表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

第8話 初めてのおねだり

少しでもマシな小説になれば良いな!と思って現在勉強中です。


訓練の内容とかも知らない分野が多いので少しでも知識を得てから書いてみてます。

温かい目でどうか読んでください。m(_ _)m


バッ...ババッ!


二つの影が動き、拳と短剣が行き交う。

踏み込んだ足が地面を削り、周辺一帯を禿げさせて青臭い匂いが舞い上がる。


「まだ脇がまだ甘いぞ!ボン!止まるな!動きながら考えろ!」

「止まってない!レックスが早すぎるんだって!」


ここは庭から少し離れた林の中で、キロ達が木を切り倒してスペースを作った簡易訓練所だ。

初めは草が生い茂っていたが、訓練を続ける度に禿げてゆき、今では家が一軒立てられるような広さの空間ができている。


「がはは!俺から見れば止まっているようなもんだ!」

「はぁはぁ...余裕ぶって!」

「一撃でも重いのを期待してるぜ!」


今はレックスとこの簡易訓練所で模擬戦形式の訓練中だ。

レックス曰く、「実戦に勝る訓練はない」という事で、型にはまった訓練はせずにこういった実戦形式で自然と学ばせてゆくような指導スタイルとなっている。

訓練のルールは僕が異能を使うのは禁止で、剣術と体術を組み合わせた「武術」のみで戦うというものだ。


これは一年程前の僕が2歳になった時に始まった。

僕はもちろん最初は渋った。

だけど、レックスにキロは良くて俺はダメなのかという悲しい雰囲気を持ち出されて簡単に折れてしまった。

我ながら甘い。

というかこの人達は平気で子供に同情を誘って付け込んでくる。

恥ずかしくないのかね!全く。


「どうした!どうした!そこまでか?一年間の成果を見せてくれよ!」

「うぐぐっ...見てろ、はあ!!」

ザッ

「お?なんだ?」


僕は渾身の一撃を振り込むために地面を大きく蹴り出す。

が、簡単に読まれた。

既に僕の剣筋の直線上からレックスは外れている。


「だけど、それでいい!」

「!なに!?」


僕は剣をそのまま全力で振り抜き、勢いのまま剣筋から僅かに外れたレックスの顔面に後から続く後ろ回し蹴りをお見舞いした。


ドッ!

「やるじゃねーか!ボン!驚いたぜ!」

「受け止められた!?」


僕の剣を囮にした渾身の後ろ回し蹴りはレックスの頭突きに止められた。

僕の身長は既に130センチぐらいでレックスと変わらない体格になっている。

体重的にもビクともしないのはおかしい。

が、僕は知っている。

レックスが実は小さくない事を。


そう、レックスの異能”収束する体(バンドボディ)”だ。

これは、小さくなればなるほど肉体的には強化されるという異能だ。


レックスは元々180センチはあり、ガタイもかなり良かったらしい。

その身体を”収束する体(バンドボディ)”によって現在の130センチまで収束している。

考えてみてほしい。一本の折れやすい矢が束になってゆき、次第には折れなくなってゆくのを。

同じ原理で、レックスの身体は細胞一つ一つの間隔が非常に密に詰まっているのだ。

僕の攻撃なんてビクともしないし、短剣だって切れても薄皮一枚が限界だろう。

(まだ剣が当たったことがないからわからないけど...)


しかし、弱点はある。

「炎」などの体の強さや強靭さに依存しないものの攻撃だ。

なので、わかると思うが僕はレックスとの模擬戦では「武術」のみの仕様となっている。

因みにもう一つの弱点として、この”収束する体(バンドボディ)”によって収束した体は元の大きさに戻ることはできないらしい。

なのでレックスはこれ以上収束することはせずに今の体格に留めているという。


「しかし、ボンの成長速度には度肝を抜かれるぜ。今の回し蹴りも十分に力が籠ってたしな。これがどんどん高度になってくれば上級者同士の読み合いもわかるようにもなっちまう!ボンならもうわかっちまうかもな!がっはっはっ!!」


