目的
ナイフの持ち方、切り方、投げ方、殺さずに扱う方法を完璧にこなすのはやはり1日では無理なんじゃないか…
訓練を始めた頃よりは上達したのはわかるが、もうストップしている。大きな壁を壊すことも超えることもできない。
「来い、ジャック。ここに来い。」
クロウさんが僕を広いところへ招く。下にはマットが敷いてある。
ナイフをホルスターに収め、マットの上に立つ。
「収めるな、ナイフを抜け、構えろ。俺に向けてみろ。」
「今から何を?」
「実戦だ。俺でな。」
「何を言っ」
「何をだ?殺さずの技だろ?心配ない。それともまだ自信が持ててないのか?不安なままなら失敗するのは当たり前だな。やめっか?」
いくらなんでもあぶないんじゃないのか…でもあいてはクロウさんだ。LAIAの中でも一番強いとサラが言っていた男だ。傷一つつけることもできないだろう。きっと僕の動きを確認するためだ。全力を出すべきだ…
「クロウさん。お願いします。」
軽い笑みを作るとクロウさんは僕に背を向け棚を開ける。ずらりと並んだナイフから背にギザギザの切り込みがあるナイフをとりだす。
クロウさんが手招きをする。
僕はナイフを右手で抜き水平に振りかかった。だかその刃はクロウさんのナイフの背の切り込みでとめられ、抜こうとしても抜けず、あっけなくナイフを吹っ飛ばされてしまった。
クロウさんは自分のナイフを天井にぶっさした。
「第二ラウンドだ。」
そーゆうとまた棚からナイフを取りだす。こんどは持ち手に輪があり、まるで日本の忍者が使っているようなものだった。両サイドが刃で、さっきのように受け止められることはないだろう。
落とされたナイフを引き寄せて手に収める。第二ラウンド開幕の合図だ。
正面に突きで挑んだ。だが動きを読まれ横にかわされ、そしてナイフを蹴り上げられた。
「使うまでもないな。」
クロウさんがまた天井にぶっさした。
「俺は素手でにするか…」
僕はクロウさんの開けっぱなしにしてあるナイフの棚からをでかいのを引き寄せた。
だが振るタイミングがすこ鈍り手首を掴まれ振り切れなかった。
「ちゃんと選んで使え。」
ナイフを取られ喉元に当てられた。
殺されることはないとわかっていてもものすごい威圧感にまけ緊張が高鳴る。
そんななかクロウさんの携帯が鳴った。
ゆっくりと喉元からナイフを戻すと、ポケットから携帯を取る。携帯の画面を見ると少し眉をひそめる。
「誰だ?」
クロウさんは携帯を耳に当てる。
「どちらさんだ?」
その答えを耳にしたせいか、クロウさんの表情が険しくなった。そしてナイフを壁にぶっ刺した。
耳から携帯を離して
「ジャック、終わりだ。今すぐここを出てってくれ。頼む。」
と言ってきた。
何が起きたのか全く理解できないが僕がクロウさんに質問したとこで答えてくれる余裕はなさそうだった。だまって部屋を出て行くことにした。
あれから一週間後、
「ジャーーーーック!お前にぴったりな精神科がお前と話したいってさ!」
懸垂をしている僕の背中を思いっきり叩いて話しかけてきたのはチャーリーだった。
「頼んでないよ…いきなり精神科って何だよ?僕のどこが異常だ?」
「そうだな、今背中をたたかれたにもかかわらずそこの点を突っ込んでくれないかったとことか。」
「そんなことで異常と判断される世の中なら、精神外科士でさえいなくなるな。」
「ところがどっこい、そんな世の中にもいるみたいなんだなぁ〜、さあ来い。」
ドアを開ける。
この部屋は机があり椅子がその机を挟んで2つ。そして向かい側の椅子に座っているのは精神科ではなく尋問官、スタイスだった。
「三者面談にやって参りました〜♪」
「チャーリー、お前は帰れ。仕事は終わりだ。呼んできてくれてありがとな。」
「あぁ〜、椅子が一個足りないなぁ〜って思ったらそゆことね…うん…帰る…」
チャーリーはドアを開けて部屋を出ようとし振り向きざまに「頑張ってねっ!」と声をかけてきた。
なんてとこ連れてきてくれてんだ全く…
こんな相性の合わない人間と面談なんて…
「よぉ、あれからまだ人を殺してないみたいだな。」
「殺すわけないだろう。」
「俺と会う前までには普通に殺してたのにか
。」
この質問にイライラする。
「あんたは僕にどうなって欲しいんだ?人殺しになって欲しいのか?なってどうなる!」
「わかんねぇのか?てめぇの甘い判断で仲間や一般人が死に近づく危険性があるんだよ!」
「…でも無理だ。もうできない。仲間の死が収められている映像を見たんだ。あんなにも残酷なことはなかった。当時の自分は復讐心で動いてた。でもそれじゃ何も救えないって仲間から教わった気がするんだ。」
「気がするだけだ!」
「あんたには関係ない!」
力強く言い返す。沈黙が続く。
「いつかお前を苦しめる。」
「あんたのやってることや言ってることが絶対にただしいわけじゃない。何が精神科だ。話は終わりだ。」
僕は席を立って部屋を出た。チャーリーがドアの前で待っていた。
「どう?いい進路決まった?」
「どんな道になるかわからない。けど目的はある。」
「そう…まぁ、自分のやりたいことを目指して頑張りなさい。誰かの言葉に左右されちゃダメよ。なんていったってお母さんの自慢の息子、あなたならなんだっ」
「チャーリー、今までの演技の中でお母さん役が一番最悪だね。」
「あ?一番最悪は前回使っただろ!」
「やる度に最悪な記録を更新してるな。」
「まぁ、そんなことよりイリオス司令官から第六小隊集合かかったぞ、さっき。」
「本当に?早く言ってくれよ!」
「そんなこといったら俺のギャグ聞いてくれやしないだろ!」
まー確かにそうなんだが。
イリオスさんから第六小隊の集合がかかったということは…任務。
ついにショーの居場所を突き止めたのかも知れない。




