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紫竜の花嫁  作者: 秋桜
第6章 望郷編
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ジャガーの縁談 

「龍景様!」

 ゴリラ商人の屋敷から出て、馬車に乗ろうとしていた龍景は頭上から呼ばれて足を止めた。

「ん?サーモ?」

あれは族長の執事をしている雌トンビだ。猛スピードで降下してきた。

「サーモ、どうした?これから本家に戻ろうと思っていたところだ。」龍景は着地した執事に声をかける。

「ぞ、族長の命令を伝えに参りました。このまま北上してカラス領で一泊し、明日の朝、龍灯様と合流してジャガー本家に向かえとのことです。」

「は?ジャガー?なんで?」

龍景は驚いてトンビを見る。


「す、数時間前、黄虎族から正式発表がございまして。ジャガー族を眷属にし、黄虎族長の弟とジャガー族長娘を結婚させたそうです。」


「は、はあ!?」龍景はまた驚いた。

「な、なんで?黄虎族長は数年前までジャガーと戦争してたのに?」

「し、詳細を確認するために、結婚祝いを持って補佐官2名でジャガー本家を訪問するように、との族長命令でございます。」

「あ・・・なるほど。そうだ。龍灯様が黄虎担当になったんだったな。分かった。カラスの宿はこっちで手配すればいいのか?」

「いえ、カラス族長が準備しているそうですので、カラス本家に向かって下さいませ。ゴリラの話をカラス族長に共有しておけ、とのことです。」

「分かった。サーモはとんぼ返りか?」

「はい。私はこちらで少し休んだ後、本家に戻ります。龍景様、どうぞお気をつけて。」

「お前もな。じゃあ先に出発する。族長によろしくな。」

龍景はトンビの執事を残して、ゴリラ領を出発した。



~カラス本家~

 龍景がカラス本家に着いたのは、日が沈む直前だった。

「ようこそおいで下さいました。朝顔亭の若様。族長のもとにご案内致します。」出迎えたのは族長補佐官をしている雌カラスだ。

 龍景が応接間に通されると、すでにカラス族長が座っていた。

「ようこそ。どうぞお掛け下さいませ。お疲れでございましょう。お酒と軽食をご用意しております。」

龍景はカラス族長の向かいに座った。


『どうやら長話になるっぽいな。』


龍景は内心うんざりしたが、営業スマイルのまま頭を下げた。

「突然のご訪問にもかかわらず恐れ入ります。」

「とんでもありません。早速ではございますが、ワシの雛をゴリラ商人に売った人族のお話をお聞かせ願いますでしょうか?」

「はい。実は・・・」

 龍景は先ほどゴリラ夫婦から聞いた話をカラス族長にきかせた。

「なるほど。その人族町はおそらく水洞町(すいどうまち)のことだと思われます。」カラス族長の言葉に龍景は驚いた。

「なぜ、ご存知なのです?」


「実は昨日、今のお話に出てきたゴーライという雄ゴリラを保護しました。その水洞町近くの森の中で重症をおって倒れていたのです。」


「ええ!?」龍景はまたまた驚いた。

「ゴーライは傷の手当てをしている最中に意識を失い、まだ眠り続けております。かなりの重症のようで会話をするにはまだ時間がかかりそうです。話を聞けるようになりましたら、ぜひ紫竜のお力もお借りしたい。」

「畏まりました。族長に伝えます。」龍景は真剣な顔で答えたが、内心では舌打ちしていた。


 カラスの奴らゴーライのことを知ってたな。

何らかの方法でゴーライに重症を負わせて拐ってきたに違いない。

カラスどもは自分より力の強い獣人を弱らせて捕まえるのだ。


『まあ、カラスの対応は族長の指示を仰ごう。今のカラス族長の話しに嘘はなかったから、ゴリラから話を聞けるのはまだ先になりそうだ。』



~カラスの宿~

「や!おはよう、龍景」

「龍灯様、お疲れ様です。」

龍灯が龍景の泊まる宿にやって来たのは翌日の朝10時を過ぎた頃だった。

「早速だけど、こっちの馬車に乗れ。話は中でしよう。」

龍景は龍灯に続いて族長代理用の馬車に乗った。


「いやーびっくりだよ。あの女族長は予測のできないことばっかりさ。」


龍灯は馬車が浮き上がると話し始めた。

「はい。黄虎族長の弟とジャガー族長の娘が結婚して、ジャガーを眷属に戻したとお聴きしましたが・・・」

「そう。族長の弟は虎冬(ことう)って名前らしい。女族長の5歳下の異母弟だとさ。

ジャガーが黄虎の眷属に戻りたがってるって話は聞いたことがあったけど・・・年々弱ってきてたジャガーを眷属に戻すメリットがないなら黄虎は応じてこなかったと思ってたんだけどね。

まさか眷属に戻すだけでなく、族長の弟との縁談まで組むなんて、間違いなく何か裏がある。」

「以前、父から聞きました。黄虎からは獣人の子が生まれることもあるので、眷属たちは皆、かなりの貢ぎ物をして縁談を乞うのだと。」

「そう。一昨年、今の黄虎族長がライオンの子を生んで、ライオン族は歓喜してたね。黄虎は虎の子以外は育てないから、ライオン族が引き取って養育しているそうだよ。黄虎から生まれた獣人は、身体能力も知能も高いから、ライオン族長の養子になってる。」


「ということは、ジャガーもかなりの貢ぎ物をしたということですよね。」


「ああ。それを探ってこいとのご命令だ。」龍灯の言葉に龍景は居ずまいをただした。

「俺なんかがお供でよろしかったのですか?」

「ん?なんだ、そんな緊張するなよ。お前はもっと自信を持ちなよ!」龍灯はそう言って龍景の肩を叩く。

「いや、でも・・・ん!?」

龍景は不快な臭いを感じて眉をひそめた。

「うわ・・・虎の臭いがしてきたな。しかも一匹じゃないね。」

龍灯は不愉快そうな顔で鼻をつまむ。



~ジャガー族本家~

「ようこそ。紫竜族長の代理ですね。」

ジャガー族本家の前で馬車を降りた龍灯と龍景を出迎えたのは、黄虎族長の腹心で先代族長の虎桔(こけつ)だ。

「お出迎えどうも。」龍灯が答える。

「さ、虎冬とその妻のところにご案内します。」そう言って歩きだした虎桔の後を龍灯と龍景はついていった。

ジャガー本家には黄虎が4匹きているようだ・・・臭い


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