僕が回し蹴りを入れたところで今日の反省会に入った。

因みにレックスに何か一撃を加えたのは今日が初めてだった。


「そんなわけないでしょー」

「ボンは謙虚だな!」


レックスはこの模擬戦において僕に攻撃しようとはしない。

常に僕が攻撃で、甘いとカウンターが飛んでくるようになっている。

ボクシングのスパーリングのようなものだ。

僕はカウンターが来ないように攻めつつも、一撃入れられるようなまさに裏をかいた攻撃をずっと考えては実践し、破れてはまた考え直すの繰り返しをこの一年間行ってきた。

これが実際に体術か?と言われれば疑問かもしれないが、自分で身体全て余すことなく使った動きを考えるのにはいい訓練となっていた。


「だってレックスも油断してたでしょ?本当にまぐれじゃん」

「...ふっ...がっはっはっ!!まあ明日からはもうちょい厳しくいくかもな!」

「...むぅっ」


反省会を終え、家に戻るとキロとニーミが出迎えてくれた。

普段はそんなことはない。


「どうやら調子が良いようだな。ハクト」

「お疲れ様!ハクト!さあ朝食の準備ができてるさよ!」

「ニーミママ!キロ!揃ってどうしたの?」


いつもの事ながらワザととぼけてみた。


「んもう!わかってるくせにさーお茶目さんだなーハクトは!」

「ハクト。お前の誕生日だ。いつものアレを買ってきてある。顔を洗ってこい」

「うん!」


そう、僕は今日で3歳になる。

前世と合わせると19歳で、本当なら医学部の受験が終わって進学か浪人が決まっている頃だ。

なんだかそう考えると自分の家族がどうなったのかが少し気になってっくる。


戻ることは...出来ないんだろうな...。


ノスタルジックな気分のまま井戸から汲んだ水で3歳になった自分の顔を覗き込む。

オレンジの髪は今は綺麗に揃えられているが、量が増えてきて大変だ。

モサモサになったら髪を切るが、意外なことに切るのはキロがうまかった。


顔はというと、幼さが残り、ほっぺがぷにぷにしている。

ニカッと笑うとできる笑くぼと白いギザギザした歯がチャームポイントだ。


身体の所々の鱗もしっかり硬くなってきているし、爪も鋭い。

一番の違和感だったお尻のコブももう馴れた。


だが、今一番気になる点がある。


「...いつ見てもやばいな」


服を捲り上げると今の一番の悩みの種が(あらわ)になる。

それは、肉体だ。

どう見ても130センチの子供の肉体ではない。

バッッッキバキだ。

身体中のありとあらゆる筋肉が自己主張をして引き締まっている。

特に大胸筋が張ってきているのがわかる。

やばい。

毎日重たい剣を背負って、ついに700回を超えた素振りをこなしているからだろう。

なんと片乳ずつ動かせるのだ。


ビクンッ!ビクンッ!

