この校舎は既に閉鎖されています。
ある日。2人の若い男が、巨大な校門の前に立っていた。
――比較的カジュアルな格好をした一条と、陰陽師のような古風の装束を着た天宮。
門にはツル植物が絡んでおり、門から坂を登った先に見える第二校舎がしんみりと佇んでいる。
「ウワサに聞いてはいたが、随分とでかい私立高校だなぁ。本校舎はここからあんまり見えないが、かなり綺麗だ」
そんな中、一条が感心したように口を開く。
「……この県で一番でかかったらしいからな」
その言葉に、天宮が静かに答えた。
「マジか。なんで廃校になったんだ?」
「お前、知らずに着いてきたのかよ……俺たちの話聞いてなかったのか?」
天宮は、呆れたようにため息を吐く。そして、軽い説明を始めた。
「……約2年前の9月19日。この学校の生徒37人が神隠しにあったらしい」
「37人?」
「あぁ。その事件は禁忌の怪奇事件として隠蔽され、表沙汰になることもほとんどなかった……」
風が吹く。校門の鎖が小さく揺れた。
「だが、生徒が37人も消えたんだ。在校生の中退や転校、新入生の極度の定員割れが続いてな。結局、学校は潰れた」
「へぇ〜」
一条は、天宮の話に興味半分といった様子で校舎を見る。
そして、
「で、お前は"宮の家系"として肝試しに来たってことか」
と、軽く言った。
「肝試しじゃねぇよ! 調査だって言ってるだろ!」
天宮は即座に否定する。
「調査? あ~、なんかそんなこと言ってたな」
「そうだ。だから、お前来んなって言ったじゃねぇか。五摂家とはいえ、"宮"でも"神"でもない奴がくる場所じゃない」
「いや、だって面白そうだったし」
「はぁ……」
天宮は呆れたように頭を押さえる。
「まぁ、何があるかわからんが、着いてきたからには死ぬ覚悟で来いよ」
「死ぬ……まっ、お前がいれば大丈夫だろ」
「お前なぁ……」
しばしの静寂。2人の間を、夕暮れの風が再び吹き抜けた。
2人の視線の先には、誰もいない校舎。
そして校門に掛けられた看板。そこにはこう書かれていた。
【この先は禁足地です。立ち入りは固く禁じられています。】
さらに、その下。古びた別の看板が静かに揺れていた。
【この校舎は既に閉鎖されています。】
これで、『この校舎は既に閉鎖されています。』は終わりとなります。
ご愛読、誠にありがとうございました。次回作にご期待ください!!
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