水底の国2 お宝の近くにはなんかいるぞ
「普通に金銀財宝ってあるんだな」
「そのまんま置かれている感じだな」
「イヤギミックブレイクしたアンタらが言うんじゃねーよ!!!」
後ろで松茸がキレているが、まあ仕方がないだろ。
だっていかにもな扉壊したら行けたんだもん。
「ままままま、ここは仕方がないとして本来の目的であるトレジャーハントと行きましょうか」
「………それもそうだけど………まあいいか」
バンの説得に、なんとか折れてくれたようだが、実際ダイヤル式の錠に魔法陣のようなものが浮かび上がっていたから、壊すのは容易ではないということで、地道に調べていくしかないであろう。
「それにしても全部濡れているな」
「そりゃ少し前まで海の底だったわけだしね」
「だけど意外と状態は良いよね」
3バカが言う通り、ドイツもコイツも濡れてはいるが、状態は良い。
完全密閉されている訳ではない空間で、金ならまだしも、銀や鉄細工の品もある中で錆が一切ない。
更には、海藻やフジツボのような貝類なども、付着していない。
「なあバン、状態を保つための魔法って存在しているのか?」
「あるには有りますけど、水没して滅んだ中で今日まで保つのは流石に聞いたことがないかと」
「なるほどなぁ」
ジンちゃんが、何かに勘付いたようだ。多分俺と同じだろう。
「じゃあここ長いジンちゃん答えてくれや」
「ズバリ!アンデッド化した魔術師とかが潜んでいるとかだろ」
「おお〜!………ってオイオイお前らこう言う時は煽てるもんだぞ」
「「「「お、おお〜」」」」
「イヤ当人目の前に煽てるとか言うなよ!」
まあ全然良いでしょってことで
「そこのお前誰?」
全員構える。
なんかさっきからいる黒ローブのやつが、とても驚いていた。
イヤ敵意はないんだけど、さっきから彷徨かれてウザかったし。
「早く答えないとバラバラになっちゃうよ。喋れないなら今すぐ斬るけど」
『い、いや喋れる喋れます。念話ですけど』
なーんかくぐもっているけど、まあ良い。
「えーでは、尋問を始めます。そこ座って」
『え、はっハイ』
とりあえずお宝回収しつつ、黒ローブは体育座りさせて質問タイムだ。
「まずは俺から。お前は誰だ?」
『ああ、あなた方のお察しの通り、アンデッド化したここの宮廷魔導士です』
「ジンちゃん当たりだって〜良かったね〜」
「うわ、昔の王様かなんかの金の彫刻じゃねーか(無視)」
『ああソレは我が王スレットの20代くらいだったかの時の彫刻ですね。純金ですよ』
めっちゃ喜んでいるところだが、一旦降りてきて質問してきた。
「じゃあ俺から、なんで今出てきた?」
それは確かに思ったことだ。
流石にいきなりがすぎる。
『ああそれは、あなた方が封印を解除したので動けたと言うだけですよ。気になってホイホイついて来ちゃいまして。割と自慢だったあの結界を物理で破壊してくるとは思いませんでしたよ。割と自慢だったのに』
ちょっと恨まれているんだが、まあ仕方ないね。
「ちょとマテお前封印されてたの!?」
『ええまあここが水没しそうって時までいろいろありまして、念のためにとアンデッドとなり、自分で封印を施していたのですよ』
うーんなんか今闇を感じたゾ。
「ホーイじゃあ俺聞きまーす」
そんな話無視して、松茸が割って入る。
「なんか良いお宝ある?」
『いや君たち私から見ればあなた方簒奪者とか盗賊とかの類だからね!?』
「いいからイイから!」
『ええー………まあもう滅んでるしいいか』
良いのかそれで!?
『まずここ以外にも宝物庫はいくつかある。城にはここ以外に3つ、城下にも実は4つ程ある。まあ今も機能しているのかは不明だがね』
「そんなに!?」
思っていたよりも多い。ある程度の目星はあったが、その倍はある。
『他にも君たちにとっては価値があるものもあるやも知れんが、流石にそこまでは分からんよ』
「いやそこまで分かってくれれば十分ですよ」
確かに、梅酒の言う通り宝の在処については十分知れた。
「てことでそのまま僕が。ここで危険視すべき敵生態はいますか?」
『めちゃくちゃいますね。起きてたらの問題ですけど』
うわーそれやばいヤツ紹介される前フリじゃん。
『まずは、水没前に逃げきれなかった民間人のアンデッド達だ。ヤツらを操っているのがギュルギラスという私のライバルだな』
「なんでそれを知ってんだよ」
『なんかアンデッドになってから一度だけ私の元に来て自慢しに来たんだよ。マメだよね〜』
「「イヤな奴ってだけだろ」」
こういうところは、俺もジンちゃんも同意見だ。
『ハハハ。そういうこともあるんでしょう。お次からはこの国の生物兵器についてでも紹介しましょうか』
「あ、やばそうなのが来た」
「いやすまんけどその話手短に頼めるか?そろそろ俺たち一度戻んなきゃ行けなくてね」
確かに、城を目指している間に良さげなアイテムを回収していた都合で、残り時間あと5分のアラームが鳴り始めた。
『なら手短に話そう。生物兵器はボスクラスのが3体いた。1体目は『ハルサグーラ』。起動すると自動的に尖兵である『メトハルサ』を呼ぶ巨大タコだ』
ああ一般的には面倒な相手ね。まあ俺たちからしたらそうでもないだろうけど。
『次に『ツジグライ』ですね。見た目は塔と見紛うような岩礁の塊に貝の鎧がくっついている感じです。貝をなんとか取らないと倒すのは無理かと』
その貝って現実でいう鮑とかそれ相当なんじゃね?
『最後が『ポセイドラ』。コイツが1番ヤバいですよ。攻撃に反応して素早く対応して反撃を行えるようになってます。結構でかいのに攻撃が一瞬になるはずなので、正直私たちにとっても笑える相手ですよ』
うんうんヤバいね〜。
さて、ある程度対処方法は思いついたとして
「なんか昔にやばいヤツ作りすぎじゃね?」
まあバンの言う通りだ。昔の戦争時代の産物とはいえ………いや待て
「そんなヤツら昔の時代に暴れてなくね?」
今なんか違和感があったけど、それだ。
「そういやそんなヤツらが暴れていたら国王なら言及するな!」
ジンちゃんの言う通り、国の歴史とかにある程度触れているであろう王族達からは、何も聞いていない。それが、このボスクラス達の違和感だ。
『ああそこに気付きますか。実はコレらは水没する前は製造途中でして、自動製造システムも水没して止まっていたのですが』
何故か大渦で国一帯が開けたから稼働していると
『それで全て数日以内には完成してしまいまして。操縦者も制御班もいないので勝手に暴れ出すかと』
うーんコレはヤバいね。
アイツら面倒なことしてくれてんな!
地味に名前出されていない宮廷魔導士さん