「ふっ...ア○ディとフ○ンクは今日も元気いっぱいだな」


前世で面白かった漫画を思い出して、生まれてきてしまった二つの筋肉に名前をつけた。


「人には見せられないけどね。どうみてもアンバランスだし」


そう、今の一番の悩みはここにある。

顔とそこから下の対比がやばいのだ。

幼い顔に出来上がった身体。

どう見てもくっつけたような違和感がある。


「早く顔も成長しないかな...」


顔だけでなく、身体も拭いてゆき、服でキチンと身体を隠してから僕は食卓へ向かった。


「ハクトおめでとうさ!」


ニーミが玄関に入ってきた僕に一番でお祝いを言ってくれた。

いつも笑顔なニーミだが今日は二割り増しくらいでさらに笑顔だ。


「おめでとうハクト」

「ボン!この野郎!!大きくなりやがってー!!」


がばっ

「うわ!」


続いてキロがお祝いの言葉を言い、最後にレックスが飛びかかってきて頭をグシャグシャにしていった。


「ちょっレックス!」

「おっと、わりぃわりぃ」


身長は変わらないので、こういったやり取りをするとなんだか兄弟みたいだ。

そんなレックスを振り解くとニーミが背中を押してリビングへと入れてくれた。


「何やってるのさレックス。ほら!見てみるのさハクト!」

「...うわぁ!」


僕は既に涎が垂れていたに違いない。

リビングのテーブルには魚を中心とした見たことのない料理がズラッと並んでいた。


「えっ誕生日でしょ?なんでこんなに豪勢なの!?」


僕は純粋に疑問に思った。

2歳の誕生日も祝ってもらったけど、こんなには豪華ではなかった。


「それはな、3歳になれたことが幸運だからだ」

「?幸運なの?」


キロが薄っすらとした目で僕を見ている。

まるで何かと僕を重ねているようだ。


「そうなのさ!ハクトは知らないかもだけどさ、0歳から3歳までって非常に死亡率が高くってデットラインって言われているんさ」


どうやらこの世界では乳幼児の死亡率が非常に高いようだ。

それを乗り切るまではあまり贅沢な誕生日を行わないらしい。

祝っても死んだら意味がないということだろう。

怖いね!


「俺たちが育ててんだ!死ぬわきゃねーがな!だが、これが習わしだからなボン!覚えときな!」

「うん!」


この家では思ったより習わしとかそういうのを気にするんだな...。

もしかしたら少しでも普通の家庭を味わってほしいという意図があるのかも。


「よし、じゃあ今年も歌うぞ!」


キロの号令によって全員が一斉に歌い出す。

短い曲で、僕も覚えたので一緒に歌った。


「「「イエーイ!」」」

パンッ!パンッ!


歌い終わった後、恒例のハイタッチが始まった。

これは暫くは不思議だったが、どうやら乾杯の音頭のようなものらしい。

僕も参加してみんなで両手を叩き合う。

が、キロだけは腕を組んで参加しようとしない。

やはり、恥ずかしいようだ。


「キロ!」


僕は手をキロに差し出してみた。


「...いや俺は...」

「ほらっ!早く!キロ!」


僕たちのやり取りをニーミとレックスがじっと見ている。


「ああ...もうわかった。わかった」

パンッ

「イエーイ!」


どうやら折れてくれたようだ。

こういう時にしか揶揄(からか)えないのでちょっと楽しい。

今もキロは自分の掲げた手をいつ下ろせば良いのかわからなくて周囲に合わせようとキョロキョロしている。

面白い。


僕だって無理強いされてるんだからたまにはいいよね!


「じゃあご飯にするのさ!」


ニーミの掛け声でご飯をいただく。

待ってました!

焼き魚に詰め物料理が置いている中で、僕が一番に目をつけたものが魚のフライだ。


「おっおいしいぃぃぃい!」


舌が、いや身体が待ってましたと言わんばかりに高潮する。


「早速だなハクト」

「フライなんて贅沢なんだぞー」

「そんなに喜ばれると照れるさー」


最近知ったことだが、魚は鮮度が保たれたままフライや、焼き物にできるのは王族貴族だけだという。

他の平民や農民は干した魚や燻製くらいしか手に入らず、それでも地域によっては肉と同様に高いらしい。

肉もうちでは狩ってくるから珍しくないが、実際に買うとなると高いようだ。


「それでさー...ハクト?」

「ん?何?ニーミママ?」


ニーミがいきなり恐る恐る聞いてきた。

多分あのことだろう。

わかっている。


「あのー...そのー...さー...そろそろ弓術にも興味が出てきたかなー?って思ってさ?あっいやなかったら気にしなくていいさよ?」

「ニーミ!」

「はうっ!」


やはり弓術だった。

ニーミは僕が嫌々やっていることに気づいているからかなり弱腰だ。

キロにそれだけは怠るなと押し負けたのだろう。

喝を入れられている。


「うーごめんさハクト。こればかりはキロさんとの約束で破れないんさ。キツくないようにするからさ」

「ニーミ!訓練ではハクトを甘やかすなと言っただろ!」

「はうっ!」

「そうだぜ。ニーミ。教える側がそれじゃあボンにも失礼だぞ?」

「ううー」


あんたらは甘やかさなすぎだ!

