべきかとも思いますが、突然のことですので省略するとして」
ああそこは省略なのね。
「コレより我らが命は貴方と共にある事を誓いましょう。艦長、コチラにお手を」
とフラウが指した場所には、タッチ認証のパネルが出て来ていた。
「艦長の登録を行うものです。本来はコレが成されたのち、歓声を上げるべきなのでしょうが我らは兵器故ご容赦を」
「「「なら俺たちが上げるぜ!!!」」」
「私も私も」
「同じくデスネ」
ハハッ、全くお前ら最高だぜ
てな感じで、俺は軍族艦ヴァル・フロイアの艦長になったのだった。
前回に説明がないだけで称号:新たなる管理人と称号:浮島の艦長就任を手にしたプレイヤーにヴァル・フロイアの操作権を得られるシステムになっている。
 