これ以上どうしてくれると言うんだ!僕のこの肉体を!

新たな生命がどんどん生まれてきてるんだぞ!名前を考えるこっちの身にもなれ!


「...わかったよ。ニーミママ...」

「うーハクトー」


だが、僕は合意した。

()()()しょんぼりしてみせながら。


勝負はここからだ。


元々僕は今日からニーミが弓術を盛り込んでくることを嫌がってはいなかった。

今更断れないというのもあるが、ニーミは基本僕に甘いからこの厳しい訓練の中に癒しの時間が訪れるのではないかとむしろ期待している。


なら、なぜ落ち込んだフリをするのかというと...。


「訓練はしょうがないけどさ、代わりに何か欲しいものとかあったら教えてほしいさ。だから機嫌を直してさ?ね?」

「えっいいの!?」

「おいニーミ!」

「だってしょうがないじゃんさー。これぐらいさせてよーキロさんさー」


決まった!!

これが狙いだった。

落ち込めばニーミは必ず僕の機嫌を取り戻そうとしてくるに違いないと踏んでいたのだ。

決まらなければニーミにモヤモヤを残す結果になったが、うまく誘導できた!


「えっと、じゃあ!僕も町に行ってみたい!!」

「「「え?」」」


すかさず要望を言う。

下手に渋ると、キロがちゃちゃを入れてきそうだったから。


「町ってさ...あっそうか」

「ああ...完全に忘れてたぜ」

「?どうした二人とも?」


どうやらニーミとレックスは気づいてくれたようだ。

二人が気づいてくれたので期待の眼差しを向けてみる。


「ハクト!ごめんさ!最近、訓練に一生懸命取り組んでいたから気づかなかったさー!許してー」

「ボン!わりぃ!」

「なぜ2人共ハクトにいきなり謝るんだ!?」


キロは相変わらずである。


「あんたは気づきなさいよ!ハクトは生まれてからずっと訓練をしてて、町にも行ったことがないから行きたいって行ってるのさ!今、同年代の友達もいないんさよこの子!」

「!そっそうだったか...気がつかなかった」

「うぅー!そう考えると一気に不憫な子になってきちゃったのさー」

「ボンは少し大人っぽいとこあるから気付けなかったな。ほんとは遊びたい時期だったんだな。すまん!」


そう、僕はこの三年間で一度もこの家の周囲から出たことがないのだ。

そろそろ町くらい連れて行ってもらえるだろうとずっと待っていたらもう3歳になってしまった。

この人たち僕をずっとここに隔離する気じゃないだろうな!?

って思ったので今回強請(ねだ)ることにしてみた。


結果、どうやらこの人たちは3歳の誕生日を祝いながら僕が子供であることを忘れていたらしい。

ひどい話だ。


「うむ、確かにハクトにもそろそろライバルが必要な時期か...」


一人はまだわかっていない。


「じゃあ、今日はこのままご飯食べたら四人で町に出かけてみるのさ!」

「いいの!?」

「もちろんさ!欲しいものがあったら買ってあげても良いさよ!」

「おう!行こうぜ!ボン!準備しろ!!」

「やったー!」


ようやくこの家から出られる!

今までの分めちゃめちゃ甘えてやるから覚悟しろよな!!


「いやまて、必要ないと思ったものは買わんからな」

「「「...」」」


やはりこいつだけはわかっていない。

ア○ディとフラ○クの元ネタはわかりましたか?

もし、わからなくても支障はないので読み飛ばして大丈夫です!


あと、私が読めないと思った漢字にはルビを振っておきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